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さあ、とんでごらん! みんなのレビュー
- サイモン・ジェームズ (さく), 福本 友美子 (やく)
- 税込価格:1,430円(13pt)
- 出版社:岩崎書店
- 発行年月:2011.10
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絵本
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紙の本
飛んでみることから始める
2012/03/18 22:13
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和46年(1971年)2月5日、フォークグループ「赤い鳥」が歌う『翼をください』が発表されました。当時はこれも名曲ですが『竹田の子守唄』のB面としての収録でした。
このB面という言い方も今の若い人にはわからない言葉かもしれません。当時のレコードはA面、B面という言い方をして主となる曲はA面に収められていました。つまりB面は添えられた一曲ということになります。
この曲が発表された年、私は16歳の高校生でした。青春前期といっていいでしょう。そんな時代にこの曲に出合えたこと、幸福と呼んでいいとさえ思います。
「♪いま私の願いごとが/かなうならば翼がほしい」と始まる歌。
「この大空に翼ひろげ/飛んで行きたいよ」と唄われる曲。
けっして不自由ではありませんでしたが、あの頃はここではないどこか、を常に夢みていた時代でした。
青春とはいつも今あるところ、今の自分からの脱皮を求めるものです。その思いが自分たちの歌となって表現できる仕合せ。
この日から、若者たちは自分たちの心のうちを表現できるもの、それは歌、を持ったのです。
この絵本の主人公はジョージという名の一羽の小鳥。木枯らしが吹き始めた街でジョージと母鳥にはあたたかい南の地への旅立ちが迫っていました。
でも、ジョージは飛ぶことがまだできません。「こわいもん」と、飛ぶ練習さえしようとしません。
ある日、母鳥が留守のあいだにジョージは巣ごと北風に吹き飛ばされてしまいます。そうして、飛ぶことのできないジョージは車の屋根、船の荷物の上と運ばれていきます。最後には恐ろしい野良猫の強襲にもあいます。
そして、ある意味お決まりですが、ジョージは最後には飛びます。
翼があるジョージは空をぐんと飛びます。
それはあたたかい南の地への旅立ちができるということでもありますが、この時ジョージは子供から大人への一歩を踏み出したといえます。
『翼をください』という歌に込められたもの、それこそこのジョージのように、子供から大人に踏み出したいという願いであったのではないでしょうか。
翼を手にいれること、その翼で空へ飛びまわること、その後どのような生き方があるにしろ、飛んでみることから始めるしかなかったのです。
この絵本の小鳥、ジョージのように。
紙の本
「そのとき」がくればきっと、だいじょうぶ。
2011/10/24 12:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:wildflower - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書の作者はサイモン・ジェームズ氏、『としょかんライオン』を翻訳された福本友美子さんの
訳で岩崎書店発行の今月の新刊です。
甘えん坊スズメのジョージが、秋から冬にうつろうとする季節、巣立ちの時期を迎えています。
まだ、まだ、巣から離れたくない気持ちでおかあさんに甘えるジョージ。
「まだ いいや。こわいもん」とジョージはいいました。
「すの なかに いるほうがいいの」
「おなかすいた。ママ、むしを とってきて」
「ぼく、ここに いるから」
北風が強く吹いても、あったかくて馴染んだこの巣にいれば、きっといつまでもだいじょうぶ。
安心しきってじいっとおかあさんの帰りを待っていたジョージでしたが、
ある日巣ごと吹き飛ばされて遠くへ落ちてしまいます――。
原著「George Flies South」となっているところを、この邦題にしたのがうまいなぁと思うのは
子の巣立ちをめぐるテーマは、とりわけ親心をぎゅっとつかんでくるからです。
かつて読んだ別の作家さんにの『ずっとママといっしょがいいの!』でも、子がなかなか親の傍を去る時期になっても出ていかない、という巣立ちをめぐる親心を扱った作品だったことを思い出しながら読み進めます。
さて、本書のジョージはどうなるのでしょう。
意表をつかれたのはここからでした。
巣ごと飛ばされて、ジョージはおかあさんを呼びます。
「ぼく、とんでるよ! わーい!」
……あらら。
教訓的な絵本ならちょっとやってしまいそうな展開は、何度か心地よく裏切られます。
はぐらかされたような、それが心地よいような気持ちでページをめくります。
巣ごとジョージが着地した場所は、おかあさんとしてはなんともハラハラするような場所ですが
ジョージときたら大物です! 動じないどころか楽しんでいます! もしかしてそのまま楽に
翼を動かすなんて苦労せずに南へ行けたらラッキー! とでも思っていそう。
当然、おかあさんスズメは心配でなりません。なんとか翼で飛ぼうとしないままならば、きっと
もっと危険な目に遭うかもと心配して、どこまでもついていきます。
「さあ、とんでごらん! はねを ぱたぱたして!」とジョージに必死に励まし、ときに慰め。
……ああ、なんてけなげな母でしょう!
けろりとしたジョージはそれでも、ちっとも懲りていない様子。
こどもの思うこと、しでかすことは、母親をやっているとつくづく痛感しますが
こちらの思惑や心配などどこふく風で、予測不能のことが本当に多いのです。
よのなかに様々な危険の多い昨今、おかあさんの心配はどこまでも膨らんでいきますし、
少なくともそのために自立するために、いろいろと身につけさせ、うまく行くことを願い、
見守っているつもりでいるのです。
それでも、予想を越えていく現実はそこここにあります。
よくも、わるくも。
読み終えて、読者の方は(とくにおかあさんは)どう感じられるのでしょう。
なんて身勝手で調子がいいのだろう、と思うかもしれない。
こちらの苦労なんて気にもしないでいい気なものだ、とも思うかもしれない。
おとうさんなら、けろっと「いいんじゃない、そんなものだ」なんて言うのかもしれませんね。
子の立場になってみれば、またちょっと違う気持ちになりそうです。
……あなたは、いかがですか。
紙の本
ことり
2019/11/16 19:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ウッドチャック - この投稿者のレビュー一覧を見る
巣から飛び立てない小鳥が、がんばって飛ぼうとする物語です。
とってもかわいらしいイラストで、何事も、やってみよう!という勇気をもらえる作品でした。
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