紙の本
この本を読んで
2018/05/09 20:56
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kiyo - この投稿者のレビュー一覧を見る
私がいちばん心惹かれたのは
うつ病について書かれたページです。
そうして現代日本において
なぜこんなにも自死が多いのか
人々が自死に至るメカニズムについても
うつ病と絡めて
わかりやすく記されています。
身をもってわかっていたはずなのに
筆者の言葉で改めて学んで
「そうだよ岩波先生!」
と叫びたくなりました。
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精神の病が 胃癌などと同じく とても身近なものだということを再認識する。
症例が載っている。
淡々と見過ごしてしまいそうだけれど、心の病は 見えない。
だが、この本を読んでいると 一見 寝ているだけのように見える怠惰な行動が 心の葛藤の末なのだとわかる。
うつ病の章は ほかの章より力が入っていると感じたのは私だけだろうか。
うつ病は 日本の社会が 寛容でないから、一度外れた道にドロップアウトすると もう道の中央では歩けない 息苦しさ。
ちょっと違う意見や 生き方を寛容する社会であってほしい。
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なんとなくあたらしいなと思った部分は患者さんの過去にあまり触れずに淡々と描かれていくこと。(内因性のエピソードが多いからか?)
精神鑑定については、わたしはこの人とは全く反対の意味の疑問を持っていた。
なんかこの人の本のタイトルってミステリっぽくてちょっといや。
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淡々とした本当の精神病の症例報告。アルコール依存症、脳の異常による精神病、アルツハイマー…。今流行りの鬱ではない、本当の精神の狂い。
表題と内容が違っておらず、本としてシンプルで好感がもてた。
「正常」と「異常」の境目は、なんて強固で、また曖昧なのか。
精神病の症例をなぞって、色々な想いが過ぎる。精神病の患者にとっては、家族に見放されたら、きっと最後だ。でも、家族だからこそ、狂ったときの理解は難しいのでは。
また、看護の難しさ。
そして、現代日本の定義している「正常」は潔癖過ぎるのではないかということ。色々な人に出会う職場だが、「どうしてこんな人が…」と思う人が普通に仕事している。それが現実。でも、日本人の意識では、「正常」なことは絶対譲れないこととして考えている。現実と認識のズレがあるから、本当の対応ができなくて、皆苦しんでいる。
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岩波明の心に狂いが生じるときを読みました。精神科医の症例報告という副題のついた、精神疾患の症例の解説でした。依存症、統合失調症、摂食障害、精神病質(サイコパス)、アルツハイマー病、うつ病、強迫神経症、といった各種の精神疾患の症例が解説されています。また、裁判員制度が導入された時に話題となった精神鑑定の質の問題、司法と精神鑑定の関連についても解説されています。このレポートを読んで、konnokが一番気になったのは、うつ病とそれに起因する自殺が最近増加の傾向にあるという指摘でした。日本の社会は異端となることを許容しない社会である。取り残され、落ちこぼれていく人々に対して日本の社会はなかなか救いの手をさしのべない。終身雇用制が崩壊して雇用の安定性が失われた上、成果主義の名の下に過重な労働を強いられる状況になっている。このことが過重なストレスからくるうつ病を増加させている、という主張は考えさせられました。
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主要な精神疾患の症例の紹介と解説。
岩波氏の本がより多く読まれれば精神病患者について過剰な恐怖も不当な差別も減ってゆくと思う。
他の本でも指摘されているが、日本で司法精神医学の専門家がいないのは大きい問題。
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精神疾患や司法精神医学的問題に対してノンフィクションでありながらただ悲惨な事実を悲劇的に描くのでなく、淡々と且つ人間の生きていこうとする力の存在を裏に小話などはさみつつ途中で読むのを躊躇うこと無く読めるよい本であった
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失業率から見ると日本はアメリカの半分なのだとか、それに比べて自殺率は1.5倍~2倍なのだ。自殺の原因として、うつ症状から自殺まで発展する人がかなりの人数に上るらしい。うつ症状を発症しやすい日本社会の構造が注目される。
一度レールから外れると復活がむずかしいのが日本社会である。会社員はレールからはずれないためにストレスを抱え込んでしまう。そして軽度のうつ症状が悪化すると自殺まで追い込まれることになると著者はいう。アメリカは成果主義の国であっても根底にはキリスト教の精神で助け合いが行われている。宗教を持たない日本が成果主義を導入することで更にストレスが社員に重くのしかかるのだ。
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心の狂いは、ほんのわずかな日常のきっかけで起こりうる。あらためてうつ病が身近に起こってることからも感じられる。本書は、精神疾患についての正しい理解への啓蒙と、日本の司法、行政の遅れへの警鐘である。14.4.19
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「正常な精神と狂気には、厳然とした境界線があるように考えられている。しかし実際のところその境い目は、ごく淡いものであるように思われる」筆者の言葉。
裁判員裁判しかり、必読の一つと思われる。
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ただ、ひたすら怖い。なんだかんだ言って精神疾患の原因は未だに判明しておらず、患者のためによくないなどと巷では言われている薬漬けも仕方がないというか他に方法がないというのが現状としか言いようがない。それにしても日々生きていられてちょっとした楽しみがあれば幸せ、という国民性のアメリカ人に圧倒的にうつ病が少ないという事実がものすごく興味深い。やはり病は気から?
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現場と常識の狭間でどう丁寧に見ていくか、ひとつひとつを丁寧に見ていて、そういう丁寧さ、慎重さの上にこれからどうするかがあるんじゃないかなと思った。こういう事態に陥った人たちは、どういう経緯や原因があるのか、わかりやすく書かれていて、難しさや課題などもあるのだなと改めて。
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精神的に病んでしまった人達の症例。
他の病気などと同じで 誰でもなる得るのが怖い。
こういう育ち方と環境とか 必ずしもそうなってしまう原因がわかるものはほとんどない。
どうすればならないか、どうすれば良くなるかあまり記載がなく薬で様子を見るしかないのか
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様々な精神疾患の症例が書かれていた。読んでいるわたしの心に狂いが生じそうになった… 現代社会においてこういった精神疾患は誰にでも起こりうるものだということを理解しつつ、それを回避するためにはどうすれば良いのかを考えながら生きていく必要がある。決して他人事ではない。自分がいかに幸せなのかを自覚するところから、改めて始めていきたいと思った。
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世の不条理を淡々と語る本書。似非科学に切り込みつつ、現実を突きつける...。日本特有の社会構造にも言及し、現代の闇を鋭く抉っている。裁判員に選ばれたら? まっとうな判断をできるだろうか?