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ある時期より2つの血族に分かれ、覇権を巡って抗争に明けくれていた国を舞台とするファンタジー。互いの血族の頭領が過去の血塗られた歴史、一族の反感などを乗り越えて国内の統一を目指す、みたいな話です。
話は非常に面白く、最後まで飽きずに読むことはできるのですが、少し淡泊かな、という感は否めないような気もしました。まぁ、どんでん返しや一大スペクタクルが無くとも争いは収められるという事を伝える意味ではあえて淡々と述べた方がいいのかも知れませんが……
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表紙から「ラノベ?」、裏表紙からは「ありがちなファンタジー?」と思いつつ、評判が良いので読んでみた。面白いのだが惜しいというか何か足りない。黒さ?笑い?
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仇同士の男子2人が私利私欲を捨てて国を守っていく話。
人物の魅力が後半になるにつれて際立ってくる。が、脇役が若干わらわらしていてもったいない感じ。
旅先などで非日常を味わいながら読むと良いかも。
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良作。
穭の心象を通じて、薫衣の行動が次になにを引き起こすのか、ハラハラドキドキしながら読めました。
穭、薫衣はもちろんのこと、樊や鯷、稲積や鶲など魅力的なキャラも多かった。個人的には稲積が薫衣を引き留めるセリフが好き。
終章の鶲は、かなり予定調和的だったのですが、変に意外性を突かれるよりも気持ちよく読了できた気がします。
気になったのが、基本的に漢語調なのにところどころで出てくるカタカナの言葉。読み手として現実の読者を想定するならもっと出てもいいのに、ほんのたまに登場するだけなのが、かえって筆者の立ち位置の揺らぎを感じさせて少し不快でした。
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良い本。ページを繰る手が止まらなかった。
双子のような生い立ち・立場の二人の王の話で、設定としてはありがちな気もするのに、話は全然これまでにないもので、いたく感動。
「なすべきことをなす」ことの難しさ、そして、その志を貫く心の強さ。
タイプの違う二人、櫓と薫衣だったからこそ、なしえた理想の実現。このようなリーダーの下で働けたら良いな。でもないのかな?
王ではないけど、何かの組織に属すれば、後進を廸くことを考えないといけない。あるべき姿へと、もっと大きなものへ先へと。そんなことも考えさせられた。
理想のために耐えること、周囲の理解が得られないことはひどく辛いこと。この世では『他人に理解してもらう』という努力もしないと評価されないから、一人で耐えて理想を実現するという環境にはないけどね。
稲積が薫衣を引き留めるシーンとか、そのあとの薫衣の態度とかも和んでよかったし。
読んでいる途中から、本っていいよなあ。良い本に出会えて幸せだなーと思えました。
だけど、薫衣にはもう少し幸せになってほしかった。「死に場所を得る」というのも一つの幸福ではあるのだろうけど、でもやっぱりもう少し家族や周囲の人たちとの幸せをあげたかった。
いや、良い本だった。ありがとう。
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決して、「そしてヒヅチとクノエは、いつまでも幸せに暮らしました」という展開ではない。
でも、終章の最後の一文を読み終えた時、「ああ、良かった…」と思った。
2人が歯を食いしばって積み上げてきたものが、ついに実を結んだことを、それを見届けられたことを、心の底から「良かった」と。
あとは涙々。
終章を読みながら荻原規子さんの「空色勾玉」をふと思い出してた。あれも元々ひとつだったものが分かれて争う筋立てだった。
「水で土をこね、火で焼いて器を作る」女神の言葉が重なって、更に涙。
最近の私にしては珍しく、読みだしもスムーズで何回も読み戻ることなくすいすい読み進めていけて、どんどん読みたいけどでも読み終わるのもったいない!と思える作品だった。評価高めで期待して、よーし読むぞ!って挑んで、読みごたえがあって、読後にこんなに満足感が得られたのも久しぶりで嬉しい。
ただ、物語のはじめらへんで「オレンジ色」とか「ストレス」とかって言葉が出てきて、そこだけどーしてもひっかかってちょっと白けたので、実質★4.5くらいで…こんな細かいこと言うのは不本意だけど(汗)でも、せっかく物語に引き込まれ始めたところで急に現実に引き戻されたような気持ちになったからなぁ。オリジナルな世界設定って難しい。
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最初から最後まで続きが気になって気になって止まらなかった。
初めての作家さんで、あらすじ買いでしたがその判断に間違いはなかったです。
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おもしろかったー!
途中から読むのが止まらなくなった。
葛藤しながらも自分がなすべき道を進んでいった二人に心打たれました。
読み応え十分!!
ただ、最後はちょっと寂しかったかな
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冒頭はちょっと読むのに抵抗があったんですが、袋小路にいるときの主人公達の行動が読みごたえあって、凄く引き込まれました。
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すごいよ沢村凛。ほんとに、帯の通り。
こんな和製ファンタジー書ける人は
荻原規子さん以外いないと思ってました。
お互いを思う穭と薫衣、それに反して
鳳穐と旺夏のいつまでも消えない憎悪に苦しめられる二人。
最後は、これしかなかったのかなぁ。
なかったんだろうな。
「なすべき事をなす」ことは、こんなにも難しく尊いことなのか。
こんな壮大な物語なのに全てはこの2人の物語で、
2人だからこそなせたこと、なしえたことなんだ。
最後の処刑は涙なしには読み終えられなかった。
もう少し報われてほしかったな、薫衣は。
久しぶりに読破した、文句なしの星五つです。
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こんなタイトルですが十二国記ではありません。和風ファンタジーということで、冒険とか国盗りとかを予想しつつ読み始めたのですが、いい意味で裏切られました。
物語の大半は城の中で、二人の「王」の連帯と反発と葛藤と駆け引きの話。ひとつの国の中で二つの勢力(部族、血統etc)がせめぎ合う、という設定は掃いて捨てるほどありますが、「国を損なわないことのために共闘し、片方が汚名も屈辱もすべて受容して耐える」というのは、実はあまりなかった気がします。読み応えありました。
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同じ王を祖先に持つ二つの民族は、互いを憎み合い、殺し合う歴史を重ねてきた。
その二つの民族の憎しみと争いの連鎖を絶ち、国を真に豊かな国にするために、双方の民族の頭領が手を携え、苦難を乗り越えようとする物語。
長い年月をかけてこつこつと基盤を築き、みずからの思惑の方向へと物事を運ぶ櫓と、生まれ持ったカリスマ性と戦の才で電撃的に物事を解決していく薫衣の対比が見事。
長い目に長ける櫓と、機転に優れた薫衣のどちらも、互いの才を見て劣等感を覚えたりしているけれど、どちらが劣っているわけでもない。むしろ、互いの違いを上手く組み合わせて、国を良い方向へとみちびいていく。
歴史書をひもといていくような読書感がまた素敵です。
一気読みしてしまうのが惜しくて、続きを読みたい衝動と戦いながら、少しずつ読み進めていきました。
ファンタジーですが、魔法などのファンタジックな要素はなく、圧倒的に政治的。いかに国を治めていくか苦悩する統治者の物語です。
そのせいか、登場人物たちの苦悩や葛藤を描写しつつも、文章は冷静で、突き放した雰囲気さえあります。「当時は~だった」というふうに、時折、未来の視点から書かれているのだと主張していたり。
櫓と薫衣は二人とも「迪学」(じゃくがく)と呼ばれる、儒教のような教えを敬虔に守り、教えと実際(理想と現実)の狭間で苦悩しながらも、理想へ向かって邁進していきます。
敵対してきた民族の融和という、他者には理解されない目的を達成するために二人が被る精神的なダメージは半端なく、それすらも感情を殺して冷静に消化してしまう精神力は、物語の主人公といえど、すごいものです。
どこか常人離れしていて、共感しにくい部分はありますが、それでも、どこかしらで自分の生き方と重ねて呼んでしまう。
また、彼らの妻や子供の存在も大きい。
特に、みずからの名を殺し、恥を忍んで生きる薫衣を支える妻や、父の生きざまに憧れる子供というのが、本当に心にきます。
そして、最後の一段落7行の結末を読んだとき、涙が一気に溢れてくるんです。
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世界観がしっかり作られていて、ストーリーも最後に綺麗に畳まれている。一冊で終わるファンタジーの中ではトップレベルに好きかも。
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ジャンルとしては歴史ファンタジーになるのかな。
その昔、大王によって建てられた翠の国もここ百年くらいは
大王の血を濃く継いだふたつの氏族、鳳穐と旺廈により
覇権争いが繰り返されていた。
物語は鳳穐が覇権を握っている時代のこと。
その頭領である櫓(ひづち)は翠の国を守るために
最も困難な選択を取ることを決意する。
その選択とは、旺廈の頭領である薫衣(くのえ)と共に
鳳穐と旺廈が共存する未来を作るというものだった。
生まれた時から互いを激しく敵視し、
殺すことが当然と思うように育てられてきたふたつの氏族。
それだけにその共存は途方もなく困難な道のりだと思われたのだが…
櫓、薫衣それぞれの思い、苦悩、忍耐。
そして、彼らの脇を固める人物たちの「正義」。
彼らの心情が深く語られてとても重厚な物語となっている。
ふたりが武将としても勇猛で、ふたりで押し寄せてくる敵を
なぎ倒していく武勇伝的な物語かと思ったら大違いでした。
国政とか人間関係に重点を置いたもの。
壮大なテーマを扱っていることからも分かるように、
物語は20年以上という長い長い年月を語っている。
果たして彼らの行き着く先とは。
そもそも行き着くことができるのか。
とっても読み応えのある、楽しくて、
それでいて色々と考えさせられる一冊でした。
久々に良い本に巡りあえました。
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おもしろかった。くのえの人生の過酷さに思わず、涙することがあった。葛藤しながらも最後まで自分の生き方を貫いた姿にまた涙がでた。