紙の本
古代から来た「論語」。
2012/03/29 20:45
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国の古典は日本や韓国に伝わって残された写本を除くと基本的に宋版をはじめとする活版本で伝えられているので、それ以前となると石碑に刻まれたものの断片しか残されていなかった。しかし敦煌写本に残された文献をはじめとして、近年は砂漠や古墳に残された竹簡から見つかった断片から古代の読みが復元されるようになった。この本に紹介されている復元された鄭玄本や前漢代の「論語」の断片がそれである。古代の読みを活版本の読みとの異同を対照して「論語」を読むのもまた一つの発見であろう。
聖書のように古代訳も本文批判では重要な役割を果たしている文書もあるので、古代の読みについて読むのもまた面白いものだ。
日本で翻刻された「論語」として有名な正平本は堺で刊行されたものだが、当時の南朝の行宮が住吉大社にあるだけあって、北朝の貞治三年の年号ではなく南朝の正平一九年を使っている。
電子書籍
論語の歴史
2022/04/29 11:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:福原京だるま - この投稿者のレビュー一覧を見る
近年発掘された竹簡で論語が漢代の初期から現行とほぼ変わらない構成で存在していたことや従来の議論では論語の前半は孔子のことを「子」、後半は「孔子」と記されていることから成立年代の差を想定していたが古い時代の竹簡では厳密な使い分けがされておらず旧説が否定されたことなど面白い。
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「子曰く、甚だしきかな吾が衰えたるや。久しきかな吾復夢に周公を見ず。」
『論語』述而篇にあるこの言葉を、『論語』の中での異音として、今までの『論語』の読み方、あるいは孔子像とは別の視点を提供する書。
個人的には、時代考証や文献考証の率を下げて、上記主題をもっと全面的に出してもよかったのではないかと思う。
帯に「『論語』入門の決定版」と書かれていたが、入門書と言うよりは、専門書・学術書に近い。
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「子曰く、甚だしきかな吾が衰えたるや。久しきかな吾復夢に周公を見ず。」
何気ない言葉のように感じるが、この解釈に関する諸説を通じて浮かび上がる孔子像は非常に読みごたえがあった。
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新たな資料を元にし、論語に対して新しい解釈を加えたもの。
基本から追っているため、わかりやすく、面白い。
著者の説をより理解するには、論語を読む必要があると感じた。
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教科書で目にして以来、「孔子」だの「論語」だのには特に興味はなかったが、副題の「真意を読む」につられて購入。
中国史や歴史的背景をよく知らないので、正直、登場人物の多さに???だったが、著者が一番言いたかったであろう「論語における不協和音」について書かれている第Ⅲ部は非常に面白かった。
結局、孔子は政治の世界で活躍して名をあげたいと熱望しながらも、遊説した諸国では受け入れられるどころか迫害までされ、誰からも採登用されず、心おれて帰郷する。
論語にはそういった孔子の嘆きも書かれており、有名な言葉の数々も、実は「立派な格言」と額面通りに受け取って解釈出来るものでもなさそうだ…というのがわかっただけでも、論語素人にとっては収穫かもしれない。
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ぼくの場合論語ってなに、みたいなところからのスタートでして、これはちゃんと読まないと理解が進みませんが、最初読むものとしてよかった気がしますね。というのは、いまの論語人気というのはさも今風に編集された構成物にように語られるけれど本当はそんなわけはなく、現代の目から見ると不明瞭な点、不格好な部分がいろいろとあるけれど、それをちゃんと読み解いていこう、耳心地悪いかもしれないけど、という具合いなので、こういう実態もありうる、というのを最初に知られたのはよかったね。
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『論語』はただ単に金言を並べた書ではなく、孔子にまつわる生々しいノンフィクションであった! という本。
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著者の感じた「異音」を主張するために、膨大な紙面を割いている。全277ページのうち、238ページからが著者の主張であるが、そこまでの『論語』に関する内容は、整然と整理され、まとめられているので分かりやすい。