紙の本
一見静かな雰囲気のお話です。
2015/09/03 13:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:eri - この投稿者のレビュー一覧を見る
北海道を舞台とした作品はたくさんありますが、色々な側面があるのだなと考えさせられました。寒々とした空気感がとてもリアルだと思いました。
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タイトルの美しさに惹かれて購入。
思っていた以上に心を揺さぶられる小説でした。
独特の温度感は舞台と作者の出身が北海道であることに起因しているのか。
丁寧に描かれる登場人物の住む場所と職業のこと。
田舎特有の閉塞感や外への渇望など。
生きづらさを抱えたそれぞれの登場人物の一つの答え。
決してすべてハッピーエンドにはならないかもしれないけど。
一つの答えを示すことで前に進めるような気がする。
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人物たちが仕事に励む描写や、北国のうら寂しい情景がよく描かれており
北海道のどこかにこんな人たちが、と思わされます。
希望を残しつつ、ハッピーエンドとはいえない話が多いのも北国だから?
表題作は友絵の報われない悲恋をオホーツクの厳しい寒さが、際立たせています。
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閉鎖的な北の大地にいたらこんな恋、こんな生き方が当たり前になるのだろうか。
胸が苦しくなる。
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真っ白に海が凍るオホーツク沿岸の町で、静かに再会した男と女の凄烈な愛を描いた表題作、酪農の地を継ぐ者たちの悲しみと希望を牧草匂う交歓の裏に映し出した、オール讀物新人賞受賞作「雪虫」ほか、珠玉の全六編を収録。北の大地に生きる人々の哀歓を圧倒的な迫力で描き出した、著者渾身のデビュー作品集。
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北海道を舞台に、行き場のない男や女の、行き場のない愛と性を描いた短篇集。年齢的に登場人物にかぶるところもあるので、目を背けたくても背けられないような。
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行き場のないオトナの恋愛って、道東の曇り空がよく似合う。
引き合いに出しては、失礼かもしれないが、桜庭一樹さんの「私の男」も、こんな読後感。
官能的だけど、イヤらしくない。人物に感情が存在するから。
行き場のない感情と、うまく同居していくのが生きるということだと、この本に教えてもらったような感覚。
決して、晴れ晴れはしてないけれど、落ちる印象もなく、上手い書き手。
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釧路を舞台とした短編集。
どの話も良かった。
その中でも、海に帰るという作品が良かった。主人公の職人気質なところ、そこに出てくる絹子という女。結末はハッピーエンドではなかったが、とにかく良かった。
それ以外の作品も次どうなるんだろうと興味を持って、読み進めることができた。
桜木さんの本は2冊目。
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もと釧路の住人として、北大通の閑散とした風景と霧に覆われた寒い夏を思い出しながら読んだ。作品には賢い女も愚かな女も描かれているが、いずれも重い人生を背負っている。道東はどんなに明るい夏の日でさえも夕方は涼しくなって、厳しい冬がいずれくるのを感じさせる場所である。そんな舞台が彼女たちの生き様に凄みを加えている。
しかし、やっぱり釧路は暗い。こういう風にしか描けない気がする。
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直木賞の会見で、作者に興味を持ったので、読んでみました。
読んでいて、文中にただようやるせなさが心地よかった。直木賞の作品を読むのがとても楽しみです。
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直木賞作家ということで、初めて桜木さんの作品を読んでみた。印象としては心情が深く描写されており、芥川賞よりの雰囲気であった。どの作品も舞台は北海道であり、いい意味で暗さが北海道とマッチしていて味わい深い作品になっていた。私のお気に入りは本のタイトルにもなっている氷平線。ストリーはとことん暗い。最後、友江が流氷の穴に自ら飛び込んで命を絶つシーンは壮絶であり、さまざまなしがらみ、状況に束縛されながら生きていく辛さがとてもうまく描かれた作品だと感じた。他の作品も読んでみたい。
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ホテルローヤルで直木賞を受賞した桜木紫乃さんの第一作品集。6作品収められているが、自分は霧繭が一番気に入った。
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直木賞作家のデビュー作ということで読んでみた。
ちょっと衝撃。
筆力も十分。
しばらくこんな文体読んでなかったな。
中上健次を思い出してしまう。釧路の中上健次!
受賞作も読みたくなった。
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ホテルローヤルよりこちらの方が好みに合った。土地の感覚がないものに読ませる力量はたいしたもの。和裁の女性群像が印象的。
ラブレス≧これ>ホテルローヤルかな。
再読したい。今年の収穫の人かな。
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読後、寂しい気分になる作品。舞台となる北海道の描写が秀逸だと思う。冬は雪に閉ざされる荒涼とした大地や閉塞感のある農村などリアル。厳しい環境の中で現実を受け止め生きていく主人公の女性たちは強いと思った。
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北海道を舞台に描かれる男女の情愛。6編収録。『氷平線』か特に印象深く残る。
北海道といえば陽のイメージがあったが、ここに描かれるのはどこか裏寂しいさめざめとした景色だ。その中で交わされる男女の情愛が切なく痛い。