紙の本
祖国はどこに。
2016/01/11 09:56
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「盗人の報復」を先に読んでいたので、あのアルベリッヒの若い頃かーとニヤニヤしながら読んでしまいました。
ケロウィンやスキッフと並んで、実務主義的なアルベリッヒ。
一神教のカースにおいて、太陽兵士として内側から司祭と将校たちの腐敗っぷりを知っていたこととは、<共に歩むもの>との結びつきとともに、それまで教えられていた価値観が逆転することも受け入れ易くしたのだろう。
<使者>となったアルベリッヒ。
それでも、彼にとっての祖国はヴァルデマールではなく、あくまでもカースなのだと思わせる。
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ヴァルデマール年代記本編で、要所で良い味を出してた武術指南役アルベリッヒの物語。
アルベリッヒはとても気になる存在だったので、今回彼がどうやって使者になったのかを読めたのは嬉しいですね。
既刊ですでに語られていた「アルベリッヒがいるから使者たちは「カースからくるのは盗賊と悪天候ばかり」という諺を使わない」というネタふりが、こんなに遠大な下地をもって語られていたとは。
これまでの物語で、カースとはいわば現実世界での「悪の枢軸」のような扱いのことが多かったのですが、既刊で語られていたアルベリッヒの性格や考え方からすれば、彼が善きカース人であったことは間違いなく、かつ、太陽神の敬虔な信徒であったであろうことも予想できたので、それゆえにどうやって信仰と新たな価値観との間で折り合いをつけていくかに興味がありました。
上巻の一番の読みどころは、彼がどのようにしてカースを追われ、追われながらも故郷に忠誠を捧げ、同時にこれまで悪魔とその乗り手と信じていた「共に歩むものと使者」である自分、そして選びしものを受け入れていくか…だったと思います。
悪魔と信じていたものが実は善で、しかも自分を選んだというのは、アイデンティティ・クライシスどころではない話だったでしょう。
また、唯一神というものがいかに地上の権力と結びつきやすいかということも、話の進行にあわせてさらりと語られていて、やはりラッキー女史はさすがだなぁと思いました。
もともとラッキー女史は同性愛を否定してはいないものの、ここのところヴァニエルの三部作でBL系の話が続いていたので(それはそれで私個人は面白く読んでましたが)、今回は超硬派な主人公がとっても新鮮に思えました。
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アルベリッヒ、ハンサムでにやり。戦士だし、火刑もあったから、もっと近寄りがたい感じでもいいなー。
ところで、巻頭の「~に捧ぐ」にびくり。あの時期に書かれたのか。
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カース国生まれの軍人アルベリッヒがいかにしてヴァルデマールにかかわっていったかの物語。女性はまだそんなに出てこないけれど、やっぱりラッキーってフェミニストよね。
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武術指南役として、いくつかの作品で名わき役を務めてきたアルベリッヒが主役の作品。
マーセデス・ラッキーの作品ではめずらしい男性らしい男性が主人公の作品です。
とは言っても、思っていたより内証的なのですね。これはしかたないかw
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翻訳ものは苦手なのも多いのですが、コレはすごく読みやすくて、全く引っかからずによめました。
読み終わった後もスッキリしてて、満足。
シリーズものの新刊だと気がつかなかったので、読んでみようかな。
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使者の学院で武術指南役を務めるアルベリッヒ、彼が太陽神の国<カース>から邪悪なる<ヴァルデマール>へ来て、使者になるまでのお話。
アルベリッヒの「なんで敵国なんかにいるんだ!不本意だ!」という怒りを発する青さっぷりもさることながら、敵国の軍人であったアルベリッヒを迎え入れるヴァルデマール側の戸惑いもしっかり描かれてて面白い。
女王候補時代のセレネイなどお馴染みのキャラの若かりし頃が新鮮で楽しいな。
ラストの釣りが苦手なアルベッリヒには、今まで以上に親近感を感じさせてくれるでしょう。