紙の本
やりすぎ本格、ここに極まれり
2015/05/10 23:01
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作の舞台は、風もないのに木がゆれ、赤潮ではないのに海が赤く染まり、土の下で鈴が鳴り続けた等々という伝説が伝わる孤島。
現代の事件では、誰も入れない島で被害者は舟の下敷きになり、船が使われた形跡がないにもかかわらず犯人は隣島へ渡るなど、とにかく誰にも不可能なはずの怪事件のオンパレード。
トリックを満載したストーリーでやりすぎ本格と称される小島正樹氏の、本当にやりすぎの一冊です。「さすがにやりすぎだろう」「不可思議な現象をたくさん起こしたいばかりに無理が多い」といった意見があるだろうこともよくわかります。
とはいえ、著者のサービス精神を具現したかのような事件の数々が、古いタイプのミステリを愛する向きには魅力的なのも確かでしょう。
小船を砕いた大きな木槌と、海上を座ったまま移動する鎧武者のトリックなど、ばかばかしいと言ってしまうのは簡単ですが、プロット上特に必要がない部分にも、とにかく不可解な出来事を、トリックを、と突っ走る著者の姿勢を、どうも私は否定できないようです。
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海老原浩一シリーズ
先輩である高品に贄島に連れてこられた海老原。島に伝わる一領具足の殺害による呪いと呪いを納める儀式。島の網元・久賀沼家の長男が20歳になった時村の選ばれた3人の男ともに1人の女と夜を共にする。服部要、明石太郎が体験した怪事件。久賀沼家の長男・慎弥の死。銃の暴発に隠された謎。慎弥が目撃した動く鎧の謎。新たに儀式の参加する久賀沼家の榊貴と妹・藍香、太郎の息子・太一、野末伊佐夫、森剛。島に伝わる遊女たちの殺害事件と遊び女殺しの崖にまつわる呪い。船で殺害された太一、遊び女殺しの崖に吊るされた伊佐夫。停電が起きた夜に自殺した森剛。服部要が見た海に座る鎧武者の秘密。
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今回もやってくれます。不可思議な事件と、それに関係あるようなないような数々の怪奇現象。それがどれもこれもきっちり論理的に解き明かされてしまうのは爽快。……でも「海面を滑る鎧武者」は、想像すると恐ろしいよりも可笑しくってしかたがありませんでした。なんじゃそりゃあ。
「贄の儀式」は悪習ですよね……嫌だこんな儀式。そして案の定事件は起こるのか。その動機は案外シンプルで犯人も分かりやすいんじゃ? と思ったのですが。そう思わされただけで。見事に引っかかってしまいました。これは予想しなかったなあ。でもしっかり読むと、伏線はあったんですね。
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謎めいてる割に、真相はチープ。
設定は好きなんだけど、なんか浅い感じがする。
でも、古い伝承や謎の正体は実際にこんな感じなのかもしれない。
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小島正樹らしい奇想とそれを解体するロジックなどらしさ満載。
そしてある人物に関する仕掛けはなるほどと感心。
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知多半島の南に浮かぶ小さな島・贄島。
そこは「よそもの殺し」にまつわる怪異、そして古い因習の伝わる地だった。
島にある役場の出張所へ勤める高校大学での先輩・高品信裕の招きで島を訪れた海老原浩一。
そして行われた、怪異を鎮めるための儀式「贄の式」。
以降、参加者たちが次々と不可思議な状況で殺害されていく。
殺人事件と怪異、そのすべてを海老原は解き明かすことができるのか。
という、今回もまたてんこ盛りな、小島さんの素敵な「やりすぎ」ミステリ。
「風もないのに木が揺れて、なぜか魚が大量に死に、海が真っ赤に染まり、土中から鈴の音が聞こえた」
って、序盤だけでこの不可解さ。
以降、血塗られた赤い船を鎧武者が漕いだり、鎧武者が海の上に座って移動したり、沼の数センチ上で花弁が静止していたり。
枚挙にいとまがありません。
そしてこれら全てを論理的に解明してくれちゃいます。
ただまぁね、鎧武者が海上を座って移動しちゃう真相は、さすがにそれはないわって思っちゃいましたし。
海老原の推理だけでしかなく、延々説明されてるのがちょいダルかったりもしましたが。
ここまでやってくれちゃうと、その心意気にオールオッケー。
ぶっちゃけ犯人はどっちかだろうなと、そんでもって片方の秘密も感づいちゃってました。
その点かなりフェアでしたので。
だけど犯人の動機は驚き。ああ、そりゃ殺すわ。
でも梶谷さんは認めちゃダメでしょ。いくらなんでも。
ああもう、おなかいっぱい。でも次も期待しています。
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いつも以上のお馬鹿トリック炸裂! 城みちるかよ、ターザンかよって、おっさんツッコミ入れちゃうぞ
奇想天外の謎を、こんなのあり?解決 島田荘司の後釜は決まりだな
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現実とは思えない奇異の数々と「贄の式」参加者の連続死・・・
おひさしぶりです!海老原浩一さん。
最後の海老原さんの解決はチョット強引なところがありつつも、コロコロと転がっていく展開に目が離せない!
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前に読んだような舞台に、見たことあるような人たち。探偵も言うほど奇矯な人間じゃなく、最後までどっかで読んだことあるなあ、でした。
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海老原浩一シリーズ(らしい)現実とは思えない過去の奇異の数々と、「贄の式」参加者の連続死をいかに解きほぐしていくのか…離れ小島の綺譚に連続怪死じゃ気になるじゃないですか〜しかし、明かされるとあまりに呆気ないと言うか、物足りないのは文章力の問題なのか。探偵達にも魅力ないしなあ。
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名古屋在住の私には身近な背景であったが知らず新鮮であった。海老原浩一のキャラも面白く、ストリーもワクワク。
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この作者は初作品でした
昔の作品でびみょーな噂を聞いていたんだけど、この作品は面白かった。
横溝雰囲気が好きな人(今風にいえば首なし系な雰囲気か)は読んでみるといいと思う。
最後のやつ文字通りぶっ飛んでると僕は思いますが、
それ以外は自分の拙い推理と照らし合わせてあってた間違ってたと楽しまさせてもらいました。
動機に??(いまさら何を言ってるんだよ)なのは本格のお約束なのかな
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横溝正史と島田荘司への傾倒が随所に感じられる作品です。
作中、「津山十三人殺し」という単語が出てきた時は吹きそうになりました。
小島正樹が好み、理想とする
「まだ古くからの因習が残る山奥もしくは離島にて、
その土地に支配的な権力を持つ一族の周辺で奇怪な連続殺人事件が起こり、
ふらりと現れた探偵が、天才的なひらめきで事件を解決する。
犯人は意外な人物で、そこには悲しい動機が隠されていた・・・」
という純化された「昭和の香りがする本格ミステリー」が展開されています。
上記のような舞台設定、数多くの謎めいた現象、探偵海老原のキャラクター、
大掛かりでちょっと無理目感のある物理トリックがてんこ盛り、
この作者の本はこういう感じだろうという期待値・予想を
裏切らない安定感があって、こういう作風が好きな人は
少しくらいの短所に目をつぶりさせすれば、楽しめる作品だと思います。
かく言う私もその一人です。
なんというか、ガチンコファイトクラブ的に、
「なんだこの謎は! 一体何が起こったんだよ???」と雰囲気を楽しんで
盛り上がるだけ盛り上がって、「この先ど〜なってしまうのか!?」という
気持ちが頂点に達した瞬間がピークで、真相解明はほとんど
遠足の帰り道的な心境で家に帰るまでが遠足だからと淡々とこなすように
読める人が小島正樹作品に向いていると思います(笑)
ただ、惜しむらくは幕間の中で読者をミスリードさせるために、反則をする点。
『十三回忌』の時もそうでした。これは酔いが冷めちゃいます。
読者をミスリードさせて、最後にどんでん返しで
驚かせたいという趣向自体は、超ウェルカムです。
ただ、そのミスリードは自然に誘導された誤解や
高度に計算された読み間違いをもとにして驚かせるべきであって、
事実に反すること、事実ではないこと、
実際には起こらなかったことを書いて
ミスリードさせるのは反則だと私は思います。
本来、作者が望む方向に読者をうまくミスリードさせるためには
読者への情報の出し方を丁寧に工夫・計算する高度なテクニックが
必要ですが、そのテクニックをまだ持ち合わせていないのに、
ミスリードさせたいという欲だけが先に立って
安直な方向(反則)に走ってしまっている危うさを感じました。
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ある仕掛けがわりと露骨に書かれていたため、比較的早くに犯人とその動機がわかってしまいましたが、古から現代にまで続く怪奇現象の謎解きが気になって一気読み。 その時間を損したとは思いませんでした。
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血塗られた赤い舟を、鎧武者が漕いでいる。これは幻なのか?服部は思わず駆け出していた…。現実とは思えない奇異の数々と「贄の式」参加者の連続死、海老原浩一は「伝説」をいかに解きほぐしていくのか。気鋭による大仕掛けの炸裂。