紙の本
白石文学の礎をなすと同時に最高到達点となる問題作です!
2016/08/28 10:39
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、白石文学の最高到達点とも言える作品です。53歳になる妻子のある、ある一人の男は手記を綴っていました。そこには、「私には、一人の息子と一人の娘、妻がいる。私は子どもたちのことも妻の子とも愛してはいない」、「ほんとうに人間は癌のような存在だ。生みの親であるこの地球の生命存続のシステムをいいように破壊し、無秩序に繁殖しているのだ」といった言葉が書きつづられていました。彼は一体どういう思いでこのような手記をしるしていたのでしょうか。この続きは、ぜひ、本書をお読みください。
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不完全で不平等な地獄のような世界で、なお絶対不可避な「死」という存在に対して、一滴の水気すらないようなざらっざらに乾いた視点で掘って掘って掘り進んでいく思想本のような小説。というかほとんど思想本。
借り物の思想や哲学用語を排した上でよくぞここまで、と感心した。
視点が極端な上に偏っていて、決め付けが多いので納得できない部分も多いのだが、全文が「著者の友人が書いた手記を転載した」という設定の半フィクションになっている分だけ相対化して読みやすい。飲み込みづらい箇所もあるがそれほど反発するような気持ちを持たずに読むことができた。
話の基盤となる世界に対するドライで冷酷な認識をどれだけ共有できるかで評価が変わりそうなところ。僕はすんなり入れたが、人によっては前提の部分で拒絶反応を示す人もいるだろう。
誰にとっても素晴らしい名著かと言われるとそんなことはないだろうが、僕自身はこの本を読むことでいくつかの箇所で新しい視点を持つことができてそれなりの益はあった気がしている。
ただ、最後が「色々言ってきて結局そういう感じかい」という感じで尻切れトンボな印象だったのが残念。
あとどうでもいいが装丁がだっさい。
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死について、生について、愛について。
なるほど、と膝を打つ表現もあり、まったく共感できない主張もあり。
この作品が小説といえるのかどうかわからないが、とりあえずどんな結末かと読み進めてみると、尻切れトンボ。
挑発的なタイトルに期待し過ぎたか。
著者がTwitterでこの作品はとりあえず一気読みしてほしいとかなんとか書き込んでいたが、どうでもいいや。
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死に関する哲学書みたいな小説。こんな考えもあるという程度に思いながら読了したが、自分にはこの手の小説は合わないと改めて思う。
深く考えさせられるという域には達しない作品だった。
正直、期待外れ。
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正直、タイトルとか帯文とかに期待しすぎでした 笑
いや、でも特に何も期待してなかったとしても、
別段どうってことない本ね、と思ったかも 爆
基本的に、私にはしつこい印象。
同じ内容が、似たような表現を使って何度も繰り返される。
あまり発展性があるようにも思えない。
意外と目新しさはないが、テーマ自体は面白い。
いつの世でも考える人がいるような話だから、
内心のどこかで、共感を得やすいと思う。
少し時間を置いて、また読み直そうかなとも思える作品だった。
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53歳で逝った友人による、物書きである「僕」に言わせればツッコミどころ満載の手記という体裁をとったメタ的な小説。「私は子供たちのことも妻のことも愛してはいない」「ほんとうに人間は癌のような存在だ」という不穏な始まり方をし、色んなことがつらつらと書かれているが、著者の主張は最後の数ページに凝縮されている。最近、「人生の残り時間」というものを強烈に意識するようになったので、著者の言いたいことは分からなくもない。しかし、「白石文学の最高到達点」とまで銘打ってある割には、読み終わってもモヤモヤしたものが残り、今ひとつ心に響かなかった。
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手記の形式をとった哲学書というかなんというか。
生と死、愛とは。深く考えたこともなかったその辺りに真っ向から向き合い、矛盾を指し示し、新たな考えに導く。
難解な言葉は使わず、例え話も多く、結論も分かりやすいのでそもそも合う合わないはあるかも知れないけども、自分は好印象。あと帯の言葉のチョイスはフックが効いていて良いかなと。
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生。死。愛。世の中で故意に難解にされている概念を、こんなにも解りやすく、あばき立ててしまって。全150頁、どこを開いても蒙を啓かれます。けれどこの一冊は、ゴールではなく。人生を新たに始めなおす、スタートライン。
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戦争、テロ、狂信、犯罪、飢餓、貧困、人種差別、拷問、幼児虐待、
人身売買、売買春、兵器製造、兵器売買、動物虐待、環境破壊。
私たち人間は歴史の中でこれらのうちの
たった一つでも克服できただろうか。
答えは否だ。
これは著者である白石氏が、友人Kの死後、見つかった彼の手記を紹介したという体裁をとっており、
ある意味でノンフィクション作品のようです。
冒頭から読む人間を辟易させてしまう内容でありながら、
その実は「死を否定するな、愛を過大評価するな」という強いメッセージを秘めている。
すべての人間がこんなふうに物事を考えられはしないだろうし
(また、この考え方を支持することはなぜか逆に俗な人間っぽくないけれど)、
途中の例えなんかは、上手くはぐらかされているようにも思えたが、
一応の結論を持って完成されている作品であることが強く印象に残った。
(このテのものって結論が出されないようなことが多いように思うからだ)
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本当に白石さんの作品か⁈と思ってしまうほど、まとまりの無い文章。
なにか計算された書き方なんだろうけど、ちょっと苦手でした。
ただ、言いたいことは分からなくも無いけど。
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タイトルほどのインパクトはなかったかな。
いまいちピンとこなかった所もあったので、しばらく寝かせておいて、また読み返そう。
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変則的ですが、この本を読むきっかけになった文庫本帯の文を。
「こわもての題に
おじけづくことなく、
また反対に
いたずらに刺激的なものを
期待することなく、
この本を真に求める人たちが、
どうか無事、この本にめぐりあうことができますように――。(川上弘美)」
思うのですが、これは果たして小説なのか?
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以降簡略化しています
ある資産家の女子中学生は、少し鈍くさくて、クラスの男女からいじめを受けていた。
あるとき、その女子中学生の妹が、異常性欲者に誘拐されてしまい、身代金を要求された。
そして、両親は大金の鞄を持ちながら、犯人からの電話にひっぱりまわされるが、警察に感づかれ、接触なく、その後女の子は遺体で発見。
焼香を終えて外を出ると、友の一人が、こう言った、「もうあいつをからかうのはよすよ。」
まわりも暗黙の了解に似た雰囲気になった。
で、それを聞いた「私」は吐き気を覚えたという。
なぜか?
苛めから解放された理由が、異常性欲者によって妹が殺されたからということになってしまうのだ。言い換えれば、犯人がこの女子中学生をいじめから救ったことになり得てしまうのだ。
これではやるせない。だが、俗世間というなの怪物(あるクラスのあるグループと言ってもいいかもしれない)はこういうことに案外気づかない。
この恐ろしい理屈、違和感を感じる人も多いかもしれないが、気を付けなければなるまい。「友の一人」になってしまっている可能性は大いにある。自戒を込めて。
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題名と、帯につられて購入
死とは…
題名と、帯ほどのインパクト、がなくて残念
次作を楽しみにしてます
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独白形式が続いてて,およそ物語とは言えないし,文章も硬くて…
ほとんど読まずに終わった。
前から好きな作家だっただけに残念。どんどん劣化していっている。