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紙の本
写真や図版とともに知る岡本太郎の生涯と作品群
2012/01/22 21:53
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
岡本太郎生誕100年を機に刊行された単行本やムックのうちの1冊。数ある中でなぜこの1冊を選んだのか、自分でもうまく言葉にすることができないのだが、印象的なのは表紙に感じるものがあったかもしれない。他の多くの本がカバーなどに使用している岡本太郎の姿は、比較的誰もが知っているテレビなどによく登場した中年から壮年の頃のものだったが、この『別冊太陽』は中年でも比較的若い40代前半の姿なのだ。
私たちが良く知る岡本太郎が、岡本太郎のすべてではないのは当然だが、それを年代を追って教えてくれたのがこの本の『PART1 アヴァンギャルドに生きる』だ。芸術一家に生まれ、ある種普通でない育てられ方をし、若くしてパリに渡り、第二次世界大戦後は日本で様々な活動に携わった岡本太郎の生涯を、その時々の作品や活動歴を写真や図版と共に解説してくれている。そこにあるのは、テレビで「芸術は爆発だ」と叫んでいた人とは全く異なるイメージでありながら、すごく共通する部分も垣間見える岡本太郎その人の姿だ。
この岡本太郎の生涯を記した章を中心に、今は渋谷駅にある「明日の神話」と題された作品の再生プロジェクトの話や、岡本太郎が日本の様々な地方の習俗などを訪ね歩いた記録のこと、岡本太郎に関するエッセイ、岡本太郎自身のエッセイなどで構成されて、本当にこれ1冊で岡本太郎を様々な角度から見ることができるようになっている。
おかげで、文章の1つ1つ、作品の図版1つ1つ、岡本太郎が撮った写真の1枚1枚に、いちいち立ち止まってしまい、時に考え、時におかしくなり、時に眺め直してということを繰り返してしまい、読み終えるのにやたら時間がかかってしまった。でも、そういう楽しみ方こそ、この『別冊太陽』の正しい楽しみ方のようにも思う。
2011年春に東京国立近代美術館に「生誕100年 岡本太郎展」も見に行き、その時の図録もあるのだが、この本はその展覧会の図録にも匹敵するような気もする。
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