紙の本
電子書籍に関する問題点や Web との微妙な関係
2010/11/26 00:44
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
電子書籍に関するさまざまな話題とくに問題点を解説している. 日本における過去の電子書籍の失敗,iPad における検閲の問題,グーグルがまきおこしたさわぎなどなど.
最後の章ではなかなか有料化できない Web と電子書籍との微妙な関係が分析されている. だが,その関係が今後どうなっていくかは著者にもわからない.
紙の本
前代未聞の連載ブックレビュー
2012/04/04 13:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
●第1夜:前代未聞の連載ブックレビュー
「です・ます調」レビュー100本ノック。31本目。
引き続き、電子書籍の話題です。
前回紹介した「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」西田 宗千佳。とりわけ「日本を巻き込む電子書籍戦争」の部分を更に濃く突き詰めているのが本著です。
電子書籍大国アメリカ。Apple、Amazon、Google、各社の思想とアプローチを機軸に内容は展開します。それと対峙する電子書籍後進国日本の出版社・新聞社・図書館。それらを照らし合わせることで、電子書籍の今をとても明確に伝えています。おもわず目を皿にして食いついてしまいました。
かなりGoogle寄りの書籍ですね。あと全編通じて懐疑的な視点。そこは深い考察につながる利点であるかと存じます。
電子書籍時代に読書家や書評ブロガーができること・すべきこと。この話題は最近の僕の中での重要なテーマのひとつです。言いたいことは山とある。すこし長くなりそうなので、毎回論点を絞りつつ連載形式で取り上げていきたいと思います。
AppleとAmazonに関しては前回の記事で色々書きました。内容が重複するので、今回はGoogleならびに日本の事情についてを中心に紹介しますね。
(つづく)
●第2夜:Googleの図書館プロジェクト
「です・ます調」レビュー100本ノック。32本目。
<ロングテールは夢の島>
一冊一冊では儲からない膨大な既刊本の山は、やり方しだいでお金に換えることができる。そうしたことに気付き実践したのがGoogleでした。
以前紹介した「ウェブ進化論 (ちくま新書)」梅田 望夫に書かれていたロングテールの理念ですね。本の前文横断検索はAmazonが先駆け。後追いの立場ですが、GoogleBooksとして追撃します。
世界中の情報を整理し、アクセスできる環境を。そんな理念からGoogleは図書館の本をまるごと電子化し始めました。図書館の本の80%は絶版本。このような絶版本を手始めに、書籍全般、さらには新聞雑誌まで手中に収めようと試みたのです。
米著作権法の認めるフェア・ユース(公正利用)の範囲内でのアプローチと主張。技術革新をどう受け入れるか、法律論よりも文化的要素の面で重要になってきます。それはやがて米作家協会との訴訟問題へと発展。結果、Googleは和解金を支払い、表面上は敗北を喫します。
しかし、本当の意味で敗北したのはどちらでしょうか? といったことが本著で解説されています。かなりのGoogle目線ですね。その後、幾多もの訴訟と和解を繰り返し、現在もモメている最中だそうです。
Googleと出版・著作権者団体のthe Association of American Publishers(AAP)とAuthors Guildの3社は合意に至ったそうですが、他の権利者団体や図書館の団体、さらにMicrosoftやAmazonなどのライバルが猛反発しています。まあ当然でしょう。夢のロングテール島は運命を握る宝島ですから。黙って見過ごすわけにはいきません。
フランスやドイツ、そして日本といった非英語圏の動向も気になるところです。次回は日本に絡めた話を書き進めたいと思います。
●第3夜:さよなら日本語
「です・ます調」レビュー100本ノック。33本目。
<世界から日本語が消える>
世界中の書籍を手中に収めようとするGoogleBooksの猛威。その勢いは日本にまで迫ります。黒船襲来に硬直化する日本の出版業界。著作権所有者は反発し、和解案を跳ね付け、黒船を撃退したのです。
アメリカの電子化の波に乗らない日本の選択。それは日本で発売されている現役本がアメリカで手に入らない状況を生み出します。すなわち「米国内で市販されていない書籍」として絶版本あつかいになり、アメリカの法整備の元、日本に無許可で電子出版化されてしまうといったカラクリめいた懸念も孕んでいるのです。
日本にはフェアユースの条項はありません。ともあれ、日本の本はGoogleBooksの検索対象から除外されることとなりました。この事実は何を示唆するのでしょうか? 実はここに著者が最も危惧する点があります。
ネット検索にヒットしない日本語の書籍。世界中の叡知を求める人々から日本語を読む機会を奪い、日本の書籍が世界から取り残され淘汰されます。結果、英語圏との情報格差が生じ、世界から日本語が消滅してしまいます。そうやって日本社会全体の衰退という大きなツケを払わせられるのです。
<フランス、ドイツ図書館の国家プロジェクト>
非英語圏であるフランス、ドイツもGoogleBooksとは対立しています。しかし日本とは随分と論点が異なるようです。
国会図書館が大々的な書籍の電子化を国家規模のプロジェクトとしています。目先の利権に目くじらを立てる日本とはえらい違いですね、ちっさ。このように先ず国が率先して行い予算を捻出。それを民間が受託しシェアするのがフェアなやり方では? と僕も感じています。税金はこういうところにガシガシ投じてほしいもんです。まあ何らかの仕分けは必要ですが。ひいては電子化のインフラに伴い図書館民営化という選択肢も浮上してきます。その話題は後ほど。
私たち日本の図書館はどう考えているのでしょうか? 次回はそこに触れていきます。
●第4夜:日本の電子図書館構想
「です・ます調」レビュー100本ノック。34本目。
<国会図書館館長、長尾真氏の構想>
実は日本でも図書館の電子化は水面下で進行しています。ホッ。国会図書館館長の長尾真氏はこの件に関してとても積極的な方で、2009年から2011年の2年間で、過去のものと併せると約210万冊の資料のデジタル化を実現しました。
前回に書いた「世界から日本語が消える」という危惧感がここにつながってきます。本質的な意味での電子化すなわちデジタルアーカイブすなわち日本文化の伝承には、寛容の精神が必要不可欠となってくるのです。
<バカとコピペは使いよう>
寛容といえば長尾さんのコピペに関する考察が興味深いです。部品として先人の書いたことや、研究成果などをうまく持ち込んで、自分の言いたいことや表現に組み込む。その行為は編集工学的つまり編集能力が問われると示唆しています。
ようするにバカとコピペは使いようってことですかね? こうした人間の持つ編集能力すなわち知能を図書館構想に照らし合わせてインタビューは締めくくられます。
やはり電子書籍時代到来の鍵を握るのは知の貯蔵庫である図書館なのだな、と実感させられます。
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電子書籍の日本における普及を、若干懐疑的に描いた一冊。そういった意味で、先日読んだ「ルポ・電子書籍大国アメリカ」とは、描き方とアプローチが対照的。ただし、著者も決して電子書籍そのものを否定しているわけではなく、日本の活字文化に対する深い愛情が全編を通して伝わってくる。
本書を読んで、電子書籍に関する、Amazon、Google、Apple、三社の立ち位置の違いというのが、自分の中ですごく整理された。この三社は、時間軸が決定的に違うのだ。
Amazon :今の書籍の延長線上にあるものとして、今、本屋で売られているものの電子版を、Kindleで売っていく。
Google :書籍を”知を次世代に受け渡していくもの”ととらえ、過去の書籍を体系化して閲覧できるようにしていく。
Apple :文字という形態にとらわれず、書籍の未来のあり方を、ipadという新しいデバイスで模索していく。
そして著者が、その三社に一章づつを割り当てながら説明しているような意図を感じた。
◆第一章 電子書籍の問題はどこにあるのか?
日本のハードメーカーの失敗とkindleの成功を通して、成功の鍵を「本をたくさん読む人向けの電子書籍」と位置付けること主張している。これは、非常に重要な視点であろう。過去の日本メーカーは、優秀なハードを作っていたかもしれないが、導入戦略、普及戦略が決定的に間違えていたのかもしれない。SONYのリブリエのような”二ヶ月のレンタル方式”などは、本好きの人の「積ん読」修正や、保存欲というのを根本的に分かっていないようにも思える。
また私見だが、今後さまざまなガジェットが発売される際に、家電量販店やPCショップ以外の販売チャネルをハードメーカーが開発できるかにも、注目していきたい。
◆第二章 グーグルは電子書籍を変えるか?
グーグルのみ章のタイトルとしてあげているのは、グーグルの動きに一番”黒船”感を感じたからなのだろう。ブック検索における裁判で若干印象を悪くした感はあるが、書籍に対する取り組み方は一番アカデミックでもあり、世の中に対するインパクトは一番大きいのかもしれない。
◆第三章 「ネットは無料」の潮目が変わろうとしている?
著者は明言していないが、明らかにipadというデバイスが登場したことを前提に、その上のレイヤーの話を書いていると思う。また、電子書籍が映像を含め新しい形態になれば、WEBコンテンツとしての境界線というのが非常にあいまいになってくる。そういった意味でのWebコンテンツそのものを課金という観点から着目しているのは非常に面白い。
いずれにしても、新しいものを取り入れて変化していかないと、古いものを守ることすらできない。電子書籍元年と言われた2010年も、残すところあと三カ月を切った。出版業界に坂本龍馬はあらわれるのか?
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テレビやら雑誌で電子書籍について見かけるので、一度関連書籍を読んでみようかなと思い購入。
電子書籍が抱える現状と問題点について書かれてる本。未来の展望も描いているようだが、妥当性はよくわかんない。詳しくないし。
著者のせいではないと思うけど、消費者である自分がどう向き合っていけば良いのか、いまいち展望が浮かばなかった。大人しく待ってた方が良いのかな・・・
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近年の電子書籍関連の背景を知るのに役立った。概ねわかりやすかったと思う。コンテンツの課金に関する話題は興味深かった。ネット上の情報は無料が当然という感覚は抜け切れないが、情報の供給側、享受側、共栄のためには避け得ない流れかと納得。あとがきも著者の考えがよくまとめられていて、わかりやすい。後で読み直すにもよさそう。
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現時点での電子書籍を巡る状況に対する冷静な分析。おもに出版の側面に関してのもの。グーグルの例の件に代表される電子書籍化と著作権の問題はよく語られているが、将来の図書館像や再販制との絡み、ニュースの有料化傾向などについては改めて詳しく知ることができた。技術だけじゃないんだよね、この手の問題は。
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電子書籍元年と言われた2010年。AmazonのKindleやiPad、Google Booksなど様々なサービス・商品が登場し、出版業界はもとより電子書籍に参入しようとする各社が浮足立った。
とかく電子書籍の未来を明るくうたいあげ、騒ぎ立てる書籍やニュースが多い中で、本書は一歩引いた視点から電子書籍の過去を振り返り、現在に至るまでの過程や今後の予測をまとめている。
『電子書籍の時代は本当に来るのか』というタイトルからは、懐疑的なイメージが漂うが、決して否定的な立場から電子書籍を語った本ではない。
電子書籍には多くのメリットがあるが、普及させるために避けては通れない課題や問題点があり、それらに対応する各社の取り組みについて、具体的な実例を上げながら解説している。
Kindleの売り上げに大成功しているように見えるAmazonや、著作権切れの書籍アーカイブでは他社の追随を許さないGoogleも、その陰には計り知れない努力と苦労があるのだなあと思った。
最終章では日本の新聞社が始めた課金プラットフォームの可能性について触れているけれど、新聞に限らず、電子書籍にかかわる他社の取り組みについても触れてほしかった。中盤までの内容が濃かっただけに、終わり方が寂しいのがちょっと残念。
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残念ながら @paperboy @booklogjp の #puboo は登場しませんが、必読マストです。 @asahi 新聞ウェブ新書の今後は本当に面白そう。
朝日ウェブ新書の事例等から、「 #puboo って、電子書籍って、結局ブログとどう違うの?」という曖昧模糊に、一筋の光を差し込んでくれる名著です。
フリーミアムか?有料課金か?に悩む、あらゆるWebサービスへのヒントも。
朝日 @asahi 新聞社Astandのウェブ新書。
“記事は、有料コンテンツに利用者を呼びこむためのプロモーション・ツールという逆転の 発想” “「新聞や雑誌の記事が105円」と聞くと高いなと思う。しかし「新書」だと言われれば高い感じはしなくなる。” “「記事」ではなくて「本」であれば、それ相応の価格帯でも納得するという感覚”“お金を払ってもらえるコンテンツづくりの工夫”
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過去何度も訪れた電子書籍の時代。
過去の課題がきちんと分析、説明され、如何に難しいかがよくわかった。
特に、米国と日本の書籍取次ぎの仕組みの違い、
課金制度の課題から、日本の時代の幕開けは世界に遅れること、
まだもうちょっと先なのかなと危惧してしまいました。
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記事売りの可能性の部分は非常に参考になる。
ユーザーメリットで考えれば、記事売りは今後も増えていくと思われるが、
書店側、プラットフォーム側からするとカード決済手数料の
パーセンテージが高くつくので割りにあわない。
ロングテールとして成功するかどうか、気になる部分。
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電子書籍の沿革から現状までコンパクトによくまとめられている。読むなら早いうち。第2章のグーグル問題は、ややこしい著作権問題をわかりやすく解説している。あとがきにある再販制度と電子書籍の関係は示唆に富む。
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この著者の電子出版とそれにかかわる(電子ペーパーの話など)著作はこれまでも読んできた。今回は、実際に「ブーム」となっている現状をどう理解するか、そしてこれからどういった展開をするか、ということについて、著者の予測が書かれている。
これから先どうなるかという答えを持っている人はまだいないと思う。その意味で、この世界をよく知る人の解説という意味で一読の価値はあると思う。
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図書館でパラ読みした。
問題点は明確であり、ビデオが開発された時とよく似た話である。
一見困難との結論と見受けられるが、中期課題として整理してながら読めば、わかりやすい。
幻冬舎は東南アジアに進出して、株価が2倍以上に跳ね上がった。
短期課題との兼ね合いが重要であるとの認識をもった。
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アマゾンやグーグルは、出版会社や図書館と連携してこれまでの本の電子データ化を進めており、検索により内容を利用できるサービスを開発中である。日本ではこのサービスは実施されていない。
こうした取り組みに対しては、著作権協会は反対しているが、出版社等は嫌々ながらも協力的になりつつある。グーグルが示しているデータによると、こうした電子化により、紙本の売り上げも増えているのだという。
フェアユースとはアメリカで通用している概念で、著作物等について、権利者に重大な不利益を及ぼさず、公共利益に視するものについては、著作物の利用を認めるというもの。
グーグルが行おうとしている、著作権の切れた著作物の電子化及び公開、流通している著作物でも、公開を拒否している著作物以外の著作物の公開によるビジネスについて、米国や海外において、著作権者及び出版社の利益を侵害するものだとして反発の声が上がる一方、大学等は古い著作物の電子化により学生等が容易に閲覧できることをメリットして、電子化を決断しているところもある。基本的にグール具が行おうとしていることは、世界中の人がいろいろな著作物を容易に多少のお金を払うことにより閲覧できるということであり、非常に有益だと思われるが、グーグルが独占的であること、また、著作権者の利益保護が充分でないという批判がある。
ウェブ時代の新聞社はニュースをネット配信しているが課金制とするかどうか、いろいろ検討されている。
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Googleの戦略は、確かに黒船ともみえる。
書籍の値段の付け方もネット販売を介して大いに変わる。
どこまで電子書籍が普及するのか、様々な要素が入り混じっている。