紙の本
シビれる女の短編集
2015/08/24 10:09
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
「女の穴」
二人だけ残った教室で、鈴木幸子が担任の福田に言い放ったのは「私と子供をつくってくれませんか」だ。彼女いわく、自分は宇宙人で、地球人と子供をつくる使命を与えられているらしい。
ただの電波少女かと思い、ラッキーとばかりにコトに及んだ福田だったが、彼女の言っていることは本当だった!
一言で言うならば、男サイドから描く、セックスから始まる恋、だろう。初めは行為自体に価値の重点を置いていたはずの福田は、鈴木から子供が出来たと聞き、そして彼女が離れていったことで、彼女自身との関係に価値を感じるようになる。
教師と生徒という視点から見るならば、卒業というイベントによって、いつも学校に取り残され続ける教師の気持ちを描いた物語と見なすことが出来るかもしれない。
「女の頭」
寺島七緒の頭に人面瘡ができた。それは交通事故で死んだ兄のもの。兄妹でありながら、実は密かに愛し合っていた二人は、こうして初めて本当の意味でひとつになることが出来た。
しかしこの状態はやはり異常なもの。兄は妹のためを思い、身を引こうとするのだが…。
背徳的な思いゆえにずっと押し込めていたものが、相手が死にそれが人面瘡になることで、表出してくる。それは二人ともが心の奥底で望んでいたこと。
だが兄は自ら身を引こうとする。その時の妹の行動が凄まじい。これは次の「女の鬼」にも共通して見られる行動で、作者のある種、破滅的な恋愛観の現れなのかもしれない。
「女の豚」
ベテラン教諭の村田克己は、彼が男子生徒に懸想していることを、委員長の萩本小鳩に知られ、その奴隷にされてしまう。そのことを誰に言うでもなく、ただ自分の言うことを聞かせ続ける萩本の狙いとは何なのか?
愛の反対は無関心などとよく言うけれど、まさにこれは自分への関心を引こうとする行動だ。しかし、その方法が少し違う。
「女の鬼」
「女の豚」の別サイドストーリー&後日談。
学校が人生のすべてである学生時代には、ここで願いが叶わなければ人生は終わるという、近視眼的な思いに囚われてしまうこともある。これはある意味で、そんな話かもしれない。
また、教師と生徒という視点から見れ、気持ち的に卒業できない生徒の背中を押して送り出す教師の物語と見ることもできるかもしれない。
電子書籍
女の穴
2019/08/28 14:42
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
短編なので、そんなに作りこんだ話ではないんですが、設定が激しいというか現実ではありえないような設定で、ぶっとんでいていい。
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好きなのに見てもらえない。嫌われてでもこっちを見て欲しい! …でも好きなんだもの。本当は嫌われたくない。やっぱり好かれたいよ…。無限ループの恋の道。一見おとなしそうな娘もそんな暗い穴をもっているのです。えろ乙女ちっく☆巻末・カバー下の4コマも面白い。
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絵柄が苦手だった。しかし内容で読ませてきた。
主人公が若目な教師だったり、大好きな兄のジンメンソと頭で同居する妹だったり、中年のハゲデブチビのホモ教師だったり、そのホモ教師を好きな女生徒だったりするが、作品で一貫して描かれる愛というものが自分にとってどういうものであるかを、それぞれが出会ったキャラクターたちを通して気付いていく。
まぁそんな高尚な目的のためでなく、中年と女生徒のエロい関係が読みたくて買ったが、眼鏡委員長キャラが中年好きだったり、特に何とも思っていない男子生徒を家に招いてセックスするシーンはいいものですな。
虐げられる側と虐げる側の関係からとあるイニシエーションを経験して、最終的にふざけ合って笑い合える関係になれた描き下ろし作品が絵柄も内容も好み。
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古来、人を呪わば穴二つと申しまして、穴とは墓穴でござんすが、呪った本人もおっ死ぬ代わりに呪いの方は成就するという、呪詛の不可避性に関する含蓄ある教えでございます。さて、ぽっかり穴が空いておれば、得てして人は臨き込んでしまうものでございます。ぽっかり穴の空いたような目をした少女、人面疽の生えた娘、鬼に憑かれた女と様々出てまいりますが、人の心もまた穴のようなもの。情実や色情やら叙情やらとりどりに色めいておりますれば、綺羅万華鏡に見惚れて背中を押されませぬようゆめゆめお気詰め召されませ。
そんな感じの女子高生ライフがリリカルに活写されててとても面白かった
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おうおうおうおう!鈴木さん!!驚きますね。
全体を通して、新鮮なぶっ飛び加減が良かった。
特に後半の豚ちゃんが衝撃。
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不思議で、いやらしい、だけどかわいい女の子たちをモチーフにした短編集。愛らしい絵柄とシンプルな台詞で、ふわっと読みやすい作品になっています。ビビッドな表紙と衝撃的なタイトルに敬遠されることはないと思いますよ。
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ジャケ買いするくらいのカバーデザイン。絵は黒田硫黄さんが好きな人なら読めると思う。短篇集ではありますが、やはりというか表題作が面白い。
全体的なイメージとしては、ちょいエロでちょい変な世界観。初期の作品なのかなぁ…感はありますよ。
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短編集。ジャケ買い。タイトル買い。成功。
とにかくぶっ飛び、捻くれた設定が前提で、
それをふまえた細かな恋心や揺れる気持ちを描くスタイル。
全然わからない、共感は出来ない設定なはずなのだが、
不思議と読めてしまう説得力の強さがある。
どんな状況におかれても元は皆同じ人である。
こういう短編モノは表題と同題のモノが大概面白いものだが、
この巻は『女の穴』がつまらなくはないが、
他の話が凄すぎて霞んでしまっている。
ので若干タイトル詐欺っぽい。
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絵がいい!
一番はじめの作品がいいな。
ちょっとおそるおそるだったけど
ひきこまれる&意外とさっぱり。
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発刊当初から気になっていてついに買いました。
すでに4刷ですが4刷になっても紹介帯が付かない。
読んだ後には帯で売り文句をつけるより、
裏表紙の紹介文で充分だと感じました(いい意味で)
話によって少し絵柄が違うかなという印象。
流れるようにふわふわしていて女の子らしさが出ている。
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ふみふみこという作家は女を描くのがめちゃくちゃに上手い。
女のエロさ、えぐさ、純粋さを含めてサラッと描き出す。表題作と「女の鬼」はすごすぎる。
反面、男の描写が全然駄目なのは欠点とは言えるか。
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全然リアルじゃないんだけど、リアルに感じてしまうのはなんででしょうね。マゾな男の子にはたまらない本だなーと思います。
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これはすごいマンガ。演劇性・文学性が強く、ひきこまれてしまった。それでいて、あくまでマンガという媒体がこの作品にとって最適な表現だと納得させられる力もある。おもしろい。
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穴より頭、頭より豚が、鬼が、おもしろかった。
つまり、最初はふみふみこさんという人の絵柄とリズムに戸惑ったけれど、読んでいくうちにおもしろくなっていった。
P138、139の般若がかわいい。