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紙の本
日本を支える本当の人たちは...
2012/03/17 23:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本が誇る、「世界的な技術」を持つ会社を紹介。どれも小さな、しかし熱い、素晴らしい魅力を持った会社である。
機械部品や製造機械、プロ用の器具、等々、普段は何気なく目にしているものや、日常生活では目にしない(ただし、その日常生活をよくするための)機械などが、世界シェア1位だったり、世界で唯一だったりする。そしてそれを実現している会社は、大手ではないのだ。ほとんどが「町の工場」といった風情である(こうば、と読んだ方が雰囲気がでそうだ)。多くの会社が結構創業が古い、つまり長くその事業を継続してきている、ということだ。
そこには、創業の苦しさや、継続の苦しさ、大手や中堅とのシェア争いもあったのかもしれない。そんな中で、ユニークな発想のもと、ユニークな「生き残り」策を実行してきた。他にはない、或いは他社にはできないことを実現した自信、プライドが彼らをまた輝かせている。
掲載されている40社あまりの会社は、その世界に君臨する製品やサービスを本書で紹介している。工場の写真、外観、技術者の働く姿、経営者の顔、どれもが「プロ」を感じる写真である。「職人」と言った方がしっくりくるかもしれない。
21世紀の世の中に、「町工場」がこれだけ光っているとは思わなかった。自分の生きる環境とはまったく異なる世界であるので、技術的なことや、どれだけすごいことか、ってことが実はよくわかっていないのかもしれないが、とにかく、そこにいる「ヒト」の姿がダイレクトに伝わってくるのが印象強い。埃の中で誇りを持って仕事にあたっている。そんな姿に「美学」さえ感じるくらいに。
日本が元気を失っている、中国やアジア諸国の元気さに押されている、経済不安は高まり、政治不安も外交の不安も改善する予感すらなく...なかなか打破できない暗闇の中にいるような現状。確かに数字的なものや経済指標などで見ると、先が見えない苦しさに包まれているのかもしれない。しかし、視点を変えてみれば、世界をフィールドに堂々と先頭にたって、日々前進している「町工場」がこれだけ日本に存在するのだ。これは胸をはっていいこと。日本だから日本人だから実現できた、というプライドを持てることだ。「元気」は、そんな小さな場所から広げていけばいい。「上」から与えられるものではないから、ね。
【ことば】机の前で唸っていれば、いい発想が浮かぶというものではない...日々の生活のなかでヒントを得て、ふと思いつくことが多い。ただ、それはいつどんなときも頭の片隅に研究課題をとどめておくから。
世界に発信する「アイデア」を生み出すのは、そんな「研究のことを頭においている」ということから。アンテナを張っておく、というやつですが、そもそも中核に「アイデアを生み出したい」という想いがなければアンテナで受信しても、受信したことにすら気づかないケースもありうる。世界に、というのは大きすぎるけれど、ユニークなアイデアは生み出すような土壌を作りたい。そのためには、やはり「想い」だ。
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