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紙の本
ビロードワインの味
2012/04/16 12:03
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:碑文谷 次郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
プラハの街案内を期待して読み始めると、次第にその期待は裏切られて、「住人でもなく、旅行者でもない」著者の生活空間自体に引き込まれてゆく。ビロード革命前は「大切なことは、電話で話さない。手紙に書かない。酒場で話さない」ことが常識だった街や人々は、遠い昔に変貌しつつある中で、その生活空間を彩る一つに、著者は意外にも「チェコのワイン」を挙げている。≪支払うお金を考えるのなら、ワインはオーストリアーチェコ国境の北側に限る≫と語る「パブロフのワイン」は本書十七編のエッセイ中の白眉といえよう。だが、それは欧州大陸のワイン生産北限云々についての著者の薀蓄の故ではない。例えば次の一節。
≪ワインを飲むなら郊外の森の中の青天井か、さもなければ地下に限る。それも独りで飲むに限る。酔うにつれて考えたこともないような言葉が頭の中からわき出す。自分はその中に入って行ける。つまみはチーズが数片あればいい≫ ・・・「森の中の青天井」や「地下」はおいそれと望めない「極東の大都」に住む身には、ワインはやっぱり、好きな女性と二人で気の利いたレストランで飲むものだろうなと思いつつ読み進めると、もう一度≪ワインは一人飲みに限るのである≫と繰り返し、≪異性と飲むのは嫌いだ。ワインの酔いの饒舌がどうしても「男女間のクールなやりとり」になってしまい、それがつまらない。≫という文章の次に、≪男女のワインのやりとりにはその先の「淫行」の予感を前提とした無言の契約が感じられる≫と、わが下心をグサリと突き刺す一文が続く。開高健も思わず我が意を得たり!と泉下で膝を叩いているのではあるまいか。
こういう感性を持った著者の鑑識眼によるエッセイが面白くないはずがない。腔腸動物のようにうねった旧迎賓館の「ホテルプラハ」での朝、ベツレヘム礼拝堂近くのカフェバーで食べるクネドリーキやシュニッツエルのランチ、長年の友人Pとの数々の思い出、棲みたかったキュビズム建築、運行正確で大好きな路面電車などどのエッセイをとっても、著者の専門領域が「写真家」「カメラ評論家」であることなどすっかり忘れてしまう。かのチェコのワインもきっとこのように熟成した味わいであろうと想像させられる。
紙の本
屋根裏プラハ
2016/02/16 21:08
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:英 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初からグーグルアースを利用しての建物の検索とは著者の力の入れ方に
驚かされた。最初のページから最後までプラハの街並みを散歩している
様で文章の特徴ある表現は内容と共に引き付られどうしでした。カメラだけではなくその都市空間まで感じてしまいました。
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