紙の本
溺れる者のつかむ藁は一見、丈夫そうなのに
2011/09/27 17:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
24時間営業のサウナ定員の赤松寛治は59歳。
初期の認知症の母と
介護をしながらパートで働き
文句ひとつ言わない妻とともに暮らす。
妻がケガして働けなくなり、自分もクビ。
娘は住宅ローンでキュウキュウしています。
生活安全課の刑事江波戸良介は38歳。
在日韓国人の女に持ち込まれたおいしい副業から派生した、
ヤクザからの借金が2000万円に膨らんでいます。
スナック菓子工場でパートをしながら
デリヘル嬢も週に2回勤める主婦の庄田美奈は32歳。
エリート研究員の夫のDVに耐える日々に
デリヘルの若いお客から言い寄られて……。
曽根圭介にしては一般人を扱った小説で
始まりは静かなのですが、そこはやはり曽根圭介。
彼らをどんどん窮乏生活に追いやり、
つい目の前の大金やうまい話に乗せ
さらに困窮させていく、破滅型小説。うまいうまい。
絶妙なタイミングで救いの手が
差し伸べられるかに思えるのですが
それがとんでもない選択肢。
転落人生を容赦なく描きます。
怖いけど、おもしろい。
ラスト、3人の話が一本に集結していくのもうまい。
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どうしょうもない人ばっかりです。警官の描き方はちょっとやり過ぎかも。マンガチックな展開が気になったが、一気に読ませる力はなかなかです。
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三人の登場人物を主にして繰り広げられる物語。彼らはそれぞれの事情でそれぞれに追い詰められていて、解決しようとする方法もアウトローな手段。どのパートを読んでも破滅に向かうしかない人間の欲望と転落、という印象でもあるのだけれど。
各パートの繋がりが、読み進むうちにだんだんと見えてきて。ああ、そこがそうなってそうなるのかーと思いきや。……あらら、見事に読み違わされてしまいました。さて、最後に笑うのは誰なのか、それとも全員破滅なのか。ぐいぐい引っ張られる読み心地の一冊です。
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あれっ、曽根圭介ってこんな作家でしたっけ?と感じました。
いつもの刑事は出てくるが、ダメ刑事というかヤクザな手下に成り下がっている江波戸とサウナ店従業員赤松、パートで副業デリヘルな庄田美奈の3人のパートが入り混じるストーリー。
時系列がズレているのがいいのか?パルプフィクションみたいとは言い過ぎか…。
でもまぁ、人の死が軽く安いのは現実世界も一緒なのかと暗くなります。
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金に困り、悪あがきをする三人の男女の物語。
かなり追いつめられた状況なのに、暗さが無いし、テンポよく読んだ。
結末は、まあ、そうなるよねえって感じ。
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一気に読ませる筆力はなかなか。
それにしてもミステリーは苦手です。
仕事だからがんばります。
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いくつかの話が最後に結びつくパターンだが1つ1つの話が盛り上がりに欠ける。
その上最後の結びつきも陳腐。
話自体は面白いのに残念です。
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複数視点で話が進む。
同時進行しているかのように進む三つの場面が、実は順番に起きていた出来事だったというのはなかなか面白いしよく出来ている。
ただ、話にのめり込むまでには至らなかった。
いや、よく書かれてると思うのだけど。
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3人の登場人物がどうからみあってくるのか、最後のほうでやっとつながって全体が見えてきた感じ。それぞれの話が面白くて、一気に読めた。ただ、最後がどたばた過ぎたかな、という気持ち。
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ラスト、思わず「そういうことかー!」と声を出してしまった。
バイオレンス度は、そんなに高くないと思う(自分比)
読みやすいし、面白いんだけど、登場人物のキャラ設定が唐突で、とって付けた感が。
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金の魔力に取り憑かれ、前後左右二進も三進も
行かなくなった3人のそれぞれのストーリー。
それぞれが別々に展開されていくのですが、
これが後半にどう繋がっていくのかが肝ですが、
想像を超えて、カチっとハマります。流石の
乱歩賞作家ですね。
サウナでアルバイトをする初老の元床屋の男は
客の忘れ物の大金に狂わされる。
夫のDVに悩み、FXで借金を抱え、その返済の為
風俗で働く主婦は夫の保険金に狂わされ。
兎に角金と女が頭の中を占めるクズ刑事は、
ヤクザへの返済する借金で狂っていく。
三者三様に目的は違えど、「金」によって
静かにその生活と人格がズレていく様は
他人事ではなく、怖いです。金と人間の
付合い方って難しいですよね。本当に...はぁw。
転落小説(そんなのあるのかな?)の王道路線で
以前に似た作品を読んだような既視感はあるものの
ラストまで惹き付けて読ませてくれます。
人物相関から自然と謎は解明されていくので
ミステリ的には少し弱いですが、出来は良いと思います!
そして、作者の曽根さん自身がサウナ従業員経験が
あるらしくて、ちょっとビックリw。その当時に
このプロット考えたのかなw?
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一見バラバラの物語が最後はみごとにまとまって気持ちいい。
ラストがちょっとドタバタしているのが残念だっだけど
ハラハラドキドキしながら楽しめました。
タイトルが秀逸。
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曽根圭介2冊目。1冊目を読んだ時にも感じたことだが、ミスリードがうまい!3人の物語が進行していくが、もう物語が後半なのに交わりそうで交わらないのに疑問を感じていた。最後の最後で理由が分かる。まさか時間軸がずれていたとは。やられたという感じ。
最後の庄田美奈の最後は戦慄が走る。死んだはずの彼女、その理由が分かる。本当に最後の最後ですべてが繋がる。
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大金の入った忘れ物のバッグをネコババしようとする男。暴力団への借金返済に窮する刑事。FXで抱えた負債のためデリヘルで働く主婦。金の誘惑におぼれた獣たちの運命は…。
相変わらずテンポの良い描写でスイスイ読まされる。サウナ従業員の描写は作者本人の職歴によれば実体験が生きているのだろう。ただ全体の構成はどこかで読んだことのあるようで、オリジナリティは感じられなかった。
(C)
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サウナ店でアルバイトをしている赤松寛治59歳。ある日、店に不審な男が現れ、バッグを預けたまま消えてしまう。中身は大量の札束。躊躇しながらも、赤松はバッグをネコババする。P県警牛ヶ沼署刑事、江波戸良介38歳。地元暴力団・郷田組に2000万円の借金があり、返済を迫られていた。そこへ大金を持ち逃げした「鴨」が東京から来るという連絡が入る。外国為替証拠金取引(FX)で負債を抱えた主婦・庄田美奈32歳。夫のDVに耐えながら、週2日、デリヘルで働いている。そんな折、客の若い男に夫の殺害を持ちかけられる。
三つの物語の時間軸を少し違えて進めることで、うまく読者のミスリードを誘う。ラストで三つの物語が収束していく展開は見事だった。