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お正月に相応しい長編小説。母であれ、姉であれ、理解し共感することは難しい。家族だからこそ憎んでも最後に母を許す主人公に、最後にこれから老いる自分にも人生に一縷の望みを与えられた気がする。暗く辛い話にもかかわらず、からりとした文章のおかげで読みきれた。
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彼女の小説は骨格が大きい。
なぜか気になる作家の1人。
亡くなった母に対する肉親であるが故の突き放した思い。
現在の著者の身の上と重なるのだろうか。
読み応えあり。
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おもしろかった!こういう、読みやすい良い文章で書かれた厚い本、長い小説が、私は好きです。水村さんの本は初めて読みました。他の本も読んでみたい。
余計なひとことー花が咲くのは、梅、桜、桃の順なのでは。
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引用
-小さい頃は後回しにされ、放っておかれて育ったというのに、これからは自分の肩に実家の桂家の厄介事がのしかかってくるのではという予感に襲われてならなかった。
思わず、引用したくなりました
こう思う人たちがきっとたくさんいるのだろうと思います
我が家には、間違いなく私の母に残すような遺産はないでしょうが。
父の入院
そうだったねぇ
若者よりも老人に手厚いと言われる最近ですが
ほんの少し前まで、こういった事が当たり前でしたよね
目の前に迫る老人介護のことを考えます
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読売新聞土曜朝刊連載2010.1.16~2011.4.2
中央公論新社2012.3.25
読みやすく、とても面白い小説です
母の介護から死、遺産
夫の浮気をめぐる小説
著者の人生を下敷きにしながらも、小説として面白く読めるように
自由に作りなおした新しい小説空間
新聞に連載した66章をたどる中で戦後の日本が浮かび上がってくる
西欧や芸術に憧れた母の人生を娘もたどっている
夫との離婚を考える心の葛藤
離婚を決断し実行する果断な、容赦のない手際
老いや介護はトレンドなテーマであり、この小説もそこを外していないが読み物として成功している
タイトルに新聞小説という言葉を掲げているだけあって
文学的な伝統を踏まえ
新聞小説としての様々な実験にも挑戦している
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衝撃的な帯の「ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?」というセリフから年老いた親の介護に疲れた女性の小説・・・と勝手に解釈してしまいましたが、どうしてどうして。
新聞小説だけあってまさしく読み手を飽きさせず、繰るページごとにそれこそドラマが、情熱が、愕きが潜んでいて主人公のおばあさんに倣って、一ページ一ページ切り取って大事に取っておきたい箇所も数え切れないほど。
老いを看取るということは自分もいつかは老いる、看取られるのだということに改めて気付かされた思いです。
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うーん。
なんだか設定もいつも通りで(上流会志向な女性たち)、ファンだったら楽しめるのかな。
でも母親への恨み事がこれでもかって書いてあって、面白いかどうかっていったら微妙だけれど、でも、これでいいのかな。
私小説ってことで、いいのかな、と思いました。
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ちょうど半分あたりまでは、母娘の話なんだなと思いながら読んだ。
母と娘の関係はいつの時代も変わらず、共感と嫉妬と反目と嫌悪と依存と…で、持ちつ持たれつ、どっちもどっち、とも言える。
中程から、むむ?これはお金の話?それとも、少しずつ老いを感じていかねばならない50女の話?となったあたりから、流れがよどみだし、苦痛と言っていいくらいの感じになってきた。
母のみならずこの娘もまた、お金のない者に対する目が、常識人のように見えてその実、辛辣である。
バスで乗り合わせた老夫婦を「それなりの格好をしているが、二人の表情からも身体つきからも、一生お金の苦労をしてきた様子が何となく伝わってくる」と形容し、安マンションを「近代化を始めて150年後の日本の醜さがその狭い空間にこれでもかこれでもかと凝縮されて入っている」と評する。
残酷と思うほどである。
ただ、彼女にはその自分の位置がわかっている。自分が贅沢をするように育てられ、恵まれた人生を送ってきたということを自覚している。
後半は、なんだ、私には関係ない話だな、という印象が強い。
結局お金のある人の贅沢な悩みでしかない、と思わされたのだけれど、終盤にさしかかった頃、彼女が夫の哲夫に出したメールは、クールで潔く、なかなかよかった。
主人公もその母や姉も、「みじめじゃない!」と言う悲鳴のような声をあげるほど、お金のない者、貧相な暮しを恐れる。あのね、世の中の結構多くの人がそういう生活の中に幸せを見つけて生きているのよ、と諭してあげたくもなる。
ただ、主人公が自分が幼い頃の写真を眺めながら、幸せと気づかず幸せだった頃を思い巡らすあたりに救いはあり、お金のある人の贅沢な悩みの話であるだけでなく、幸せについての話、なのだった。たぶん。
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ありそうでなかった小説。だれかの日記を盗み見ているかのような現実感に溢れている。ここまでリアルな50女の心理描写をまともに受け容れられるキャパのある同世代の男性がいたら、かなりの少数派だろう。でも、受け止めてもらおうとは思っていないのが、きっとこの主人公に限らない多くの50女たちの本心。ここまであからさまに即物的にならざるをえないのも、もう、自力で狩りに出ていく可能性をほぼ諦めざるを得ないこの世代ならではか。何にせよ、現代の中年後期のシンデレラストーリーは、自力で小金を稼ぐより、転がり込んでくる遺産に支えられるものだったという顛末が悲しくも現実。
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我儘な母親とそれに反発する娘二人との確執などを描いている。非常に女性的な心理描写が多い。さすがに構成はうまい。
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家の中は綿埃だらけで、洗濯物も溜まりに溜まり・・・もう疲労で朦朧として生きているのに母は死なない。
ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?
衝撃的な帯ではある。親の介護に際してその思いを抱くのは、親の老いがすすんでいくのを見るのが辛いのか。或いは自分自身が老いて体力も気力も失っていくからか。
けれどもこの本の主題は介護ではないのだろう。母や祖母の生きざま。それに縛られている娘たちの、それぞれの生き方。
それにしても姉妹が海外留学できるような家庭でありながら、中流というのは?だ。しかも母の遺産は7360万。文中には無いが相続税が発生する金額なのだ。
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ちょうど同世代の女性が主人公で、抱えている老人問題にも興味をもって読み始めたけれど、物語の流れが私が求めていた方向と少し違って、中盤からは読み進むペースが落ちてしまった。だって所詮お金持ちの方の老人問題なんですもの><。庶民が抱える悩みとはちょっと次元が違うような。ただ老いの問題というのは、誰にとっても平等に訪れる物で、本人とそれを支える家族の、その苛酷さは少し描かれていたと思う。
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この人の小説無条件に好き。癖になる。主人公は50代の女性。母を看取り、結婚生活に悩み、自分の人生に絶望する。さてその先をどう生きるのか。我々40代にも、実に切実なテーマ。人生決して一筋縄じゃいかず、それは自分だけじゃない、ってことを確認できる。本を読まない人は、それらの問題を一体どうやって消化しているのでしょうか。などと考えさせられた本でした。
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母と娘の確執の物語。最近そういったテーマの本が多いように思います。世の中には悩んでいる人が多いということでしょう。主人公は50代で、母の介護と夫との関係に問題を抱えている。母親が重荷で、早く死んで欲しいと願っているが、なかなか思い通りにはいかないものです。
その中で夫との関係とお金の話がでてくるが、後半少し母との関係についてはブレがあるような書き方になってくる。それもまた現実味がある。
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うーん。登場人物の年齢が近いので、なんだか引き寄せてしまうから読み進めるのが辛い。母の介護、夫との不和・・。熟年女性の日常ってこんな連続なんだろうな。