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表題作と「つぎの著者につづく」の2編を収録したもの。
1年に1度空から人が降ってくる町の話である「オブ・ザ・ベースボール」は円城塔としては意外にも読みやすい。
なんで人が降って来るのかとか、なんでその救助隊がバットで降ってくる人を打ち返すのかとか、それはそれとして、町のこと、人が降って来ること、主人公を含めた救助隊の活動のことなど面白く読める。
解説にもある通り円城塔入門と言える作品で、これはこれで難解だとは思うのだが、がっつり難解さを求めているならちょっと物足りなく感じるかも。
ただそれも大丈夫で、「つぎの著者につづく」が、「オブ・ザ・ベースボール」がなんだったのかと思うくらい難解な内容になっている。
語り手である私が批評家にR氏なる人物との類似性を指摘され、謎めいたR氏について語られるのだが、これが途中で一体誰のこと、何のことについて語られているのか???になってしまう。
多くの先行文学を参照している多数の注がより難解さを増しているようにも思える。
「つぎの著者につづく」はいつも通りに思えるが、珍しく読みやすく感じる「オブ・ザ・ベースボール」を読むだけでも価値がある一冊だと思う。
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1年に1回程度、空から人が降ってくる街。原因は全く分からない。レスキュー隊が結成されているが、支給されるのは何故かユニフォームとバット?
表題作は設定が奇妙で面白い。それ以上に眈々と進む物語に引き込まれる。ただしオチはない。
もう一作はあまりにもメタでついて行けなかった。
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『人が降るっていうのは人が降るってことで、つまり文字通り人が降る。』
『たしかに俺はよくやっているのかも知れないが、よくやったところでどうしようもないことも世の中には存在する。』
『オールライト、オールライト、オールライト。大丈夫。全ては正しい。正しいに決まっている。』
『オール。ライト。全ては正しく間違っている。』
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オブザベースボールのストーリーを理解するのは難しい。むしろ解釈とか許容が求められる。
主人公も空から人が降ってくる訳のわからない事態を解釈しようと試みている。
面白いのは、同じ現象でも、物理学者や数学者とか見ている人によって見え方、解釈の仕方が異なること。
あと、主人公は空から人が降ってくることに関しては色々考えようとするけど、自分の職とかユニフォームとかバットについて考えることが停止してる。
自分にもよく当てはまるなーと思う。
けど、いちいち考えてられないのも事実。
自分の今していることを全力でこなすのが大事なのかな。
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膨大な量の言葉が入っている袋の中から、
単語を適当に掬い出してばばばっと並べる。
少し眺めたら集めて袋に戻してかき回して、
また掬って眺めて戻して…みたいなイメージ。
ものすごい頭のいい人なんだろうけど、とにかく難解。
表題作の方は比較的読みやすくて、
安部公房とか星新一みたいなニュアンス。
“つぎの〜”はリタイアしたドグラ・マグラを思い出しました。
と に か く 難 解 。
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エンジョーさん、「過去」と「未来」、「縦糸」と「横糸」、なんかそういうのがぐちゃぐちゃになる、みたいなことに興味があるのかな。『self~』でもおんなじようなこと書いてたし。
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難解難解と騒がれる程、難解ではない。
文章は所詮法絡線で出来事そのものでない、や、もう既に書かれ尽くされているし考え尽くされている、等。
敗北を認めることで勝利しているような印象。
膨大な知識に沢山の言いたいことが溢れ出し、物事を直接表そうとし過ぎて苦戦しているように感じた。
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文學界新人賞受賞作。最初に文學界で読んで、なんて私好みのがきた!と思いましたが万人受けはしないかも。
設定もキチガイで、文章の感じがすごく好きなんですが、人によってはこの文体がかっこうつけた感じでいやかも。最初よんでいけそうならぜひ。
円城塔の中では比較的読みやすいので、これを読んで他のを見るか決めても。
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『オブ・ザ・ベースボール』一人称で語られる「空から人が降ってくる町の話」。
様々な考察を経て淡々と進んでいくが、「俺」が空にひとつの点を見つけてからの展開はアツイ。
『つぎの著者につづく』とにかく不条理で意味不明で難解だが魅力的。3回読んだ。
MVP:なし
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難解である。だから面白いのであろう。そこにある知のイメージはとてもエキサイティングで心地良い。今後も何度となく読みたくなるような気がする。
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年に1度空から人が降ってくる町、ファウルズで警戒にあたる主人公の長い独白。
空から降ってくる人を助けるために、野球のユニフォームを着てバットを担ぎ町に出る9人の日々。
なんで人が降るのかもバットを持っているのかも分からない。
不条理を受け入れつつ読み流せるかというところかもしれない。
全てのことは無理矢理でも意味づけられるけど、そんなに学びを得るために読書をしていないので頑張る必要はないなと思ってしまった。
同時収録の話はまったく意味がわからず途中でやめた。
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映画のマグノリアがとても好きなので、空から降る系シリーズと聞いて初めて円城を読んでみた。
マグノリアの不条理なことは起こり得るものだから受け入れるしかない、というメッセージに対してこちらは、不条理なことは本当に不条理なのだろうか?ということを問うているように感じた。
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人が降ってくる不条理もバットを持ってパトロールする意味不明さも受け入れているけれど、考えることはやめない、やめられない主人公の独白。ちょっときつかった。流し読んでしまった。語りが長くて面白くはないなぁというのが感想。設定はなかなか興味深かったし、ラストの爽快感もよかったし、寓話的な雰囲気もよいし、つまりまあまあ楽しめるところもあったのですけれど、物語を求めていては合わないのだろうな。からっとした雰囲気と漂う諦観が印象的ではある。
二つ目の話はついていけなかった。
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昨晩、頭がもやもやしていて、あぁこれは寝れないなと思ったのです。
だから、円城塔を読むべきだと。
円城塔氏が、何を意図して書いたものなのかはわからないけれども(本人に聞けるわけでもなし。)、やっぱり私は、円城塔氏の文章の中に、勝手に私が抱く不安と不条理感と開き直りとを見出していって、大いに安心して満足して、しっかり眠ったのでした。
最近、円城塔氏は、詩人なんじゃないかと思うようになりました。
詩人の定義は知らないけれど、文章のリズムがあまりにも、心を落ち着かせるテンポをもっているものだから。
円城塔入門にオススメできる一編「オブ・ザ・ベースボール」と、とことん知識と教養と薀蓄を蓄えて臨んだらまたずっと深くて豊かな味わいを楽しめるに違いない一編「つぎの著者につづく」。
「つぎの著者につづく」は「これはペンです」で救われた私を、同様に救ってくれました。
もっと本を読み、知識をたんまり身につけて、また読みにくるね。
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『セルフリファレンス〜』と同時期に発表された著者のデビュー作。SFサイドから入門したので、読み始めはあっさりしすぎな感じがしてすこし違和感。しかし、なんだかよくわからないテーマに従って自由気ままにストーリーを書き、置いてけぼりにされていた読者がやっと物語に追いついたと思った途端に終わってしまう…、という作風はSF版とも現在の書き方ともあまり変わっていないかも。表題作は再帰性/不条理、『次の〜』はオリジナリティ/読者の視点の動き、あたりを頭の片隅に置いて読むとなんとなくわかる気が…しなくもない。