サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

プロスポーツ年鑑 2011 みんなのレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー6件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (2件)
  • 星 4 (3件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
6 件中 1 件~ 6 件を表示

紙の本

感動を生む舞台づくり

2011/08/13 20:29

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

 シネマコンプレックス映画館にて、映写場入口付近でぶらぶらと入場待ちをしていました。カウンターの上にお子さま向け1枚新聞が置いてあったので手にとりました。有名スポーツ選手たちの写真とともに、とある映画に想いを寄せるコメントが掲載されていました。プロゴルフ、プロ野球、サッカー、レスリング、フィギュアスケート、競馬の選手たちです。1億3000万人から選ばれたごく少数のアスリート(競技者)たちです。人は彼らを「星」と呼びます。手の届かない存在です。そして、そうなりたいという憧れと目標でもあります。
 洋画「バックトゥザフューチャー」では、未来のスポーツ年鑑を手に入れた脇役が賭けで大金持ちになるという設定がありましたが、今回読んだのは2011年版で、ギャンブルの賭け枠の結果は出ていません。だから大金持ちにはなれません。
 1ページずつめくりながら全体像を把握する。300ページほどの雑誌です。2010年、去年のふりかえりから始まっています。プロスポーツを観る人(観客)がいて、PLAYする人(選手)がいる。そしてステージ(舞台)がある。鍛錬、一途(いちず)な気持、集中力があって、スピード、腕力、柔軟、華麗を生み出す肉体がある。それらをコントロールするのが頭脳と選手に協力する影の人たちと道具。ときに選手は命がけとなる。時の運を手に入れた者に勝利の女神は微笑み栄冠が輝く。どよめきとともに賞金と賭けのお金が動く。好きなことに打ち込みつつ、収入も確保する。一度は全部の種目をやらないと何の才能に向いているのかは自分も周囲もわからない。「BOX!(ボックス)」百田尚樹著では、天才ボクサー鏑矢(かぶらや)の友人大学進学特進クラスの木樽が、秘められていたボクサーとしての才能を開花させます。プロスポーツを単純に分けると、貧困に打ち勝つハングリーでなければできないものもあるし、逆に資金力や練習環境に恵まれたお金持ちでなければ達成できないものがあります。だれもが選手になれるわけではないのですが、監督のポジションはさらにだれにでもできるわけではありません。
 最初のページに戻って写真だけを目で追ってみる。相撲界は精彩を欠いている。本場所や稽古を見学したことがあります。稽古は神聖な雰囲気でした。力士の肢体は美しい。同様にサラブレッドの馬体もきれいです。テカテカと光り輝いています。オグリキャップの顔は淋しげです。昨年7月3日に死去したとあります。勝利を獲得するための鬼神のような顔があります。苦痛にゆがんだボクサーの顔があります。厳しい世界です。賞金と同額ぐらいの経費がかかっている。お金のためだけに闘っているわけではない。「優駿(ゆうしゅん)」宮本輝著では、競走馬オラシオンがおおぜいの人たちの願いを背負ってコースを駆け抜けます。
 次に統計表を読み込む。数値を情景へと変える作業です。昨年のプロ野球は接戦だったことがわかります。パリーグの活躍が目立ちます。永久に破られそうもない記録が目に入りました。昔とは年間試合数とか、ピッチャーの役割(先発完投から役割分担方式)変化があります。どのチームもピッチャーの登録人数が多いことから野球の勝利は、ピッチャーで成り立っていることがわかります。女子のプロボクサーがいることは初めて知りました。ボウリングで2000万円も賞金を稼げることには驚きました。家が建ちます。ダンスでは邦画「シャル・ウィ・ダンス」を思い浮かべました。競輪では「サクリファイス(犠牲、チームによる自転車競技)」近藤史恵著を思い出しました。アシスト白石23歳の支えがなければエースの勝利はありません。
 また最初に戻って文章を読み始める。数値を補足するための結果事実(いつ・どこで・だれが・なにを・どうした)を淡々と記述してあります。定型化された構成で読んでいて退屈です。である体や体言(たいげん)止めで結んであります。機械的な記述のなかにあって、キックボクシングの記述が光ります。キックボクシングに対する愛情がこもっています。スポーツには発散という要素があります。なでしこジャパンに熱狂するように「夢がかなう」という面で、高揚、興奮、金、名誉、プライドそして奇跡です。感動は国境を越えます。
 さらに読み進める。第3章以下は村上龍著「13歳のハローワーク」を読むようでした。プロスポーツプレイヤーになるにはの内容です。実技選考が基本です。体格に条件があるものもあります。事務職や営業職の選考とはずいぶん異なります。相撲第一次検査で、体重75kg以上とあります。体重だけならわたしも通過できる。フォミュラー・カーレースでJAFの会員であること。スポンサーにJAFがあるのでしょう。競馬、体重46kg以下、そんな軽い人は少なかろう。そもそも、プロスポーツ界で働いている人は世襲が多いのではなかろうか。もっとも社会全体でも世襲が多いような気がします。ボートレースも50kg台の体重制限あり。オートレース65kg以下。合格した若者たちは専門の学校へ通う世界が多い。養成期間を経てデビューとなる。続けて選手総数、収入についての項目です。プロボウラー1105人は少なく感じました。プロボクサーが2711人で、もっとも多いのは男子ゴルフプロ5009人です。日本の人口を考えればごく少数の人たちです。収入源は賞金・出場手当がほとんどです。月給制は相撲と競馬だけです。野球とサッカーは年俸制です。サラリーマンでなければ、個人自営業となります。億単位の年収がある人もいますが、一握り(ひとにぎり)というよりも塩粒ひとつまみぐらいの数の人しかいません。そのことから、能力が少々高いだけではだめで、他者を圧倒するずばぬけた能力をもっていないとプロでは通用しないという答えが導き出されてきます。ただ、それが事実なのかという疑問は残ります。プロ選手に聞いてみないとわかりません。
 最後にプロスポーツ界の組織について感想を述べます。待遇改善が必要です。プロの組織は世間の中では少数派です。選手の数と一般社会でのサラリーマンの数を比較すればそれがわかります。華やかである反面、力があるわけではないようです。経済的には弱者の立場にあるようです。収入源は観客の観戦料が基礎です。プロ野球が一番多い。続いてボートレース、サッカーとなりますが、そのほかのプロスポーツは観戦者数が急激に減少します。選手個人の我慢と自己努力で成り立っている気がします。酷なことです。社会貢献も努力目標として掲げられています。この国で、スポーツを高めていくためのシステムが必要です。国、選手、観客が協力して「感動を生む」シーンをこれからも実現したい。
 文庫を片手にメタボ克服のための散歩をしていたわたしは、スポーツ選手とは正反対の位置にいます。ベンチでひと休みした公園の横にある小学校の校庭から野球の試合をしている声が響いてきました。小学生が真夏の空の下、声を限りにあげている。プロ野球2軍の試合を何度も見に行ったのは、息子が小学生のときでした。その後、日本中の球場へ足を運びました。行けなかったのは、札幌と所沢でした。そんなときもありました。こどもがいるから父は一緒に球場へ行きます。競技場は老若男女の憩いの場所です。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

青春のつづき

2011/08/12 08:22

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 高校野球は好きではありません。生来の運動嫌いというだけでなく、なんだか高校野球だけが青春みたいな雰囲気がどうしても好きにはなれませんでした。
 汗、青空、白い歯。友情、根性、夕焼け。夏の甲子園まっさい中のちょうどその時に、図書館の狭い机で受験勉強をしている高校生だって、同じ18歳。それなのに、どうも高校球児の方が青春してるっていう印象は否めません。それがとても嫌でした。
 ところが青春も多様化して、昔は野球一辺倒だった競技もサッカー人気に押されているし、今やマンガやロボットなんていう分野でも甲子園大会があったりします。青白い文系の人間も青春してるのです。当たり前ではありますが。

 運動はできなくても記録が好きな人もいます。歴代の徳川将軍の名をづらづらと、天皇の名前もつづきます。そういう記録好きにとっては野球選手の安打数やホームラン数、相撲取りの星の数、サッカー選手のベストイレブンなんていう記録は垂涎ものかもしれません。
 本書は日本プロスポーツ教会編の2010年のプロスポーツのシーズン総括をまとめたものです。記録好きにとっては一つひとつの数字がたまらなく魅力です。記録にこだわらない人でも、あの日あの時打たれたホームランの球の軌跡がうかびあがるかもしれません。
 プロスポーツにおける記録とは、常に数字だけでなく、人々の思い出とともにあるのですから。

 プロスポーツは遊びではありません。選手たちは勝敗に一喜一憂し、数字にこだわります。青春の延長にあるのではなく、生活の糧という部分ももっています。それでも、彼らはどこかで青春のつづきを生きています。それはそれでうらやましいかぎりです。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

意外に楽しめるしためになる本なので、ぜひ学校の図書館に置いてほしい

2011/10/02 20:49

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る

『プロスポーツ年鑑』は、「国内のプロスポーツ競技団体のトピックスをはじめシーズン記録や歴代記録、その他基本情報をわかりやすくまとめて掲載することにより、プロスポーツ界の現状を把握し、今後の展望に役立てようという目的で編集された」もので、1994年から発行されているものだそうだ。
今回機会があって、この年鑑を目にすることができた。日本プロスポーツ協会自体が財団法人なので、きっと関係団体の人以外がこの本を目にすることは少ないのではないだろうか。それとも実は、学校とかスポーツクラブとかには置いてあるのかな。
内容は協会や各プロスポーツの団体の基本的な情報資料を含めて3章立てと付録になっている。だが、まず目に入るのは巻頭の「2010年HIGHLIGHTS」だ。これが、 どの写真を見てもみな格好いいじゃないか。当然と言えば当然だけれど、それぞれの決定的瞬間を捉えている。これを見るだけでもプロスポーツを見てみようと思ったり、さらには自分でもやりたくなるんじゃないだろうか。

「第1章 '10年シーズン総括」は、各スポーツの2010年の記録だ。どのスポーツもそれぞれの競技の大きな試合や大会の記録と、1年を振り返ってのまとめのような記述がされている。一般新聞記事のように淡々と事実が記述されているので、見た記憶のある試合や大会ならばそれなりに思いだすものもあるが、そうでない競技はただ事実を読んでいくしかない。例えばダンスのようにどこでどんな大会が開催されていて、どんな人が出場して優勝したのか知らないような競技だと、どうしても字面を追っていくだけになる。またその競技にだけ通用する言葉があり、それが何の説明もないままに記述されているので、ちょっと戸惑ってしまう部分もあった。
この各スポーツの記事に続いて、1年の様々な記録と歴代の記録が収録されている。実はこちらが面白い。1年の記録ももちろんだが、歴代の記録の中に自分の知っている人を見つけたりして、改めていろいろな発見があった。
それぞれのスポーツで気づいたり、面白かったりしたものは以下のとおり。
相撲では「第69代横綱【白鵬】'10年全成績」 年間の全取り組みの星取り表になっていて、90取り組みの相手と結果が並んでいる。ほとんどが白星になっていて、いかに白鵬が強いのかが一目瞭然だ。その一方で、「歴代横綱名」では懐かしい名前を見つける。遡るとたぶん江戸時代なんだろう。どんな力士だったのか思わず想像してしまいたくなる。
野球を見ると、「’10年セ・リーグベストナイン」ではドラゴンズがリーグ優勝しているのに、ベストナインではドラゴンズからは2人しか選ばれていないことがわかる。
男子及び女子ゴルフではパーキープ率だとか、パーオン率だとか、フェアウェイキープ率だとか、こんなものまで記録しているのだと言うのが驚きだ。
サッカーは記録ももちろんだけれど、「2011選手一覧」がJ1とJ2すべての選手が載っているので、その選手数の多いことおおいこと。
ボクシングを見ると「ジム別勝率ランキング」なるものがある。優秀な選手を沢山輩出しているということも記録の1つなのかもしれないが、抱えている選手の人数も、強さもそれぞれなのにランキングにする意味がどこにあるのだろう。また「年間最高試合」というものもあるが、これも何をもって「最高」というのか。
ボウリングもプロスポーツだ。プロボウラーの試合(?)を見たりすると、わりとパーフェクトが出るような気もしていたが、「300点(パーフェクト)達成者」によれば1年間で男子で61人、女子で18人もいる。これが多いのか少ないのかわからない。また、記録のページに選手の写真が載っている。投球後だったり決めポーズしていたりで、何となく面白い。
競技としてのダンスもプロスポーツらしい。競技としてはパートナーを必要としたり、ランクがあったり。知らない世界のことなので、いちいち感心してしまう。
フォーミュラ・カーレースには、シーズンの記録や歴代の記録がそれぞれチーム部門とドライバー部門でランキングされている。カーレースは個人の技能ももちろんだが、やはりチームとしてどう戦うかが重要で、それが記録としても評価されるのだろう。
競馬の記録の何が面白いかと言うと、賞金でランキングされているものが多いからだ。ある意味プロらしいわけだが、ここまではっきり書かれていると、稼いでいる馬とか稼いでいる騎手や調教師らがどれだけすごいことをしているのか目に見えてわかる。
競輪は競技全体をまとめる記録と言うものがあまりなく、それぞれの競技会の決勝成績が淡々と並べられているのがかえって印象的だ。
ボートレースの選手名簿も特徴が出ていて面白い。氏名、生年月日に現住所(県名)、身長、体重が載っている。これを見る人が見れば何かデータとして重要だったり、面白かったりするのだろう。
オートレースにはある名前を見つけてしまった。人気アイドルグループの元メンバーじゃないのか。「選手名簿」にも、取得賞金31位にある。
なぜ「ボクシング」のあとに並ばずに、「競馬」や「ボートレース」などの後に「キックボクシング」があるのかはわからない。ボクシングとキックボクシングはまったく違う競技なんだろう。それがわかるかもしれないのが、「キックボクシング」のシーズン総括記事の冒頭にある「キックボクサーの宿命とは」という、他のスポーツにはないキックボクシングの歴史の記述だ。そこにあるのは「宿命」というより「怨念」とでも言っていいような書かれ方がしてある。私の子どもの頃にはキックボクシングがマンガになるほど人気があったが、その陰にはこのような「宿命」があったと初めて知った。それに、けっこう競技者人口が多いようだ。

「第2章 プロスポーツ団体の概要」はつまらないと言えばつまらないが、各団体の所在地や電話番号(!)、設立年月日、設立目的、事業内容、代表者、設立から現在までのあゆみなどなどが書かれている。さらに、選手の格付けや試合のルールなどが書かれている。意外と優勝賞金の高いスポーツやら、ルールが複雑な競技やら、これまで漠然と知っているようなつもりでいたルールがわかって面白い。

「第3章 プロスポーツ界の現状」だけを別冊にして、ぜひ学校の図書館などに置いてほしいと思う。「プロになる方法・条件」「選手について」「指導者について」「観戦について」「社会貢献活動」「表彰制度」「主なスポンサー企業・団体」が書かれている。子どもの職業選択の時にこの本に載っているプロスポーツ選手になればどうすればいいか、実際になるにはどんなに大変かが、ここを読んでみるとわかると思う。漠然とあこがれを持つことも大切なことだが、職業としてスポーツを行っていくことがどういうことかわかって良いのではないだろうか。

こうして読んでみると、けっこう隅から隅まで読んで面白い本だった。表紙がシンプルで地味な印象も持ってしまうが、プロスポーツをいろいろな角度から知るのに役立つようにも思う。どうして今まで知ることがなかったのだろう。
それに、ここに載っているのだけが日本のプロスポーツなんですか?

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

むしろ「日本プロスポーツ協会年鑑」というべきデータ資料集

2011/08/09 16:47

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「日本のプロスポーツ」について網羅的に取り上げた年鑑である。財団法人日本プロスポーツ協会が 1994年以来、一年ごとに編集・発行している年鑑で、大相撲、プロ野球、男子ゴルフ、女子ゴルフ、サッカーJリーグなど日本プロスポーツ協会に加盟する14団体を中心に、前年度の活動や記録、選手プロフィールなど広範な情報とデータが掲載されている。

 それぞれ個別のスポーツのファンにとっては、雑誌やインターネットなどで詳細なデータを入手できるが、いわゆる「プロスポーツ」をまとまった形で一覧できるのが、この年鑑の最大の特色といっていいだろう。

 一般人がよく知らないプロスポーツが、日本プロスポーツ協会加盟団体として取り上げられているのは面白い。たとえば競技ダンス。ダンスというと一般人はスポーツというよりも、芸術により近いと考えがちなのだが、競技ダンスはじつは競技スポーツであり、しかも「プロスポーツ」であるのだ。そしてキックボクシングが、いまでも打倒ムエタイをミッションに掲げているのも興味深い。

 いわゆる「公営ギャンブル」と一括されがちな競馬(中央競馬、地方競馬)、競輪、ボートレース、オートレースも「プロスポーツ」として収録されている。たしかに、多額の賞金がからむギャンブルであるが、「見るスポーツ」でもあることは確かである。これらの「プロスポーツ」が一覧できるのがこの年鑑の特色だ。

 おそらく一般人が知りたいのは、なんといっても「プロ選手」の収入ではないうだろか。『プロスポーツ年鑑』には、賞金ランキングが掲載されているのでこれが役に立つ。「見るスポーツ」である「プロスポーツ」には、当然のことながら興行という側面があり、メディアとの関係も重要になってくる。その点でいえば、スポンサーが露出するマラソンや駅伝なども、限りなく「プロ選手」に近い存在がいるわけであり、取り上げてほしいものだと思った。テニスの「プロ選手」については取り上げられているのだから。

 ところで、プロリーグが成立していない女子サッカーについては、日本代表チーム「なでしこジャパン」の2011年ワールドカップ世界一の偉業は、『プロスポーツ年鑑2012年版』ではどう扱われることになるのだろうか? 「プロリーグ」ないだけでなく、「プロ契約」している選手は女子サッカーでは数人しかいないというではないか。スポーツにおける「プロ」とは何を意味するのか、そもそも論についての考察もほしいところである。

 いろいろと注文もつけたが、『年鑑』がプロスポーツを一覧できる資料集として価値があることは言うまでもない。今後も内容を充実させたうえで、継続して発行されていくことを望みたい。  

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

2010年のスポーツの感動をぎっしり詰め込んだ一冊

2011/08/09 21:53

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:JOEL - この投稿者のレビュー一覧を見る

 本書は2010年のスポーツの記録集である。相撲、野球、サッカー、ボクシング、競馬など、主要スポーツの成績上位者やチームの名前、数字がずらりと掲載されている。したがって、スポーツ指導者の書棚や、新聞・テレビの報道部の収蔵庫には、毎年発行される、この年鑑が並んでいることだろう。

 各競技の「シーズン総括」の欄は、2010年の出来事を振り返っているので、読者の脳裏に名場面がよみがえってくる。

 例えば、白鵬が双葉山の69連勝を超えそうな勢いで63個の白星を積み重ねていた頃。それは盤石の横綱相撲であった。そして、ついに稀勢の里に黒星を喫して、連勝が止まったときの白鵬の複雑な表情。見ていて息が詰まりそうになったシーンが思い出される。

 名古屋グランパスにJリーグの栄冠をもたらしたストイコビッチ監督。優勝したときの笑顔は、現役時代に相手ディフェンダーを翻弄するフェイントワークを駆使していた勇姿を思い出させてくれる。

 野球、サッカー、競馬など、各競技に思い入れの深い人には、それぞれの名場面をたぐり寄せる糸がきっと見つかるだろう。

 こうした年鑑のよいところは、”感動再現装置”として働いてくれるところにあるのだと思う。本棚に置いてある年鑑に手を伸ばして、ぱらぱらとページを繰れば、あの感動をもう一度味わわせてくれるのだから。
 競技によっては、過去10年分やそれ以上の記録を載せてくれている。そのことに、いっそうの感慨を覚える人もいるかもしれない。ボクシングの歴代世界王者一覧のように。

 2010年にはオグリキャップが亡くなった。「シーズン総括」で、88年に中央競馬に移籍したところから始まるオグリキャップの華麗な経歴がまとめられている。かつてのファンには感涙ものだろう。

 では、自分の関心外の競技の項目はどうみればいいのだろうか。読み飛ばす? それでは、もったいない。

 年鑑のもうひとつの楽しみとしては、各競技の持つ美しさを発見するところにあるように思う。ダンスのように、もともと人に見せる要素のある競技が美しいのは当然だ。それ以外にも美しさを見いだせるのはなぜだろう。どんな競技であれ、トップレベルの競技者が、その競技を極めたときには、普遍的な美しさが現れるからに違いない。

 例えば、2010年の日本プロスポーツ大賞の「最高新人賞」を受賞した巨人・長野久義。長野のバットがボールを捉える瞬間を写した写真が載っている。足腰のたくましい踏ん張り、左右の手の絶妙な湾曲、こうしたものの総体が、見るものをうっとりさせる。これだけのバッティングフォームは、なかなかない。

 あるいは、キックボクシングの石井宏樹が放つ右足のキック。蹴り足そのものが、あたかも意志をもつかのように、計算し尽くされた軌道を描いて、対戦相手にヒットしている。それにともなう上半身の柔らかなしなりと、軸足の筋肉の隆起。この瞬間を捉えた写真もすばらしい。

 女子選手では、ゴルフの横峯さくらがクラブを振り抜いたあとに、ボールの行方を追う視線の流れが美しい。

 トップ選手が生み出す競技中の瞬間の美。これを捉える写真家と、それを感じ取る読者の感性。それが交差するところに、年鑑の写真を眺める楽しみが生じる。

 自分にとってのベストショットが見つかったときには、ル・コルビュジエの設計した建築美やピニンファリーナのデザインした流麗な車の美しさに対比したくなるほどだ。そのくらい、競技者の躍動美には嘆息を誘うものがある。

 本書のp.238-239には、各競技の社会貢献活動が記されている。アメリカに渡った日本の選手が、現地の仲間とともに社会貢献活動をする様子が時々報じられる。アメリカでは競技するだけでなく、社会貢献することもプロスポーツに取り組む選手たちに必須の要素なのだと教えられる。
 その点では、日本のプロスポーツだって、なかなかどうして、いろんな社会貢献活動をしていることが、このページから分かる。

 願わくば、競技によって人気に差があるので、こうした年鑑を通じて、マイナーと思われる競技の魅力が伝わり、スポンサーが増えて、選手たちや所属チームの経済基盤が安定していくことである。それによって、競技レベルがあがり、ファンが増え、スポンサーも増えるという好循環が期待できるからである。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

記録からよみがえる記憶

2011/08/09 21:43

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:木の葉燃朗 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 日本プロスポーツ協会による年鑑。2010年の記録、トピックスを掲載。競技によっては、過去数年分の記録も掲載されている。あわせて、各団体の概要、選手・指導者になるための要件、団体に関する連絡先も掲載されている。
 個々のスポーツについて、より詳細を知るには、各団体による記録に目を通した方が良いかもしれない。しかし、競技を横断して2010年のスポーツ界の状況を知るには、この年鑑はコンパクトにまとまっていて良いと思う。

 個人的に好きな競技、例えばサッカー(Jリーグ)の部分を読むと、ニュースなどで話題になることも多かったJ1だけでなく、J2の順位表や個人別得点順位表、さらに2006年からのJ1・J2の順位・個人の得点順位・表彰選手なども掲載されていて、その記録を読むだけで色々なことを思い出す。
 一方で、時々は見る程度の大相撲やプロ野球は、改めて2010年の様子を知ることが出来て興味深い。例えば、初場所はまだ二人横綱だったとか、日本一になった千葉ロッテはリーグ3位からの勝ち上がりだったとか。

 更に、普段見ることのない競技についての記録を読むことができるのも面白い。そもそも、「プロスポーツ」と聞いて、どんなスポーツをイメージするだろうか。上に書いた相撲、野球、サッカーは多くの人が思い浮かべるだろう。ではその他は。観戦する、参加している競技にもよるのだろうが、バスケットボールやバレーボール、ラグビーなどを思い浮かべる人もいるかもしれない。しかし、これらの競技の団体はプロスポーツ協会には加盟していない。私にとっては、これはちょっと驚きだった。
 ではどのような競技団体が加盟しているか。まず、男女ゴルフ、ボクシング、キックボクシング。こうした競技は、聞けば「ああ、言われてみれば」と思うかもしれない。他にはフォーミュラ・カーレース(フォーミュラ・ニッポン)、中央・地方競馬、競輪、ボートレース、オートレース。このあたりは意外に思う人もいるかもしれない。そしてボウリングにダンス。これは正直に言って私は意外だった。
 しかしいずれの競技も、プロの選手が順位や技能を競うスポーツであることが分かる。特に格闘技も好きなものとしては、ボクシングやキックボクシングには興味が沸く。このように、それまであまり知らなかった競技に興味を抱けるのも、複数の競技について記録されている本ならではの面白さ。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

6 件中 1 件~ 6 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。