紙の本
海の生きものと鉄。生命と鉄。
2018/08/30 16:39
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
環境から考える、カキ養殖者の著者。鉄とのつながりは読んでみるまで良くわからなかったというのが正直なところでした。鉄が海でも陸でも、植物の生育に大事であること。それがさまざまな形で描かれています。あちこちで講演もしてこられた著者の、こなれた文章と親しみやすい挿絵で楽しく学べました。
化学物質としての鉄や鉄の化合物の話はちょっと難しいかもしれませんが、学校で勉強することが理解の助けになるでしょう。一つの元素がさまざまな反応をする。その多様性がカギだと思います。フルボ酸鉄とかムギネ酸とか、あまり聞きなれない物質も出てくるけれど、調べてみたくなってきました。
科学的な背景がわかりかけている現状の一方、「鉄橋の下では魚が良く釣れる」などの経験的な知識も同じことを示している例がいくつも示されています。最近はPM2.5を運んでくる危険なものとばかり見られている黄砂も、日本近くに鉄分を運んでくるという役割も持っていることを知るとなにか複雑です。
出版は2011年6月。あの三陸海岸の津波は本書の出版直前。著者の養殖場も被害にあっていましたがそれでも出版に押し切った。その気持ちも本書には書き添えられています。「一カ月ほどして、すこしずつ水が澄んできました」とある。自然の強さとともに、それをもらって強く活きている姿にも感動させられました。
紙の本
わかりやすいしイラストもかわいい
2016/02/06 15:04
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投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
山は海の恋人運動で知られる畠山氏のジュニア向け書籍です。
出版準備中に震災に遭遇、お母様を亡くされたことが書籍の内容にも反映されています。
内容は大人が読んでももちろん面白く、ためになります。
そしてイラストもかわいらしく、内容をよく表現してわかりやすいです。
幅広い世代に薦められます。
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鉄。
いのちとは一番無縁な、冷たく、無機質な感じのする鉄。
その鉄が、いのちを、地球を育み、緑を育てる重要な役割を果たしている。
鉄に囲まれた現代社会の中で、その鉄の中にいのちを見出せる人間が、どれだけいるだろうか。
しかし、そんな人間の血の色も赤いのです。
鉄の味がするのです。
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海への愛情。カキへの愛情が探究心を刺激し、それに一生を捧げる。
そんな著者の愛情こもった本書は、読みやすくでもいろんな本質をついているんではないだろうか?震災の被害を免れず、でも愛情は失わず。そんな人の書いた本が面白くないはずはないと思われる。出会いに感謝。
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仕事の関連で、畠山さんの講演を拝見ことがあります。とても情熱的で、飽きさせないその語り口調が印象に残っており、そのときに初めて森と海、鉄のもつ素晴らしさについて知りました。じつは深くつながっている森と海の関係は、畠山さんを始めたくさんの研究者や協力者のみなさんが各所で尽力したからこそ、解き明かされてきたものだということが本書でよくわかり、関係がない私でも感慨深いものを感じました。
また、じつは理にかなっている昔からの風習を、科学的に解き明かすことの大切さも感じました。なぜその慣習は残ってきたのか。それが科学的に納得されることは、古い風習をこれから先へ残していくための、有力な解決策ですね。内山節先生の共同体の思想とも関連しますが、めんどうくさいこと、効率の悪いことは、現代の社会では悪とさえ見なされ、効率化、短期的収益性にばかり目が向いてしまっていると思います。ですが、古くからの慣習が思想や個々人の尽力によってのみ支えられるものではくなれば、もっともっと各地に残る風習は見直されて行くのではないでしょうか。
鉄がつながりを作りだし、オーストラリアまで行ってしまう、というのは本当に驚きました。京都大学の先生にまでなってしまうなんて、人と人との出合い、人生の流れ、本当に何があるかわからないのだなと思うと同時に、それを実現してきたのは畠山さんの情熱やお人柄なんだなとも感じています。
東日本大震災を経てなお、もう一度立ち上がる畠山さんの姿(というか文章)に、心が震えました。人間が壊してきてしまったもの、それこそ森や海や山などの自然、もしかしたら人間の考え方や存在そのものすら壊れてきているかもしれません。それを修復しながらいかに次代につなげていけるのかを考える上でも、畠山さんの行っていらっしゃる活動は、とても勇気をいただきますし、自分も前に進んでいかねばという気持ちにさせていただきました。ぜひ、畠山さんが漁師をやっていらっしゃる毛根湾にお伺いしてみたいです。
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https://www.youtube.com/results?search_query=+%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%9C%E9%85%B8%E3%80%80%E6%A3%AE%E3%80%80%E6%B5%B7
https://www.youtube.com/results?search_query=sea+forest+documentary
https://www.youtube.com/results?search_query=sea+forest+iron
http://www.hokkajda-esp-ligo.jp/jp/bildrakonto_erimo-j.htm
百人浜沿岸
世界的に著名なカキ研究者
ルーサノフ アメリカ
コリンガー オランダ
今井大丈 かき研究所 http://www.kakiken.or.jp/
プランクトンが育つためには、森の腐葉土が必要。
腐葉土の中には、フルボ酸が含まれている。
フルボ酸には、酸素よりも早く鉄と結びつく性質がある。フルボ酸と鉄が結びついたものをフルボ鉄酸と呼ぶ。
植物、海の植物プランクトンや海藻は、育つためにリンと窒素が必要だが、植物がリンや窒素を吸収するためには鉄の助けが必要だ。
そして、植物が鉄分を吸収するためには、鉄が「フルボ鉄酸」という形になっている必要がある。
なぜ豊かな海に森が不可欠なのかというと、海の植物に必要なフルボ酸鉄を森が作り、海へ運んでくれるからだ。
海は常に鉄分不足の状態にある。酸化した鉄が海へ流れ込んでも、重すぎてすぐに海底へ沈んでしまい、海の植物や植物プランクトンが摂取できないのだ。
森林は、海に鉄分を供給する役目を負っている。
鉄分はどの生命にも必要。そうなんだ。知らなかった。
赤は鉄分の色。
地球上の水分量は、地球の質量の0.03%、鉄は30%。地球は水の惑星というよりは、鉄の惑星だ。
生命にとって鉄とは何か。
高等学校における水圏環境教育実践 : ながとふるさと緑化プロジェクト
https://oacis.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=21&item_id=375&item_no=1
杉本幹生 鉄炭団子
高橋直人
森敏ブログ http://moribin.blog114.fc2.com/blog-entry-1842.html?q=%BF%B9%C9%D2
松永勝彦
丹波和紀
丸山洋一
久保田宗一郎
ジョン・マーティン 海洋化学者
グンナ・クーレンベルグ
西澤直子 宮城新昌 牡蠣礼賛
https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%AE%AE%E5%9F%8E%E6%96%B0%E6%98%8C
長沼毅 生命はどこから来るのか
https://www.youtube.com/results?search_query=%E9%95%B7%E6%B2%BC%E6%AF%85
The history of the Earth
https://www.youtube.com/results?search_query=history+earth+documentary
46億年前に地球が誕生した。その頃の大気には二酸化炭素が満ちており、海中いっぱいに鉄分が充満していた。
35億年前に、シアノバクテリアが発生する。生命の誕生だ。シアノバクテリアは海中の鉄分を使って光合成を行い、大気中の二酸化炭素を酸素に変えた。
ハマースレー鉱山
シャーク湾
ストロマトライト
https://www.youtube.com/results?search_query=%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%AF%E6%B9%BE%E3%80%80%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%88
宮本常一 民俗学者
どこに行っても高いところにのぼり、全体像をまず見た。
https://www.youtube.com/results?search_query=%E5%AE%AE%E6%9C%AC%E5%B8%B8%E4%B8%80
https://www.youtube.com/watch?v=Fg03bxPMxAA
魚付林 うおつきりん 東北地方の漁師の伝統
https://www.youtube.com/results?search_query=%E9%AD%9A%E4%BB%98%E6%9E%97
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先日読んだ著書「日本汽水紀行」が非常に面白く、続けて本作を読んでみました。
「豊かな海」には「豊かな川」が必要で、「豊かな川」には「豊かな森」が必要。そんな中、豊かな森が生み出す重要な栄養分の1つが「フルボ酸鉄」という鉄であって、本著はその「鉄」にフォーカスして色々教えてくれる一冊だったりする。
豊かな海に憧れるけど、自分はまだまだ知らないことだらけ、これからも少しづつ勉強していきたいと思います。
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自分の知らない事が学んで行けるのは楽しい。大変読みやすく、自然界の海、川、森の関係。生物は全て世界と繋がっていて、その中での鉄の役割、重要性を面白く読みながら学べた。
子供さんにもぜひ読んでもらいたい本!
地球だけでなく宇宙にも繋がる話しで。何か突き詰めていくと、生き方にも通じる話しを感じた。私が読了している一流の人達の本は、根底に流れるものが同じなんです。それを感じた
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自然がどのようにして世界の生きとし生けるものを育んでいるのか、その秘密はまだわたしたちの前に多くの謎として残されている。人は、その秘密の一端を知りたいと願い、少しずつ自然が解き明かしてくれるその秘密に触れることで、実は人間は自然に生かされているのだということを教えられる。
筆者の追求は、最初は自分たちが生きていくための必要から始まったのであるが、そのうちに鉄という物質が人とどう関わっているのかという探求心へと変わり、ついにはオーストラリアまで足を運ばせるほどの行動力を伴うことにもなる。
文中挿絵も多く(この挿絵がとてもいい!)小中学生にも読める体裁だが、これから将来を担う若い人たちにこそ読んでほしい一冊である。
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うん、面白いし、為になったね~気仙沼湾の牡蠣漁師が森に注目して植林をし、その有効性を知る。海洋深層水で窒素や燐は硝酸塩・リン酸塩として運ばれるが、海藻や植物プランクトンが取り込むためにはフルボ酸鉄が必要で、それは腐葉土の下の鉄が原料となる。ダムなどを造ってしまうと、鉄が供給されないのだ。三陸の豊かな海はアムール川から来るものが大きい~宇宙で多い物質は鉄とニッケルだけど、鉄はユニークなんだね
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鉄だけでおさまらず、広ーい深い内容で読み終えてから購入した程です。
何度でも読み返したい、学べる本です。
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本日4/22はアースデイ。
所蔵情報:
品川図書館 436.8/H41
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読書マラソン感想カードより:
「森は海の恋人」
このキャッチフレーズ、聞いたことはないだろうか。著者は山に植林活動をしているカキ養殖の漁師だ。
なぜ、彼は木を植えたのか。その答えがまさにこの一言に凝縮されている。
始まりは知り合いの研究者が言った「なにがその中に入っているかわからないが、森には魔法つかいがいる」
その謎が解ける過程が面白い。しかも謎はどんどん生まれ、解かれ、かつすべては消えない。
それでも見えてきた答えで、自分の所だけでなく、日本中の漁場を良くし、もしかしたら温暖化を改善する鍵になるかもしれないなんて、化学ってすごいな、と思った1冊。
ノブ(図書館職員)
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豊かな海を作るために、森が保存されていることが大切だということを初めて知った。陸と海で別々だと思っていたから、どちらの環境について考えるときも、両方を調べたいと思う。生態系は、みんなつながっている。
オーストラリアにジュゴンが一万頭いる海がある。それは、ジュゴンのえさのアマモが、食べても食べてもなくならないところがあって、そこにも鉄がたくさんある。行ってみたい。
鉄などの細かい説明は難しくて、わからないところもあった。(小6)
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光村教科書6年生紹介本
私はノンフィクションよりも小説を多く読むのですが、児童向けのノンフィクションを読んで非常に素晴らしい本に出会っている。
こちらは小学生向けではあるが、私のようなこの世が何で成り立っているかわかっとらん大人にも非常にわかりやすいし、著者の語り口もとても良い。
気仙沼で牡蠣の養殖をしている漁師である著者畠山重篤が、海の生物の成長には鉄が欠かせないということにたどり着き、研究したり森の土壌を良くする運動を行った。鉄がどんな役割をしているのか、鉄に関する研究、そして実際に行われている研究や活動のことが児童にも分かりやすく書かれている。
本書を書き上げて出版を待つ間に東日本大震災が起きて著者のご家族にも牡蠣養殖場にも被害が出たのですが、少しずつ回復している様子を見て、再会の希望も込めて出版となったということです。
現在では養殖も回復中、植樹運動も続いているようです。
https://kesennuma-kanko.jp/oshietesensei-kakiyoushoku/
なお畠山重篤は朝ドラ『おかえりモネ』の祖父のモデルといわれているそうです。(みてなかったのでよくわかりませんが…)
https://agrilab.kyodo.co.jp/2021/06/post-240.html
❐鉄 生命体と鉄の関わり
・呼吸のシステム。赤血球にはヘモグロビンが含まれていて、その中心に鉄がある。鉄は、肺から取り入れた酸素をくっつけて体中に届ける。地が赤いのは酸素が鉄にくっついているから。
なお、青酸カリを飲むと死ぬのは、鉄が青酸カリのシアン化合物とくっついてしまって酸素を運べなくなってしまうから。
・地球は「水の惑星」と言われるが、地球の質量のうち水は0.03%。そして鉄は30%を占める。そうだったの!?地球の内部の中心に鉄が集中している。
宇宙のしくみを男性、陽子、中性子でみると、鉄とニッケルが安定していて、鉄のほうが作りやすい。ビッグバンでできたのは水素、ヘリウム。宇宙でできる物質は年齢とともに重たいものになっていく。そこで最後にはすべて鉄になってしまうんだそうだ。…よくわかりません(-_-;)が、この宇宙は鉄を作るための宇宙なんだ、ということなんだって。
❐森 森は海の恋人
https://pride.kesennuma-kanko.jp/slow-city/activities-01/
森を伐採すると、土壌が代わり、海への要素が変わる。特に、森林から鉄分が供給される海の生物は豊かに育つ。そこで著者は海に流れ込む流域の森の土壌を調べたり、植樹して海を豊かにする「森は海の恋人」活動を行っている。
これも国単位でやって欲しいですよね。
・麦が荒れた土地でも栽培できるのも鉄が関係する。アルカリ性の土壌では植物は鉄を吸収することはできない。麦の根っこは、鉄を包み込むムギネ酸を発生することだできて、ムギネ酸に包まれて鉄が麦に吸収される。そこから、ムギネ酸の合成に関わる物質が解明されれば、荒れ地でも植物を育てられるかもしれない。
・温暖化と寒冷化のこと。二酸化炭素の増加が地球温暖化の原因なら、二酸化炭素が減れば寒冷化する。
海中に鉄が増えて、植物プランクトンが大量に増え、光合成により大気中の二酸化炭素が減ると、寒冷化につな���る。
これ温暖化対策として進められないんだろうか。
❐海の中の鉄
・地球ができた46億年前には二酸化炭素で覆われていて、海の中には鉄がたくさん溶けていた。35億年前からに生物が光合成を行うようになり、葉緑素ができるには鉄が必要になった。こうして光合成により酸素ができて、海水中の鉄は参加されて大きく重くなり、海底にオチていった。そうして海の水には鉄は無くなった。
・海には鉄がなくなったが、陸地にはたくさんある。
海の中の鉄の一因に中国大陸からジェット気流で運ばれた黄砂がある。黄砂は天候によっては地球一周くらいしてしまうらしい!
黄砂って砂っぽくなるしアレルギー発症するし困ったもんだと思っていたら、地球の生物育成には欠かせなかったのか…。
・沈没した鋼鉄船が魚の棲家になったり階層が生えたりしている、というのはニュースでもみるが、これも鉄が溶けて生物の成長を助けているため。そのため計画的に鋼鉄製の廃棄物を海底に沈めることもある。
ここで「戦争のときに沈められた船に魚たちが増えて様子を見て、英霊に手向けられた花のようだった」と書かれている。沈んだ船を怖いととらえるのではなくて、新しい海の命に囲まれ、その海の命が陸も豊かにすると考えるのは良いなあ。
なお、飛行機はジェラルミンなので、鉄のようには生物が育たないんだそうです。
日本の農業、漁業の研究でも、鉄と炭を混ぜた団子をヘドロの溜まった海に設置したら、その海域が綺麗になり、生物が育つようになった結果が出ている。科学的には、ヘドロと鉄の成分が…ということのようです。