紙の本
美術史の点から。
2021/05/17 15:01
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
デスマスク、死者の顔から型を取って作る肖像。輝かしい先祖の生き写し肖像の彫刻を並べた古代ローマ人。
王の似姿を葬式で掲げた中世のイギリスやフランス。
革命期を経て、『セーヌの名もなき娘』の話まで。
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ルネサンスの芸術作品の背景にデスマスクの伝統、習慣があったことを知った。うりふたつ・・というのは、究極にはやはりデスマスクありきだったのはうなづける。
それにしても、ギロチンで落ちた首を逐一、石膏で固め・・・とした職人にも驚いた。だから後世に残るロウ人形は間違いなく当人の表情なのだ。
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●興味深いテーマだった。「死顔」を形に留めるデスマスクは、何のために作られるのか、その文化に触れる。
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書架でみかけて。
むかし見た映画で、
ヨーロッパでは亡くなった人の写真を撮る風習があったと知った。
随分奇妙な風習だな、とその時思ったが、
その流れは「デスマスク」からきたものかもしれない。
ローマでは死者の蝋人形(イマギネス)が先祖崇拝の一種として屋敷に飾られ、
蝋人形をつくることが高い家柄にのみ認められた権利だったこと、
子孫の葬列に先祖の人形が持ちだされたこと、
デスマスクをとってイマギネスを作ったことが明らかにされている。
その流れをくんで、ヨーロッパの王たちは亡くなるとデスマスクをとられ、
それをもとに肖像人形をつくり、生きているかのように扱われて、
壮大なる葬儀の主役を務めたということは初めて知った。
そう言われてみれば、ヨーロッパの教会の中で、
生前の姿の大理石彫刻が施されたお墓や、
もっと生々しい人形があるのを見たことがある気がする。
(遺体からは心臓と内臓がとりさられて、それぞれ柩に収められるとあった。
まるでエジプトのミイラ?)
マダム・タッソーの蝋人形館も行ったことがあるが、
マダム・タッソーは単なる興行主ではなく、
蝋人形の製作者だったのを知っておどろいた。
有名人に生き写しの蝋人形は見て、
何となく怖いなと感じていたのは、
その起源、存在が「死」とともにあるからなのかもしれない。
いろいろ知らなかったことを知れて面白かったが、
日本では「腐敗」が進むのが早くて一カ月も遺体を保管するのは難しいだろうな、とか、
デスマスクを取るにも「平たい顔族」では全部同じ顔になってしまうだろうな、
と余計なことばかりを考えてしまった。
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「人の手によって描かれたものではない」(p136)故に
「正統と認められうる唯一のキリストの肖像であり、
その奇蹟の肖像であ」(p138)るヴェロニカの聖顔布等と
通じるところがあるというくだりには、
そうきたか、という印象。
それゆえ絵画・彫刻等の視覚的なイメージに否定的な一派でも、
いわば自動的にできるデスマスクは例外なのかと。
(このあたり同著者の『キリストの身体』(中公新書)の併読をおすすめしたい。)
また、キリスト教社会において、
古代オリエントの神像よろしく
権力者が変わる毎に忙しく飾り替えられる像の話も印象的。
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古代ローマのハイパーリアリズム(仮)
11 老い=権威、英知、名誉
頭蓋進行
36 カントーロヴィッチ「王のふたつの身体」
47 トランジ
52 遺体処理の方法
肉と骨の分離
身体の分離→複数の場所に埋葬
58 アガンベン
権力の二重化←天上の神と子イエスの二重化という神学的構造
80 教皇至上主義=フランス王家への対抗意識
サケル 聖なると呪われたという両義性
『イメージの地層』
技芸ars 職人artisan
118 パスカル『パンセ』
ポール・ロワイヤル
138 レアリテとフィギュール
人民の友 マラー
151 ロベスピエール
フランス革命
国民的催眠状態ジュリア・クリステヴァ
176 天才崇拝
→自律的存在
ウラジミール・ジャンケレヴィッチ『死とは何か』「ぞっとする風習」批判
隈取り