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〈内容〉小劇団を主宰する大介と瑞穂夫婦は、児童養護施設に暮らす小学生のひなたを週末だけ里親として預かることなった。天才的子役の才能を持つひなたをめぐり、瑞穂、大介の三者三様の視点で、現代の新しい家族の在り方をコミカルに描く長編小説。
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家族にも親子にも夫婦にもいろんな形があって、家族じゃなくたって最高のチーム・・・・・明日は雪になるのかな?
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週末のみの里親制度で疑似家族となる小劇団主宰でシェイクスピアおたくの大輔と無性愛者で極度の心配性の瑞穂と演技の才能があり児童養護施設で暮らすひなたの話。
家族はこうあるべきという固定概念に一石。
【図書館・初読・1/21読了】
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例によってとっつきの悪い始まりで、何度も帯を読みなおしてしまった。
「ワケあり夫婦と母親に捨てられた少女が紡ぐ新しい”家族”の物語」
これだとけっこうウエットな内容なんじゃないかと思ったのだが、いきなりひなたのキャラクターに面食らった。
「母親に捨てられた少女」という言葉から思い浮かぶかわいそうな感じが全然しない。
さらには、「ワケあり夫婦」のワケがかなり意表をついた。
無性愛者ときたか。たしか近藤史恵さんの「モップの魔女」シリーズの長編にそういう人が出てきたんじゃなかったか。
どうして瑞穂が無性愛者という設定なのか最初はわからなかったが、最後まで読むと納得できる。
まさに彼女はそういうタイプじゃなくてはならなかったのだ。
瑞穂は大変な心配性であるが、その心配は常に本質をそれて枝葉末節に拘泥する。そして自分の心配に振り回されてパニックに陥るのだが、このあたり他人事ではなかった。私も瑞穂と同じような心配の仕方をする。そしてたいがいパニックになる。
どうしてだろうと思っていたのだが、彼女を見ていて気がついたことがある。
人間、本当のことをちゃんと伝えたり自覚したりしていないと、どうしてもそこにごまかしが発生する。そして本質をごまかしているのが常になってしまい、その上そのことから目をそらす癖がついてしまうので、他のことに対しても、枝葉末節ばかりが気になってしまうのだ。
自分が他人の思い込みに辟易されているにもかかわらず、瑞穂はひなたとの週末里親契約について後ろめたく思う。それは「家族とはこうあるべき」という思い込みに囚われているからなのだが、そのことに気づくシーンがいい。高校時代の友人との会話で、瑞穂はそのことを教えられるのだ。
「思い込み」はそこらじゅうにある。なぜそんなものがあるのかといえば、便利だからだ。
一定の型にはめて、これはこういうもの、と決めつけてしまえば、いちいち個別対応しなくてもすむし、他人の問題に足を突っ込まなくてもすむ。
大人と子供が一緒に入ればそれは親子なのだし、親と離れて暮らしている子供は親のそばにいたいと思っているものだ。年頃になれば結婚するものだし、結婚したら子供をつくるものだ。
そういうことにしておけば、具体的に考えなくてもすむから、世間はそうしているのである。他人との適当な付き合いのための社交辞令だって、思い込みの上に成立しているのだし。
でも、その思い込みから外れてしまった人間は、ひどく生きにくい思いをする。
40すぎてもシェイクスピア三昧の大輔くんも、無性愛者で恋愛感情を持てない瑞穂も、母親を見捨てたひなたも、みな世間の思い込みから外れている。
ひなたは子供な分、よりいっそう思い込みに悩まされてしまう。
ひなたは「母親に捨てられた少女」ではあるけれども、ある時期から「母親を捨てた少女」になる。子供だから、幼いから、何もわからないということはないのだと思う。5年生くらいになったらかなりのことが感覚としてわかってしまうものだし。
私も、世間にたくさんある「思い込み」や自分の中にある「思い込み」���ずいぶん振り回されてきた。
そのことで苛立ったり、落ち込んだりもした。今でも世間の思い込みには腹立たしい思いをすることがよくある。
そういうものに決然と立ち向かうひなたは、かっこいいなと思った。
ぐちゃぐちゃになっても、がんばって思ってることをちゃんと言えた瑞穂は素敵だ。
そして、大輔も、大きな抵抗を乗り越えて変わっていった。現実にはなかなかこんなふうに変われる男性はいないと思うけど、こういう姿が見られるのが小説のいいところだ。
桂望実さんの作品は、スタートダッシュがないんだけど、途中からの疾走感がすごい。いつも中盤あたりからページをめくる手を止められなくなる。そして読後感が爽やかで、充実感がある。
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母親の育児放棄によって養護施設で暮らす演技力抜群の10歳女児と、とある目的のために週末里親制度を利用して彼女を預かった事情持ち夫婦との「仮家族」が様々な経験を経て…。設定はそこそこ面白くて各キャラもまぁまぁ味があるのですけど、肝心のストーリーがありがちで予想通りの展開だったのは残念。
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表紙と帯に惹かれ読み始めたが、冒頭から終盤に掛けては読者を引き込むような内容ではなく、むしろ退屈。
流石に終盤は感動をさせられるのだが、果たして終盤までたどり着ける人たちが如何ほどいようか!!
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週末里親制度で週末だけ親子になる劇団員の夫婦と施設で暮らすひなたが心を通わせてゆく長編。里子と微妙な距離をおこうとする母親役のオバサンは無性愛者という設定です。だからなの?彼女の気持ちがよく理解できなかったです。ハッピーエンドなんですが、私だったら何がなんでも里子を手に入れようとするかも…といろいろ考えさせられました。
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週末里親制度を利用して、演技力のある少女・ひなたを人材派遣業にちゃっかり使ってしまう夫婦。
夫の大輔は劇団主宰者で、シェイクスピアに心酔するあまり、彼の芝居を下敷き(というか、下手に焼き直し)したものをオリジナルと勘違いしている痛い!ヤツ。そして、そんな夫をある意味、尊敬しながらも、ずれも感じる妻の瑞穂。彼女は無性愛者なのだが、大輔はお互いの利便のために結婚を持ちかけ、なんとなく夫婦生活は上手くいっているようだ・・・。
ひなたが、偽の孫や娘を演じつつ、あたりを冷静な目で見ているところや、大輔の能天気ぶり、真面目に自分の役割を考えては緊張してしまう瑞穂の、三人三様のぎくしゃく&どたばたが、読んでていて最初のうちはとても辛かった。このまま、お互いのずれが大きくなっていくのを見せられるのかな、と思ったし、特に瑞穂は根がいい女性だと思えるだけに、彼女があたふた振り回されているのがイヤだったんだよね。
でも、ひなたの気持ちに段々寄りそえるようになると、(最初はこまっしゃくれてイヤな子だ、くらいに思ったから)、話も面白くなってきて、大輔の作る芝居の変化や、瑞穂の心配性も、楽しんで読めた。
桂さんは、「思いこみ」に従って生きている愚かしさ、をテーマにしたんだろうけど、私にはむしろ、それぞれ独りよがりで別方向にベクトルの向いていた三人の男女が次第に「チーム」として上手く回転していく過程を楽しむ話、だったようである。
うん、面白かったです。
ホント、最初はどうなるかと思ったけど。
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気持ちは言葉にしないと分からない。
子供も大人もそれを言う時の勇気は同じなのかもしれない。
でも家族だからチームだから言いたいことも言えるんじゃないのかな。
ほっこりするお話でした。
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題名どおり週末だけ里親になるある夫婦の物語。
まずは大輔と瑞恵のありよう自体が疑似的でもある。
演技の才能抜群の「ひなた」との関わりを通じて、家族とは何かを問うた作品。
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軽くて心温かくなってさらりと読めて
だけど少し考える。
ちゃんと言葉にして話さなくてはね。
固定観念にとらわれず
自分にとっての幸せを考えないとね。
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この本を読んで今まで知らなかった事がありました。
「無性愛者」「週末里親」
内容は、本来は一緒になる事にならないだろう3人が家族(チーム)になっていく話。
視点が3つあってコロコロ変わるので若干読み辛い点もありましたが桂望実は安定していますね。
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社会的利便性で夫婦になることを選択した大輔と瑞穂。特殊な仕事に必要な演技力のある子役を週末里親制度で調達。三人が本当の家族になるようなありがちな展開かと思ったらそうではない。でも確実に三人の距離は縮まっていく。ラストに出てくるチームというキーワードがぴったり。ひなたのような境遇で育った子供に必要なのは家族よりチームなのかもしれないと思えた。三人の視点で代わる代わる描かれているスタイルは賛否あるかもしれないが、私はそれぞれのキャラ、考えてることがわかって良かった。どこかズレてる天然の瑞穂のキャラが好きです。
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物語はするすると展開して、あれよあれよと言う間に、ラストまでたどりつきます。
「思い込み」の愚かしさを扱った本書は、けれども、あまりに綺麗に物語がまとまりすぎてしまったためか、やや説得力にかけます。
そうか、そうだよね、と読者を納得させるだけのパワーが、あとほんのちょっと足りない感じなのです。
お涙ちょうだいのジメジメした物語は大の苦手で、ご都合主義のハッピーエンド作品が大好きな私ですが、そんな私でも、
こんなに世の中上手くはいかないよね。
とついつい思ってしまったほどです。
心の純な人が読んだならば、あるいはもっと感動できたかもしれませんが、この歳になると、まあ、いろいろと。
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思い込みって言うか 刷り込みって言うか 常識って言うか、
そういったものに煩わされることが多かったワタクシとしては
ひなたちゃんに拍手とエールを贈りたいな。
大輔くんが【仕返し】するシーンは好きだなぁ。
オトナゲない大人は私だけじゃないのね、と
ほっとひとあんしん(笑。