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吉原十二月 みんなのレビュー

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みんなのレビュー45件

みんなの評価4.1

評価内訳

  • 星 5 (8件)
  • 星 4 (25件)
  • 星 3 (8件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
45 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

風情を味わいながら

2011/05/10 08:30

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紫月 - この投稿者のレビュー一覧を見る

廓の主人によって語られる、二人の花魁の物語。

吉原の細かい仕来りや風習など、季節ごと、ひと月ごとに描かれていて、とても興味深い。風流で、雅な世界が垣間見える。


なにしろ吉原の行事といえば、花見にしろ七夕にしろ客寄せを想定してのことだから、なにをするにも華やかで、なおかつ風情があっていい。


小夜衣と胡蝶、容姿も性質も異なる二人の花魁だが、ともにたくましく、生き生きと描かれている。


苦界と呼ばれる吉原に身を置きながらも、したたかに、闊達に生きる彼女たちたちの生き様を読んでいると、女の心意気というものが感じられて、声援を送らずにはいられない。


二人の花魁を前にして、男性の好みも分かれるところだろうが、ふと、こう考えてみる女性も多いのではないだろうか。


自分がもしも花魁だったら(厚かましい仮定だということは、この際おいておく)、どちらのタイプに分類されるだろうか。そして友人として選ぶなら、どちら?


あれこれ想像してみるのも、楽しい。


また、花魁の行く末といえば誰かに見受けされるか、どこかで儚い一生を終えるか、およそ想像できる道は限られているのだけれど、小夜衣と胡蝶の場合は自らの意志で年季明けの道を選びとった。二人の生き様がよく表れているところである。


最後の一行まで、心惹かれる物語だ。

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紙の本

対象的な花魁ふたりの競い合いと吉原の春夏秋冬

2011/02/05 11:52

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る

吉原の大籬・舞鶴屋庄右衛門が
季節の行事とともに二人の花魁が競い合った
数年間を回顧する連作短編集。
明和、安永、天明の、華やかな風潮から
厳しい風俗取り締まりの時代までです。

花魁の一人は、禿の頃はぼんやりとしていたのに
花魁になるとしたたかに座敷をさばき、
お職を張るようになる小夜衣(さよきぬ)。
もう一人は、さっぱりとした気性で、気のまわる胡蝶。
見た目も、瓜実顔で切れ長の眼の小夜衣に、
高頬がふっくらとして、愛嬌のある眼の胡蝶と対照的です。

この二人は幼い頃から、庄右衛門によって競い合わされ
花魁としても常に妬き合い、つばぜり合います。
これに吉原や江戸の行事が絡み
さらに駆け引きはエスカレートします。

特に衣装の競い合いは、女なら切なくなります。
旦那衆に上手に甘えて、思いどおりの衣装を次々に作らせる小夜衣。
石高よりも苦しい武家に好まれた胡蝶は、
衣装を作ってもらう機会もあまりありません。

しかし、いつも争っているばかりではありません。
時にはこっそりとかばい、
客の手前、そっと助け船を出すことも。

その一つひとつの話もまた、駆け落ち、心中、盗み、
吉原に伝わる佐保彦様、客を育てる手練手管、身請けと
飽きずに読まされます。

少々、小夜衣を贔屓しすぎるような気もするのですが
彼女の頭のよさと、花魁としての手腕は突出しています。
小夜衣の身請けの鮮やかさには驚かされ、
また庄右衛門が小夜衣を贔屓した理由も
わかる趣向になっています。

大籬の主として、庄右衛門もまた、
傑出した人物といえるでしょう。

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紙の本

吉原に実際に登楼した思いに浸ることができる

2011/03/30 21:15

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る



この本の主役は吉原を代表する廓の主人舞鶴屋庄右衛門。彼が少女時代に発掘し手塩にかけて磨いた二人の花魁に焦点をあてて、彼女たちの紆余曲折に富んだ華麗なる半生をあざやかに描いています。

性格も容貌も対照的な主人公の生き方、彼女たちをとりまく富裕な商人や武家、そして「昼三」(昼間でも三両)といわれる花魁の膨大な収入に依存して生きる妓楼、引手茶屋などの生業の細部が正月に始まり師走に終わる12か月のカレンダーに沿ってきめ細かく描写したこの本は、吉原の光と影をたくましく生き抜いた薄幸の女性たちの人生ドラマであるだけでなく、吉原という江戸時代の巨大性産業のメカニズムを活写したソーシャル小説であるともいえるでしょう。

現在の吉原もトルコなどの性産業の一大拠点ですが、本書を手に取った人は、田沼時代から松平定信時代の吉原に実際に登楼した思いに浸ることができるでしょう。

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紙の本

これであなたは最高級の花魁になれます。吉原屈指の妓楼主になれます。そして超一流のお客になって吉原の奥深さを味わい尽くせるでしょう。実践しないで本を見るだけの読者にとっては五つ星の業界ガイドブックでございます

2011/02/04 00:04

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

「容貌(きりょう)も気性もまるきり違うふたりの妓(おんな)。妓楼を二分する激しい嫉妬とつば競り合いの先に女の幸せはあるのか?」
飾り帯にはこう記されております。たしかに一月から十二月まで各月ごとの吉原歳時記をバックに、花魁ふたり(小夜衣と胡蝶)の競艶が見ものではありますが、「つば競り合いの先に女の幸せはあるのか?」という、そんな現代風な人生論はいさかかもありません。
超一流の花魁とはこういう遊女であると、大見得切って妓楼の主が語ります。いわばテッペンを狙う遊女たちのために「花魁道」の真骨頂を紹介しております。

私などは吉原というのは格子から艶然とした女郎衆をよくよく観察し、懐具合と相談しながら気に入った女郎を指名して床あそびをする、そういう文化ゾーンかと思っていましたが、それは、二流三流のお客が欲望のはけ口とする吉原の一面にすぎない。花魁遊戯の真髄はそういう庶民感覚を超越したところにあったんだと気づかされました。いわば花魁遊戯の深いところを味わい尽くすために、超一流「顧客道」の奥義を伝える教化本であります。

これを語るのは大籬(おおまがき)・舞鶴屋の楼主・庄右衛門でありますが、よくよく見れば、このオヤジは業界屈指の「楼主道」を自慢している風情が感じられます。

吉原文化とはどうやら厳しい様式、作法、しきたりでもって構築されていることがわかりますね。花魁・顧客・楼主ともこの厳格な枠組みを厳守できなければなりません。それができるのが超一流の資格なんだ。

花魁は「容姿」はもちろんのこと、「唄」や「踊り」「和歌」や「書」の達人です。「囲碁」「将棋」の相手もできなければならない。楼主は幼い遊女候補者たち(禿 かむろ)の中からその天分を見出し少数精鋭のエリート教育を徹底します。先が読めない金のかかる大博打のようなもので、この楼主・庄右衛門さんはふたりの職を張る花魁を作り上げることができた、たいした人です。

花魁と馴染みになるにはかなりのおカネと手間隙がかかる。客は揚屋(高級料亭)で花魁道中を迎えいれ、若衆、振袖新造、禿、遣手ら道中一行と宴会に侍る芸者、封間等にご祝儀を配り、豪勢に花魁を接待するのである。一晩で30~40両は軽く吹っ飛んで、これを三回やって初めて花魁と床入りができるってんですから、常人とは遊びのレベルに天地ほどの差がありますな。そのうえ花魁は気に入らなければスポンサーを袖にしてもいいという。
一度馴染みの花魁ができると客はほかの遊女と浮気するのは厳禁。
身請けには千両ほどはご用意願う。いったん身請けしますと離別するとなれば手切れ金に家屋敷を添えて渡すというのが身請誓文でございます。
なかなか花魁の「人権」も手厚く擁護されているんだな、などとしたり顔をしながら吉原作法の数々を学習する。別世界を学ぶ、このガイドブックの面白さがここにあります。
ところでこのお客さんは当然に名だたるお大尽。セックスをするとかしないとか、もてたとかもてないとか、四の五の言う野暮天ではない。ただただ、この厳格なしきたりに通じて、散財することに喜びを感じ、それをステータスとして誇る人物でなければいけません。これが「顧客道」の奥義なんだなと納得したしだい。

とはいえそれぞれ超一流の花魁・楼主・顧客であっても時には思い違いもあるものだから、しきたりに外れて騒動が起こります。一応その事件がストーリーになっています。

それはそれとして、
「胡蝶が初の道中に用いた裲襠は濃い萌葱の絖地で、細やかな刺繍をした黒揚羽の蝶があちこち飛んでおりました。片や小夜衣の裲襠は黒の綸子で右肩から左裾にかけて銀の縫箔で枝垂れ桜を大きくあしらってあります。共にふさは緋色で裾綿を多めにして、そりゃァ見るからに伊達な衣装でございました」
「宵闇に溶け込んだ綸子の光沢が、化粧映えのした顔をいやが上にもくっきりと浮かび上がらせます。そのみごとな姿には今を盛りと咲く夜桜も顔負けしたようにはらはらと散り、花びらの降り注ぐ道中は、まさに夢路をたどる天女のごとくで数千人の女ヶ島に生まれ育ったわしでさえ、思わずうっとりと見とれてしまいました」

随所に描かれるこの遊郭情緒。松井今朝子ならではの一流の絢爛美描写でございます。まるで豪華版浮世絵の絵巻物を見ているようだなぁ。

まぁ、まるで役に立たない業界ガイドブックですが、読者としては超一流の花魁・楼主・顧客が吉原という虚構空間で役者を演じきっているこの芝居世界にのめりこむこと、これがこの作品を読むポイントでしょう。

「大籬」「禿」「お職」「内所」「呼出し」「昼三」「振袖新造」「番頭新造」「妓楼」「揚屋」「裏を返す」などなど業界用語が解説なしに飛び交います。これは吉原案内の上級篇。読者も上級ではないといけません。まずは『吉原手引草』 をお読みになって、初級・中級を卒業してからがよろしいようで………。

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2011/04/25 11:36

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2011/01/20 15:40

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