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投稿者:ゆかの - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルから、もっとがっつり本が絡んでくる謎だったりなのかなと思ってたから少し拍子抜けかな。女生徒たちの暴走は読んでいて愉快だったり恐ろしかったり。
エスって言葉をちゃんと理解したいと思うけど、やはりしっくりこない。
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聖マリアナ学院で起こった事件をまとめた作品。
読書クラブという名の通り,各章に文学作品からの引用がある。
かつて起こった事件を第三者が編纂しまとめたものという構成が変わっている。
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「恋は、人の容姿にするものか?それとも、詩情にするものなのか?」
(戯曲『シラノ・ド・ベルジュラック』)
思うに、劣情に火を着けんと撃鉄を鳴らすトリガは、けして詩情などではなく、それは美貌であり嬌声であり幽香である。より詩情を挟まずに云うなれば、それは顔面対称性であり、性交時の喘ぎとの近似であり、フェロモンである。身も蓋もなく云わば、それは例えばおっぱいの大きさだ。
詰まるところ、それらは性衝動の共起を伴う動物的な知覚刺激にしか過ぎぬ。そんなものは断じて詩情ではない。
精を吐かせ、卵を排させしめるこのオートマチズム!ゾウリムシの時代より変わらぬこの野蛮は、万物の霊長には断じて許されぬ。而して我らが知性は、顔面の対称性を美貌と言い換えただけの不細工な仕事をこなし、これを以てすなわち詩情とする。
穢れた慾動は理知という名の薄いベールに透かされ、愚人たちはロマンチックにもこれを恋と呼ぶことにした。
恋の本質は、身体的で野生的で即物的な営為であり、それが詩情を帯びて語られるときのみ、あたかもプラトニックな面を幻視させるのだ。
******引用******
心さえ崇高で、尊敬に値する人物であれば。顔かたちなども関係ない。なぜならば、なぜならば、シスター。ぼくたちは限りなく精神的な存在なのです。あぁ、ただここに、精神があるだけ」
胸に手を当てて、紅子は台詞を言い終わった。
窓の外で少女たちは失神し、烏丸紅子の名を呼んで泣きだした。精神的。精神的。それは彼女たちの心を確かにうった。紅子はしかし、ほんとうは、なにが精神的であるものかと思っていた。わたしは女だ。女とは肉体なのだ。
――『青年のための読書クラブ』 p.45
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ほんのちょっと周りからこぼれちゃった少女たちの避難場所、読書クラブ。
あぁ、読書クラブに入りたい。
何処にあるんだろう、わたしのための読書クラブは。
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舞台はお嬢様学校なのにタイトルには「青年」 でも確かにこれは「少女」でも「女性」でもなく「青年」がふさわしいのかもしれない。 学園の百年の歴史が、凝縮されていておもしろかった。 特に「聖女マリアナ消失事件」が好き。
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時代を超えて受け継がれるはみ出し者の精神。
強烈な個性が辛辣な表現で描かれていて、毒々しさもここまでくると痛快になる。
いいなぁ読書クラブ。入りたい。
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(解説の)千野帽子さんに感謝。桜庭一樹、深いなぁ。
山の手にあるミッション系のお嬢様学校、聖マリアナ学院。
そこで繰り広げられるあんな方面やこんな方面の争いを100年にわたって描く。
ギャグ仕立ての登場人物やエピソードとは裏腹に、王侯貴族と平民という階層の意味、美の意味、数日/数ヶ月/数年/十数年/百年という時の流れの残酷さとやさしさなどなど、これでもかというほどに少女文学っぽいテーマに切り込んでいて、腹はよじれる胸は痛むの大忙し。
ただ、読んで分かる表のストーリー以外に、宝塚歌劇団とか近代欧州名作文学とか、たくさんのアラフォー親父には分からないシグナルが埋め込まれている模様で、分かる人が読んだら2倍3倍面白いんだろうなぁと嫉妬する。
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誰にも支配されない、優雅な楽しみ。
女子校の抱える闇(笑)ってこんな感じだと思う。カーストはきちんとあって、それはもう生まれ持った部分で決まるのが大半。だから、「本を読む」という階層がある。それは一番下のようで、誰にも侵されない層。腹の中に何を隠していても一緒くたにされている、ある意味一番危険な層。たぶん、アナーキスト。決して、オタクとは相容れない、現実世界と手を取って生きることを、今だけ放棄している、青春の積極的傍観者。
読書は一人でできるもの。だから、複数人がいてもよい。本来的には一人で生きるものだけど、複数いればまた楽しいのだから。
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とある女子校における、読書クラブにまつわる短編からなる連作。
本と埃のにおいが漂う地味さと、
メインストリームにはのぼれない、
しかし文学を好む高校生ならではの皮肉さ。
学園という社会に何も関与しないようでありながら、正史に残すことが出来ない騒動の影には読書クラブの存在があるのだ。
はじめは陰鬱な印象があったけれど、
ラストは読書クラブらしい現実さと、
文学を好む者がもつ言葉の選択の美しさで、思いのほか清々しかった。
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5編からなる連作の短編集。
お嬢様学園の100年の裏歴史を、読書クラブ員が書き記す。
時代時代で背景は変わるけど、彼女たちはびっくりする位変わらないんだな。
せつなく懐かしく楽しい話。
第二章が一番好き。
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乙女っぽくない、ほんと青年のための読書クラブですね。
女版・四畳半神話大系といった、ストイックなんだか欲望でぎらぎらしているのかよくわからない女学生たちのお話。
時代が変わっても本質は変わらない読書クラブの部員たちはよいですね。最終章の年取って全員が一同に会するシーンは老後の理想です(^0^;)
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桜庭 一樹さんの本を読むのはこれが初。
赤裸々で可笑しくて切ない女子校生活物語。
ラストが一番好きかなぁ。
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桜庭一樹が書いた、若い人向けの読書案内の本かと思って手に取ったら違ったよ。
お嬢様学校として名高い学園における、南のへんなやつ等こと「読書クラブ」の面々によって、長きに亘って語り継がれる学園史上抹消された数々の秘密の事件―。
5つのお話しからなる本は、各章の冒頭部に、『シラノ・ド・ベルジュラック』『哲学的福音南瓜書』(何これ?)『マクベス』『緋文字』『紅はこべ』それぞれから引用された一文があり、どのお話しもそれらをうまいことなぞりながら物語が展開する趣向。
1919年から2019年まで結構今に近い時代も描きながらレトロな時代錯誤感が全編に漂い、私には第2章が良かったですね。
この本を読めばここに挙がった古典のほうも読みたくなるかも。私らの大学時代はモームの『読書案内』読んで古典に挑んだもんだけど、そういう意味では、若い人向けの読書案内の本と言えないこともないねぇ。
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素直に面白かった。
聖マリアナ学園読書クラブのクロニクルであり、学園にまつわるミステリーであり、いつの時代も変わることのない「少女」という生き物の生態分析であり、或る兄妹の魔法の物語。
癖のある文章も、いい効果を生んでると思う。
また、それぞれに引用されている古典作品も興味深い。
それから、男性には「?」って思われそうな気がするな……
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夜寝る前に一話ずつ 由緒ある女学校のはみ出しもの達が集まる読書クラブで名作をモチーフに語り継がれる綺譚の数々、とっても楽しめた。