紙の本
アイデンティティのありどころ
2012/01/24 15:01
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
テロメアの修復技術が確立され、クローンは一般的な技術になった。しかし、人間のクローンは犯罪だ。倫理的にも問題があり、世界では禁止されている。だがそれも、倫理を上回る何かが存在する状況が生まれれば覆る程度のものでしかない。そして戦争は、その状況としてこの上ないもののひとつだろう。戦争によって技術が進歩するのは、一面の真理ではある。
要人のバックアップを作る目的で開始された、人間のクローンと記憶の移植技術の研究は、大詰めを迎えていた。戦争の終わりによって再び倫理が取り戻される前に、ギリギリ滑り込みで作られたクローン人間の名前は木原慧。研究者の土師悠司が、余命わずかの自分の恋人を、クローン人間として、かつての記憶を持ったまま、蘇らせたのである。
かつての記憶を全て持ったまま作り出されたクローン人間は、果たしてもとの人間と同じなのか、それとも違うのか?生と死の最前線で繰り広げられる、人間とは何かの恋物語です。
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感想 中盤にかけてから止めどころがわからず最後まで読み進めてしまいました。
疑問点 作中において慧のみが漢字表記でした。ユリにはカタカナを用いていますが、これは慧を強調するための表現だったのでしょうか?
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唐辺葉介さんの新作.クローンとクオリア問題に立脚した古色蒼然たる設定に,ものすごく好みなもにょもにょするラブストーリーで俺得度高すぎた.プロローグをもっと活かして,人間の内面抉るようなダークさ発揮しても良かったんじゃないかと思うけど,三十路のおっさん主人公でそこまでやったらマニアックになりすぎるかな.(笑) 次の作品も2011冬って書いてあるし,満足感高いですね.
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クローンもののSFにして爽やかさが香る.自分が愛した人とは?人格?肉体?いつ人は死ぬ?彼の選択は.この設定でも青春小説って書けるんだ.特に陰謀が起こるでもなくいたって淡々とシュールに世界は回る.でも劇的に.倫理観のターニングポイント.彼らは始まり.アダムとイブ.
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クローン技術と記憶(自我の連続性や同一性)を扱ったSF。語り口や描写、終わり方が唐辺さんらしい。
物語は、クローン技術者の主人公が亡くなった恋人を複製するところから始まる。しかしその恋人は、生前の肉体と現在の肉体との微妙な差異に戸惑い、やがて自己の認識の在り方そのものに疑問を抱きはじめる……と、わりかしありがちな設定を、例の唐辺節が見事に描いていきます。こういった作品にありがちな組織的な思惑(クローン技術を使った国家レベルの組織の暗躍等)も、物語中では特別深い描写はなく(クローン技術が外国で悪用されている例などには触れられている)、基本的に主人公の周辺だけで物語は進行します。故に、違和感を抱えたまま生活する恋人と主人公の日常の描写も多いですが、その辺りの描写なんかは非常に唐辺さんらしいかなと思います。特にラストなどは唐辺葉介感がMAX。笑
物語のラストには賛否あるかと。問題提起的なラストになっており、「これで終わり?」と思わなくもなく、実際そこから先の物語を読んでみたいとも思うのですが、これはこれでありなのではという納得もあったり。
主人公の最後の言葉と、最後の最後に書かれたほんの一文――そこに、主人公或いは読者にとって、体内で分解されない類の強い「毒」を感じました。
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薄いわりに高いなーと思ったが、紙も薄かったのでボリュームはありました。
あとイラストが美しいですね!
美しいけど、小説としてはカラーページで値段上がってる感が気持ち懐いたかったです。
お話の方は何を言ってもネタバレになりそうなんですが、クローンに関する倫理的・心理的なお話でした。
主人公が利己的で大雑把じゃなければ、もう少し別の方向に話が進みそうな気がしますね(笑)
ちょっと説明的で不自然な台詞回しが気になりましたが、話の流れや結末は順当なかんじで、話の内容が内容なだけにウヤムヤにまとめられちゃうのかなって思ってましたがスッキリと読めました。
最後は途中で読むのを止めるのが嫌で一気に読みました。
楽しい話ではないですが、引き込まれるお話です。
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基本的には面白かった。話の進み方もテンポよく非常に興味を引き、楽しみながら読むことが出来た。それだけに悔しいのだが、まず、最初主人公の高校時代のエピソード、これが伏線となって、最後で拾っているのですが、ただ拾っただけで終わってしまっていて詰まらない。もうちょっと、展開を広げてストーリーに絡めると面白いエピソードが出来たと思う。そして、最後に主人公の所に元主人公が訪ねてくるシーン。現主人公に元主人公が言いたいことだけ言いまくった挙句。夢オチで終わりってのは如何なものか・・・最後10ページ以外は本当に楽しめただけに残念で仕方ない。
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感想はブログに書きました。
http://d.hatena.ne.jp/ryoh_tenten/20110906#1315314922
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人間だって人間と分かり合えないのに、ましてやクローンと
人間が分かり合えるはずもない。
タイトル的にはドッペルゲンガーというよりかは、クローンである。
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思った以上ペースが早かったんで、一週間もならず三、四日間で読了。
最初郵便から本を受け取った時完全にこの美麗なイラストにやられた。カバーだけじゃなくて中身までカラーだと!装丁も印刷もすごくしっかりしてるので本の出来自体は大満足でした。
そして中身。噂通りこれまでの「唐辺作品」、あるいはシナリオライター時代のような作品を期待してた人にとってはちょっとハズレかもしれません。文風は相変わらずでしたが、話の持ち上げ方とか、設定や舞台の雰囲気とか、終盤までお進み方とか、今までのとはかなり違います。
星海社での初めての作品ということでプロデュースによるの落差も想定していたが、やはり「提示した課題に応えてみる」というテーマ作文臭を匂ってきました・・・。まあそこは別に悪い気はしないんですが。とりあえずSFというジャンルには若干慣れていない感触がしましたので今後の展開に注目していきたい。
ここから少しネタバレになりますが、
肝心な話の内容--っていうか哲学。ちょうど最近友達との議論に「過度膨大なエゴが周囲を侵食しつづ」の話題も触れたので、その話と合わせてみれば面白かった。が、物語の着地点がてっきりそっちの方に定着したせいで、ドッペルゲンガーの話どうなってるんだろう…と思っちゃいました節もあります。
キャラの絡めやカップル同士の分かり合えない感は相変わらずで心に沁みます。唐辺さんは本当にこういう人間模様を描くのに上手だなって毎回のように思いました。ただ出番が少しなかった分、二人の主人公以外もうちょっと描いて欲しかったキャラがたくさんいました。トミタ先生というキャラ結構気に入ったのに、その一言だけを言わせるためな出番だと情けなかったですよ(笑)
そしてこのホラーかスリラーっぽいな結末はまだPsycheと似てる香りがする。たまらん。実にたまらん。コピーキャッチの『胸打つSF』、『胸クソSF』とても言い換えそう(もちろん良い意味でですが)。
とりあえず読み終わったら頭いっぱいになってて幸せでした。
次作の死体泥棒にも期待します!
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死んだ恋人のクローンを作った男。ドッペルゲンガーとの生活は……? クローンという現在の自分とはかけ離れた人物の描写なのに、きっちりとリアリティが存在している。面白い。
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人間関係の面倒臭さを淡々と描くのはいつもどおり。主人公の意識の上での認識と客観的な場面描写が区別なく描かれている場面は、幻想的ではあるが、この著者の場合なにかごまかしているようにみえてしまって、あまり似合わないような気もする。ラストは何かとってつけたような感じがして、あまり好きではなかった。
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面白い部分もあるけれど、なんか、あまりまとまってないですね。
唐辺さん段々劣化してるなぁ・・・。
ファンなので一応次回作の死体泥棒も買うけれど次で
見切りつけるかもしれない。
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東野圭吾の世界が好きなひとが好きな作品かも。面白かった。
でもなんか放られた種が摘み取られてない部分が所々あるかも。
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——僕の恋人は、死んだ恋人の記憶を植え付けたドッペルゲンガー。
亡くした恋人のすべての記憶を、僕はクローンに植え付けた。新しく誕生した「恋人」との暮らしが、僕と彼女を追い詰めていくとは思いもよらずに——。
まさに待望、唐辺葉介の復活作は、胸打つSFラブストーリー。
▼試し読みはコチラ
http://sai-zen-sen.jp/fictions/doppelganger/