紙の本
飢えた人々。
2002/04/26 17:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
敗戦直後の日本を舞台にした推理小説。
戦後の混乱と貧しい村の悪習は、哀れな犯罪者や娼婦を生み出した。その中で懸命に生きた人々。努力が報われず、あえなく死んでしまった人々。哀切極まりない人々が生きた日本は、決して過去のことではない。当時の日本社会を描いた点でも、本書は一推理小説には終わっていない。
現代を描いた小説だけでなく、本書のような小説を読むことは、現代を生きる上でも意義があるだろう。
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水上作品はわりと好きでだいぶ前に読んだ作品ですが‥
上下巻。名作ですね。
水上作品では女性の描写がいつも印象に残るな~と思います
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「砂の器」からの流れで絶賛されていたので、初水上。
下巻になってイッキに面白さが増しましたが、
最後、なにかどんでん返しあるのかな~思ってたら、
何も無いまま終了でした。
ミステリーや推理じゃなくて、人間ドラマ小説ですね。
古い小説ですが、読みやすくってよかったです。
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中身もいいんですが、水上さんの文体が好きですね~。短いセンテンスが続く感じがフィットします。たぶん、今時ではないのでしょうが・・・
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★評価は読了まで留保。
スローな展開だが、決してだれていない。
まあ少々古いのかもしれないけど、何の問題もなし。
楽しみに下巻に進みましょう。
ところで本作を原作とした映画も名作らしい、前々から観たいと思ってるのだがNHK BSあたりでやってくれないだろうか。
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古い作品なのでかなりまどろっこしい。
えっ?!その程度の証拠で逮捕しちゃうの?と今から考えるとかなり杜撰。冤罪もかなりあっただろうなと想像できる。
登場人物の心情表現が多く、地理的な説明も多いため、無駄と思える部分に耐えられれば楽しめる
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時代は戦後間もない昭和29年。舞台は「もはや戦後ではない」の言葉には程遠い、荒涼たる北海道・函館。実際に起こった青函連絡船 洞爺丸沈没の海難事故に想を得て描く、上下巻合わせて1000ページの壮大なミステリー。
今や立志伝中の人物となった主人公の完全犯罪を老練な刑事が足を使った執念の捜査で切り崩していく。極貧と出自が犯罪に深く影を落とす下りは松本清張の砂の器同様の匂いがする。でも、まったく古さを感じさせないミステリー。昭和40年に内田吐夢が映画化。三國連太郎・左幸子・伴淳三郎らが出演で、当時の映画賞を総なめ。著者は三國連太郎を執筆時からイメージしながら書き進めたのではないかと思える程、当時48歳の三國連太
郎のキャスティングはピッタリと、観てもないのに確信する。秋の夜長に不朽の骨太ミステリー。睡眠不足必至です。
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水上勉の視点が大変に好きだ。その土地に根付いたような、寄り添うような視点で描いてくれる。車窓から田畑を眺めて土地の生活を想起するような、僕の理想としている見方に近い。まだもう少し書きたいが未だ興奮さめやらぬ
越後つついし親不知に続いて2作品目。北国らしさがひしひしと伝わる。北海道に下北に舞鶴、近畿に住む僕には全て北国に見えてしまう。いつか現地を歩いてみたい。
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映画が気に入った流れで原作も、ということで比較しながら楽しめた。台風が引き起こした大火と旅客船転覆を元に戦後の混乱と貧困を組み合わせてこれを創作したひらめきがすばらしい。更にこの小説からあの映画が作られたのもすごいと思うし、それぞれ違った良さがある。八重さんは原作の方が怜悧な人で映画のように極端に一途ではない。弓坂刑事の他に八重さんを探していた謎の人物は結局下間でも未回収?
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1954年9月26日に起きた洞爺丸沈没事故と同日の岩内の大火を結びつけた雄大な社会派推理小説。しかし、推理には重きを置かず、主人公とヒロインの人物描写に紙幅を割く。やがて浮かび上がる壮絶な過去。津軽海峡は、まさしく飢餓の海峡だった。