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紙の本
あきらめが悪いにもほどがある
2019/10/14 14:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くぼたま - この投稿者のレビュー一覧を見る
『邪馬台国はどこにある』をはじめとした着想で読ませる鯨藤一郎さんの小説家デビューするまでのノンフィクション(多分)です。
トリックより邪馬台国や卑弥呼の歴史の独自解釈やうんちくが豊富で、一休さんや萩原朔太郎などが探偵役だったりする意外性いうなることが多い作家さんです。
はっきり言うと文章自体はあまり上手ではないしキャラクター設定がベタですが、うんちくや歴史とか昔話の解釈がおもしろくてたまらなくて一気に読まされてしまうのが鯨作品の魅力というか魔力です。
鯨作品がどのように生み出されるのか知りたくて、本書を手に取りました。
まあ、作家になろうと決意してからデビューするまでの期間が長いこと、経済的に行き詰まっても家族い苦労させてもねばること、驚きでした。
これだけうまくいかないことが続いたのに心が折れず、書き続け、教養の引き出しを増やし続けて頑張りとおせたものだと思いました。
要領が悪くチャンスにも恵まれないけれど、応援してくれる人には恵まれることが、成功するまでしつこく粘り通せる秘訣なのでしょう。
「がむしゃらな日々は報われる」そう思えて元気がもらえる本です。
紙の本
君が教えてくれた
2011/10/08 08:44
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
Twitterで誰かが「泣ける」と絶賛していたので購入。
エッセイ風のハウツー本かと思いきや、中身はなんと私小説。著者は斬新なアイディアと卓説したユーモアセンスと博識がウリの覆面ミステリ作家、鯨統一郎。僕の密かなお気に入り作家の一人。しかしミステリ作家が私小説とは珍しい。興味津々。
●どこにでもいる夢追い人
妻子を養い不向きな営業職をこなしながら「小説家になる」という夢を追い掛け続ける伊留香総一郎。小学校の頃は秀才だった。ところが今では大学中退で小さな会社の営業職を転々と。きつい歩合制ノルマに追われて生活にも困窮する毎日。そんな中でも針の穴を通すように時間を見つけては、読書とアイディアノート作成とSF雑誌への投稿を一心不乱に繰り返す。
同期のライバルたちは次々とデビューしていく中、自分だけがまるで芽が出ない。何故? 家族を愛するが故に一時は本気で止めると妻に誓った。けれど、どうしても諦めきれない。そんなどこにでもいる夢追い人のハートフルなサクセスストーリー。
●覆面作家の素顔
作風やTwitterでの印象からか、おちゃらけたインテリというイメージが強い著者。しかし、この物語での総一郎は愚直で一本気。かなり印象が異なった。どこか憎めない人柄は共通項か。正直、著者の作品はアイディアやキャラの会話や薀蓄は抜群に面白いのだが、ミステリ面というかトリックが弱いなと生意気にも感じていた。元々はSF系の人だったのね。なるほど納得。
あくまで私小説なので、面白おかしくするために虚偽も色々織り交ぜているのだろう。経歴を調べてみると作中では國學院大学中退なのに実際は卒業。スタートだけはやたらよくて後は尻すぼみの学力テストも、実際は常にトップで苦労知らずの天才だったのかもしれない。美人の奥さんの描写にしたって、何らかの家庭内圧力が掛かったのかも。
●ファンならおもわずニヤリ
そんな愛する奥さんの「やめて! いつまで続けるの」との涙に、のん気にもキラリと名探偵のアイディアを思いつく場面にニヤリ。「森鴎外が現代にタイムスリップなんて笑わせる」と揶揄する同僚を○○って××になるシーンや、ふと耳にした渡辺美里の曲に励まされる箇所は胸が締め付けられた。そしてアイディアノートの件には不覚にも目頭が。
●小説作法本としても秀逸
ツリな表題の罪悪感からか、小説作法のノウハウもいくつか記載。これがなかなかタメになる。P121「そして甘く見ていた。小説は勉強して書くものじゃないと思い上がって、まったく勉強をしてこなかった。(勉強しよう)僕はそう思った」ブログの文章作法にも通ずるその目から鱗な内容は、貴方がその眼で確かめてほしい。
●ここがちょっと残念
私小説としても小説作法本としても秀逸な本著。ひとつだけ苦言を述べれば、知的虚栄心がにじみ出る描写が多いのが少々鼻につく。キャラクター造形として多少は必要かとは思うが、あまり頻繁だと興ざめしてしまう。いいじゃん知性は作品で充分証明してるんだから。
●君が教えてくれた
しがない今を生きながら、遠くを見つめてもがいている輩たち。ネットという果てしない闇の空間で、細々と本の感想を書いたり読んだりしている僕や君も、きっとそんな星々のひとつ。夢を追いかけるなら、たやすく泣いちゃダメさ。君が教えてくれた。まっすぐな総一郎さんに感謝。
紙の本
努力以外のなにものでもない作家デビュー
2011/07/12 16:41
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
本格ミステリ作家の鯨統一郎が
事実を元に構想して、フィクション化したデビュー物語。
デビューまで16年間の苦節を語ります。
鯨統一郎は覆面作家なので
どこまでほんとうなのかもわかりませんが
リアルなんですよね。
幼少のころからの読書遍歴などは
ミステリだけにとどまらない範囲の広さに驚きます。
苦手な純文学も勉強のために読みます。
真面目なんだけれど、どこか不器用なんでしょうね。
そして作家を目指すと言いながら11年目に
自分が本気ではなかったと気付きます。
アイデアノートを整理し、ファイルノートをつけ
読書も怠らず、小説指南書などから勉強し、
執筆のペースも上げていきます。
しかも、その間、本業も転々とします。
仕事の選択、家族の幸せ、家計の破綻など
現実問題に直面。
極貧生活のなか、作家デビューをつかむのですが
ヒトコト「奥さま、えらい!」
奥さまは収入に文句を言わず、へそくりをします。
毎日、モヤシ炒めや豆腐ステーキなのに
子どもは幼稚園にも入れられないのに
「ワープロを買って」と22万円を差し出す。
できないですよ、これ。
誇張はあるかもしれませんが
本当の部分も大きいのでは。
タイトルは目を引くためのキャッチコピー。
努力以外になにものでもない作家デビューです。