紙の本
肉を焦がすほどの愛
2020/04/09 20:00
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
漁業でにぎわう町の、焼肉屋に集う人たちがユーモラスです。だらしない母としっかり者の娘の、成長していく姿にも胸が熱くなります。
投稿元:
レビューを見る
もう、ぼろぼろ泣いてしまった。
きいろいゾウを超えたかもしれない、これは。
漁港で働く肉子ちゃんとその娘、キクりんの物語。
もうしょっぱなからツボ。語呂合わせの好きな肉子ちゃん。けものへんに交わるで狡い、だとか、雨ヨと書いて雪だとかのくだりもたまんないし、「親不孝」と書かれたマグカップ。すごーいすごーいという鼾。肉子ちゃんとキクりんの愛すべき物語。
西さんのあとがきもまた素晴らしかった。
肉子ちゃんみたいなひとが身近にいればみんな幸福なんだろうな。
投稿元:
レビューを見る
毎度のことながら、まずは作者西加奈子先生と三省堂書店有楽町店(@yrakch_sanseido)さんに百万の感謝を。紹介がなければこの本のこと知らずにいましたから!
生暖かい肉感がリアルな圧迫感のあるお話で。
それはまさに肉子ちゃんの迫力やから!
カバーの元絵はクリムトですよね? なんかそのむちむちの腿が肉子ちゃんだなぁと。
にもまして、帯の「迷惑かけて生きていけ。」がすごい。
で、まぁわけのわからない流れ者の母子家庭だし、当然なんだけど何所に繋がるんだろうと思ってたらそこか!
いやでも、本当に発想は石巻だなんて全っ然気がつかなかった。絶対北陸の漁港なんだと信じ込んで読んでいた。そのテクニックがすごいなと思った。
とりとめないけど最後に、キクりん、おめでとう(ぎゅうううううううっ)
投稿元:
レビューを見る
西加奈子の少女時代再生能力に感嘆させられる一冊。 寂れた漁港にある焼肉屋「うごがし」に住む肉子とその娘の物語。インドの犬のような風貌にもかかわらず、「肉子」とあだ名がつくくらい肉々しいお母さんを持つ娘の視点で物語は進行する。同級生男子との視線の交錯のエピソードが秀逸。よく目が合うのは、自分が相手を見ているから、というのはいつの時代も真実。借り物競走の肉子さんのアイテム「小説」に司馬遼太郎の『峠』を持ってくるところにが、私的な一番の山場だった。ここのところ少女小説が続く。
投稿元:
レビューを見る
+++
みんな、それぞれで生きている。それでいい。圧倒的な肯定を綴る、西加奈子の柔らかで強靱な最新長編。
+++
ふたりきりで漁港に暮らす見須子(みすじ)母娘――ほんとうは菊子という名前なのに、その容姿から「肉子ちゃん」と呼ばれている母と、その娘だが、母にはまるで似ずにかわいらしい容姿のキクりんこと喜久子――の物語。寂れた漁港の焼き肉店「うをがし」で働く肉子ちゃんは波乱万丈の人生を送ってきたが、いまはキクりんとふたりしあわせである。キクりんは、学校で陰湿に繰り広げられる女子同士のあれこれを思い煩ったり、遠くから視線を送ってくる男子たちには無関心なのに、いつもその後ろにいてときどき変な顔をする二宮のことは気になったりしながら、小学五年生の日々を送っている。何気なく見えるが互いに互いを思いやっているのがよくわかって、あたたかい気持ちにさせられる。最後に衝撃の――キクりんにとってはそんなこともなかったようだが――真実が明らかにされて、どうなることかと思ったが、どうにもならず、しあわせな母娘はさらにお互いを大切に思うようになったのだろう、とわかったのも嬉しかった。物悲しくあたたかく、安心させられる一冊である。
投稿元:
レビューを見る
震災前の石巻や女川の旅行先から産まれた小説と肉子ちゃんだったエピソードをあとがきを読んで泣きました。明るい肉子ちゃんが元気を振りまいて港のみんなも笑顔になれそうな不思議な魅力の女性を。最後に二人に隠されてた事実がわかるのだけど、同じ名前の真相。そんなキクリンもかわいい。女子の複雑な友達関係の描写はよくあるある、そういえば松本*桜井*二宮がいたから、どうせならあと二人の名前も!
投稿元:
レビューを見る
肉子ちゃんが魅力的ではあるけれど
こんなひと実際にはいないよね、って思う。
キクりんの学校でのエピソードなんかは
いかにもありそうな話なだけに…。
投稿元:
レビューを見る
またまた傑作。本当に大好き西加奈子。
わかってるフリして、いい子のフリして、無理して大人ぶって。
だけど、人には迷惑をかけていい人がいる。迷惑をかけて欲しい人がいる。
コメディタッチで進められて行くストーリーの中に、大切なことがたくさん詰まっていた。
私は彼女が小説家をやめない限り、新作が出続ける限りは、世界に楽しみを持って生きていける気がする。
…言い過ぎか。
投稿元:
レビューを見る
とある田舎町の漁港の焼肉屋で住み込みで働く肉子ちゃんと小学生の娘キクりんのお話。肉子ちゃんの強烈なキャラクターと、キクりんの冷静なつっこみに思わず笑ってしまいます。西さんって、どうしてこんなに個性的で、でも愛らしく感じてしまうキャラクターを生み出せるのだろう。読んでいて心が温かくなりました。
投稿元:
レビューを見る
初西加奈子作品。
ここにきて、今年一番!
「自ら大きいって書いて、臭いと読むのやから!」
たった2頁目で、肉子ちゃんパワーとキクりんの語りに心奪われ、結局は泣かされちゃうし。
わたしの大好きなサリンジャーでさえ、肉子ちゃんにかかれば
「サリンジャーっ!なんとか戦隊の名前みたいやなっ!」だもん。
ほんま、面白かったあっ!!
投稿元:
レビューを見る
太っていて、だらしなくて、センスの悪い肉子ちゃん。
普通なら嫌悪すべきキャラクターでも愛すべきものに変えてしまうのが西加奈子のすごさだと思う。
小学校のクラスの派閥争いみたいのもあるあるって感じで楽しかった。
こういう日常を書いた作品って落とし所はどこになるんだろうって途中で不安になる。でも、このだらだらとした楽しさがいつまでも終わらないでほしいとも思うのだけど。
最後はやっぱりグッとさせられた。「肉子ちゃんみたいになりたくないけど大好き」この物語はこの言葉に尽きると思う。
家でこの本を読んでいたら夫が「これって、オカルト?」と聞いてきた。衝撃的なタイトルだった。
投稿元:
レビューを見る
有楽町三省堂書店の店員さんがTwitterで絶賛していたので、読んでみました。
太っているからあだなが肉子ちゃん。ことごとく付き合う男性に騙され、借金を抱えさせられ、転々としながら漁港のある港町にたどり着き、それでもスーパーポジティブに明るく生きる年齢38歳でシングルマザーの肉子ちゃん。その娘である小学5年のキクりんの目線で、ごくふたりの日常や周りの人たちとの交流が描かれている物語です。
前半は読み進めるのがつらくて、そんなにハマっていかなかったけれど、後半は一気に読んだ。最後は号泣しました。
人生いろいろあるけれど、肉子ちゃんみたいに明るく楽天的に一生懸命生きる姿をみていると気持ちがいい。いい話だった。
投稿元:
レビューを見る
前半2/3位は「きりこについて」のバリエーションみたいだなぁと思っていたのですが、唐突に展開する物語の核心部分とその後の展開に熱いものが…。 きりこちゃんのブスさ加減もすごかったけれど、肉子ちゃんの造形はこれがまたすごかった。 「すごぉぉぉい すごぉぉぉい」鼾だけでで肉子ちゃんの全てが顕されている! そして憂いをもってスカーフを被った姿が「マトリョーシカの一番でっかいの」って・・・ 着るもののセンスが悪くても、言葉の最後がいつも「!」か「っ!」でも、いびき「すごぉぉぉい」って聞こえても、肉子ちゃん、大好きだよっ!
投稿元:
レビューを見る
本当は菊子なんだけど、あまりに太っているので皆に親しみをこめて肉子ちゃんと呼ばれている、どうしようもないけど愛すべきキャラの女性と、全く似てない娘のお話です。
投稿元:
レビューを見る
どんなタイトルやねん!
関西弁ででっぷりとした菊子→肉子ちゃんと娘、喜久子の物語。母娘なのに不思議な距離感やと思っていたら、自分の子供ではなかったのね。
貧乏だったとしても、底の抜けに明るい肉子ちゃんがいてくれたら、毎日楽しく暮らせそう。こんな焼肉屋さんがあったら通っちゃうね。