紙の本
いやいやいや。西加奈子さんはとんでもない書き手だ。
2018/11/10 14:22
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
円卓とは、中国料理にあるくるくる回る朱色のテーブルのことです。
渦原琴子、通称こっこちゃんの家は大家族で、
円卓が六畳間にでんと鎮座しています。
じいちゃん・ばあちゃん・父・母・そして三つ子の姉。
しかも姉たちは近所でも学校でも評判の美人揃い。
父はハンサムで阿呆だからモテたラガーマンで、ラグビーの
チアリーダーをしていた母もやっぱり美人で阿呆だからモテた人です。
そんな目立ってしょうがない一家で、こっこちゃんは
自分の居場所を見つけようと懸命なのです。
それにしても、ハンサム/美人で、阿呆だからこそモテたって、
なんという安直な人物像やら。
三つ子姉も阿呆系美人らしく、妙なこだわりを感じます。
だからはっきりとは書いていませんが、こっこちゃんも
阿呆な美人さん予備軍なんでしょうね。
でも小学三年生なので、まだ本領は発揮していません。
いやあ、とにかくこの設定にひっくり返りました。
いま流行のおとぼけ美人ではなく、
きっちり阿呆に描いております。潔いです。
ふつうこんな設定にすると、浮世離れしたり、変なセリフ満載の
現実感のない人物が出来あがりそうなものですが、
西加奈子さんの実力を伺い知りましたね。
かわいらしいのかほほえましいのか判然としないのですが、
こっこちゃんは危なっかしくて目が離せない存在なんです。
クラスの香田めぐみさんがものもらいになって眼帯をしてきました。
こっこちゃんはうらやましくて仕方がないです。
香田さんはもの静かで密かな人気があり、眼帯によって
さらにそれがグレードアップ。
近づいたら伝染するといって人を遠ざけます。
こっこちゃんは、それを見て妄想します。
> 眼帯をつけたい。みんなを遠ざけたい。
> それによって得られる孤独を思ってうっとりする。
> ひとりぼっちのわたし!
円卓というタイトルが抜群にいいです。
家族の団らんの象徴みたいな道具ですね。
それに抗うかのように、孤独に憧れるこっこちゃん。
でもそれは、子供ごころながらに気を引きたい現れだってことぐらい、
すぐに見えちゃいます。
そのこっこちゃんを、ぐるぐると事件が取り囲み、
少しずつ大人の考え方を忍ばせるのです。
ラストシーンは圧巻です。
前半の楽しさ爆発の分だけ、最後のほうは少し分かりにくく感じます。
でも、ゆっくり考えれば、うん、と一つうなずけるのです。
こっこちゃんと一緒に、こころの旅へのお誘いです。
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小学校3年の琴子は大家族に育つちょっと背伸びをした孤独を求む少女。彼女がいろんな経験を経て成長していく姿は微笑ましい。童話みたいな中で性、命、難民とかシリアスな事がさらりと語られてるのが印象的。最後の円卓のシーンは和みます!心暖まるキュートな作品でした♪
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孤独に憧れる”こっこ”こと琴子、8歳。
凡人の祖母と両親、三つ子の姉に不満を持ち、
世を憂う祖父にだけは親近感をおぼえている。
香田めぐみさんのものもらいと眼帯、
幼なじみのぽっさんの吃音、
横山セルゲイのロシア人とのハーフという状態、
ベトナム難民の子供というゴックんの生い立ち、
単純な顔のちゅーやんの複雑な家庭環境、
学級委員の朴くんの不整脈、
心の底からこれらを格好いいと思っているのに
どうやら周りはそう感じていないらしい。
イラスト:西加奈子 デザイン:大久保明子
西加奈子さんの小説を読むと
自分の価値観はなにをもとに作られているのか
考えさせられます。『きりこについて』しかり。
包帯や眼帯を格好いいと思ったり、
ベトナム難民や在日韓国人という生い立ちを羨んだり。
小学校高学年くらいになるといじめの対象になってしまう「違い」を
尊敬のまなざしで見る期間はあると思います。
こっこに関してはその憧れがとても強いのであって。
こっことぽっさんと石太が夏の夜の団地で話すシーンが好きです。
自分は格好いいと思って真似をしているのに
どうして怒られるのかわからないこっこに、
真似される本人が嫌だと思っているかが基準となるのだと
導き出したぽっさん、
そして「イマジン」が大切なのだと説く石太。
夏休み明けのジビキ同様、
成長の瞬間に立ち会っているような気持ちになります。
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風邪でだいぶダウン気味で読書もしんどい状況だったのが、
読んでいる間は自分も小学生に戻ったような、
こっこと一緒に教室や団地にいるような気分に。
西さんの文章にはグルーヴ感と感染力がある。
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この人の書く物語は、(私の中では)天才的といえる。
何といっても、登場人物のキャラの濃さがすごい。
ちょっと変わった小学3年生こっこ、大親友(?)ぽっさん(吃音)、こっこの姉・眞子、理子、朋美(三つ子)、こっこの祖父・石太などなど。
ラストが物足りないようで、その物足りなさが心地いい。
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西加奈子の言葉チョイスがすごく好きだ。言葉から、彼女がなにを思っているのかひとつでも多く汲み取りたいとおもう。
こっこははたからみたら幸せ。平凡な幸せをうっとおしがり、孤独を求めるけど、それを知って今の平凡な幸せに気づく。ぽっさんはかっこいい。ひとりにして、すまんかった。
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大家族にかわいがられすぎて、孤独と孤高を、求める9歳の少女。
あぁ、小学生の時こんなだった~と思い出したり、自由な感じを羨ましく思ったり。
みんながみんなを好きっていうのが伝わる。
こんな家族いいなぁ。
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同じ子ども、同じ人間でも色々な価値観でものごとを見ていると考えさせられる。
決して、子どもだからといって、ものごとを幼くとらえているとは限らず、年長者よりも深く、鋭く捉えていることな多いのかもしれない。
出てくる人物の個性や、関西弁の台詞が素敵。
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さすが西加奈子さん。ほんとおもしろかった。
主人公はまだまだ成長過程である小学三年生のこっこ。父母は深く愛し合っており、祖母に祖父、三つ子の姉にくわえ、もうすぐ弟か妹ができる。にぎやかな家族。
こっこのまっすぐなところがかわいい。一つ間違えるといやなやつなのに、まっすぐだからゆるされるのかな。そしてそのまっすぐさがどんどん成長していく過程がおもしろい。
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その真っ直ぐさが何も知らない憧れが愚かだが愛おしい。
http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-839.html
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口の悪い関西のおっちゃんのような主人公は、実はとてもかわいい小3の女の子。
狭い公団住宅に一家8人で暮らし、食事は赤い円卓で。
自分のスペースが全くないため、あこがれるのは、「孤独」。
普通だったらイジメにあう同級生の生い立ちや病に対し、「かっこいい!」と思ってしまう。
それはしかし、誤解を招くことも多いのですけれど…そんな世間の常識にとらわれることなく、のびのびと成長していってね。
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小学3年生のこっこの口癖が「うるさいぼけ。」とか、可笑しすぎる!傍目には阿呆なこどもだけど頭の中身はなかなか哲学的で、がちゃがちゃとした日常を描きながらもさらりと深~い味わいがある。西加奈子の真骨頂とも言うべきべたべたな大阪弁が炸裂して、にやりくすりと笑いながら読みました^^ 愛すべきキャラばかりなので、ぜひ続編も読んでみたいなv特に石太とぽっさんは最高だと思います。
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小学生でも自分の考えがあって、それぞれの世界観で生きていて、それが大人から見ると本当にかわいいのよね~。そんな「こっこちゃん」の本を読んでいたら小学生のキョンちゃんと遊びたくなってきちゃいました。
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ぽっさんと友達になりたい。
大人になると、周りに配慮する事が一番はじめに頭をよぎって、思ったままのことを言えなくなる。
それがいつしか癖になり、普通のこととして生きている。
自分の尺度に自信がもてなくなり、信じなくなり。
子供は違う。こっこは違う。
自分の気持ちに素直だ。
すごくキラキラして見えた。
物語の最後の方で、大人の衣を着始めても、こっこはこっこだったのが嬉しかった。
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こっことぽっさんと一緒に
朴くんの家に行って
こいカルピス飲みたい!
いつの間にかこっこ達の
仲間になって行動を共に
している自分がいました。
関西弁やったから
すんなり読めました^ ^