投稿元:
レビューを見る
著者の自選による短編集。再録が5編と新作が1編。
再録の作品に対する感想が初読時と大きく違うことに驚く。
イジメに苦しむ女の子を描いた2作は読み進むのが本当につらかった。
(『ワニとハブとひょうたん池で』と『セッちゃん』)
いちばんの理由は自分に子どもができたことだろう。
多くの子どもは、親から見た自己像を守りたいと願う。
それこそ死にものぐるいの強さで。
だからイジメられているなんて絶対言わない。
親の前では過剰なほど普通を装い精一杯の虚勢を張る。
それしか方法が見つからないから。
親にはそれが分からない。何とかしなければとの思いが先走る。
子どもの願いに気づけず、必死の小さなプライドにも思い至らない。
そして身に付けた問題解決の方法で対処しようとするが当然上手くいかない。
かつて子どもだったはずの親は、ついには無力感に苛まれる。
しかし、ここからが本当の意味で子どもと向き合うスタートとなる。
表題作の『まゆみのマーチ』で描かれる母親の姿。
学校に行けなくなった娘にひたすら寄り添い、導くことも後押しすることもしない。
娘の歩く速さに合わせ、立ち止まる時は一緒に立ち止まる。
「好き」という言葉を歌にのせ、毎日毎日シャワーのように子どもにそそぐ。
愚直に、ただそれだけを繰り返す。
あなたならどうしますか?と問われたような気がした。
答えはこれから自分で探すことになる。
まだすこし時間はあるはず。
この本の著者印税は、将来にわたって全額、あしなが育英会に寄付されます。
同会を通じて、東日本大震災で親をなくした子どもたちの支援に役立ててほしいという、
著者の希望によるものだそうです。
投稿元:
レビューを見る
■重松清さんの全作品を感想文にしてブログで挑戦中です。
重松清ファン必見!
http://wwjdkan01.blog68.fc2.com/ .
投稿元:
レビューを見る
「女子編」と銘打たれた短編集で、女性が主人公だったり話の中心になっているエピソードが集められています。
男子編収録の「エビスくん」でもいじめ問題が取り上げられていましたが、本作でも同じ問題を取り扱っている話がいくつかあります。実際はどうなのかは分かりませんが、男子のいじめに比べ、女子のいじめは精神的に追い込むタイプのようで「ワニとハブとひょうたん池で」「セッちゃん」は読んでいて心底キツかったです。
また、父親や兄の視点を通して家族を描いている作品「まゆみのマーチ」「かさぶたまぶた」(「セッちゃん」もですが)では、いじめや問題児扱いされている娘(や妹)と接することの大変さが伝わってきます。
それでも、どの作品も最後は多少なりともポジティブな印象で終わるので、暗い気分のまま読了ということはありませんでした。特に最後に収められた「また次の春へ」は、“また会えますように”というおまじないのエピソードが感動的で、とても前向きな気分になれる傑作。この本は「震災をきっかけに編んだ」ということですが「また次の春へ」を読んで分かったような気がします。
投稿元:
レビューを見る
+++
まゆみは、歌が大好きな女の子だった。小学校の授業中も歌を口ずさむ娘を、母は決して叱らなかった。だが、担任教師の指導がきっかけで、まゆみは学校に通えなくなってしまう。そのとき母が伝えたことは―表題作のほか、いじめに巻き込まれた少女の孤独な闘いを描く「ワニとハブとひょうたん池で」などを含む著者自身が選んだ重松清入門の一冊。新作「また次の春へ」を特別収録。
+++
表題作のほか、「ワニとハブとひょうたん池で」 「セッちゃん」 「カーネーション」 「かさぶたまぶた」 「また次ぎの春へ――おまじない」
+++
東日本大震災で親を亡くした子どもたちを支援するために編まれた一冊である。どの物語も、躓いたり、心のなかのなにかが欠けてしまったりした人が主人公である。動けずにじっとうずくまっているだけのときを過ぎ、いまという場所からそっと思い返すようなものが多いのは、著者の心に宿る希望の表れのようなものだろうか。ほんの何気ないひと言が突然胸に深く刺さってきたりもし、またさりげなくその傷に手を当てられているようなあたたかな心地にも包まれる。力を抜いて時の流れに身を任せるのがいちばんいいこともあるのだと思わされる一冊でもある。
投稿元:
レビューを見る
「東日本大震災がなければ生まれなかった二冊」という帯の言葉に惹かれて購入。
また次の春へ ーーおまじない
は、忘れていた震災直後の焦燥感というか、あの頃の何とも言えない心情を思い出させてくれた。
忘れてはいけない、忘れたくない、と思っていた感情を失いつつある自分が嫌になった。
でもどこか、心の隅の方が、暖かくなった。
---
まゆみは、歌が大好きな女の子だった。小学校の授業中も歌を口ずさむ娘を、母は決して叱らなかった。だが、担任教師の指導がきっかけで、まゆみは学校に通えなくなってしまう。そのとき母が伝えたことは--。表題作のほか、いじめに巻き込まれた少女の孤独な闘いを描く「ワニとハブとひょうたん池で」などを含む、筆者自身が選んだ重松清入門の一冊。新作「また次の春へ」を特別収録。
投稿元:
レビューを見る
【収録作品】まゆみのマーチ/ワニとハブとひょうたん池で/セッちゃん/カーネーション/かさぶたまぶた/また次の春へ-おまじない
自選短編集。最終話が震災の話。いじめがテーマのものが多くて、痛かった。
投稿元:
レビューを見る
本屋で見つけて即買いだよね( ・`д・´)
泣けるよー。
学校教育の面でも、家族についても、ほんと考える時間を与えてくれる重松サンの本‥好きだー
♪まゆみが好き、好き、好き、まゆみが好き、好っき!♪
(∩´∀`)∩ワーイ
投稿元:
レビューを見る
いじめられる女の子などを題材にした作品集。どのにももっていきようのないやるせなさがどの作品にもあふれていて、それに対して強がって頑張ろうとする姿がとても切ないなって思いました。
投稿元:
レビューを見る
いじめと、親子の関係が主なテーマの短編集。暗くて重いテーマのわりには読みやすかったです。どんな風に両親は私を育ててくれて、私はこれから自分の子供をどんな風に育てていくんだろう?子を持つ親として色々考えさせられました。
投稿元:
レビューを見る
重松清の小説は心をチクチクさせて、いつかの過去へ引き戻させる。いじめられたことはない、いじめたこともないつもりでいるけど、もしかしたらそんなことがあったかもしれないと思わせる少女がそこにいる。「好きを何万回でも言って」女の子の心はいつも拠り所を探してる。あなたのマーチを歌ってくれる人は見つかりましたか。
投稿元:
レビューを見る
【まゆみのマーチ】は既刊の短編集から重松さん自身が選んだ5編と東日本大震災後に書かれた1編が収められています。
重松さんの願いは、この本の著者印税を将来にわたって全額、あしなが育英会に寄付し、震災で親を亡くした子どもたちの支援に役立ててほしいというもの。
作品も重松さんも素敵です。
投稿元:
レビューを見る
まゆみは、歌が大好きな女の子だった。小学校の授業中も歌を口ずさむ娘を、母は決して叱らなかった。だが、担任教師の指導がきっかけで、まゆみは学校に通えなくなってしまう。そのとき母が伝えたことは―表題作のほか、いじめに巻き込まれた少女の孤独な闘いを描く「ワニとハブとひょうたん池で」などを含む著者自身が選んだ重松清入門の一冊。新作「また次の春へ」を特別収録。(「BOOK」データベースより)
今月の初めに読んだ「卒業ホームラン」が男子編で、
この本が自選短編集の女子編となる。
そして両著とも印税が全部、あしなが育英会に寄付される。
表題作の「まゆみのマーチ」を含め、
読んだことのある作品ばかりだった。
それでも読み応えがあるのは、さすがだと思う。
ほとんどの作品がいじめの話だ。
しかも、いじめられるのは、明るく人気者の女の子…。
そしていじめに負けないプライドを持ち合わせている。
でも、ほんとうに負けていないのかな。
こんな目に合っても、泣かずにいられるのかな。
どうしても親の立場で読んでしまうので、つらい。
親だったら、甘えてほしい。
泣いてもらいたい。
反対に子どもの立場だったら…。
甘えないし、泣かないだろうな~と思う。
この本の中ではちょっと異質な作品の「カーネーション」が好きだ。
最後の終り方がいい。
カーネーションをもらったのは、何年前だったかな(*≧∀≦)
投稿元:
レビューを見る
親子どちらの視点でも読めるから、短編とは思えないほど入り込める。話を聞いているつもり、分かってるつもり。親や夫として居場所を確保する言い訳でしかないのかもしれない。いじめが主題の話が多いが、「カーネーション」はいい話。
投稿元:
レビューを見る
【まゆみのマーチ】 重松清さん
「まゆみのマーチ」「ワニとハブとひょうたん池で」
「セッちゃん」「カーネーション」「かさぶたまぶた」
「また次の春へ ー おまじない」
の6編を収録。
「また次の春へ」以外は全て読了した物語です。
「まゆみのマーチ」の歌はわたしの年代の人たちは
誰も聞いた事のある歌だと思います。
歌を思い出すたびにアニメのオープニングで
悟空が肩を揺すりながら如意棒を持って元気に歩く姿が思い浮かびます。
ヒゲのサゴジョウ、ブタのハッカイ、オリジナルキャラの
ピンク衣装の女の子もいてました。
この本を読んでから、気づかないうちに、名前を置き換えて
心の中で口ずさんでいる時があります。
投稿元:
レビューを見る
卒業ホームランにしようかと思ったけど、女子なのでこっちを。
重松清はナイフくらいしか読んだことなかったのですが。
この人の書く少年少女・家族の姿はリアル。
いじめの内容とかも容赦ないけど、実際のいじめってこういう感じなんだよね。
でも物語の最後にはちゃんと救いがあって。
「セッちゃん」が一番読んでて悲しかったかな。