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朝鮮民主主義人民共和国映画史 建国から現在までの全記録 みんなのレビュー
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紙の本
映画から見る北朝鮮。
2012/05/25 06:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画から見る朝鮮民主主義人民共和国という発想は切手から北朝鮮を見た内藤陽介氏の「北朝鮮事典」に似ている。
「北朝鮮事典」は50音順に北朝鮮及び取り上げた事柄に関連する韓国や日本の切手を紹介しているが、この本は北朝鮮の映画を年代順に取り上げている。北朝鮮の映画の通史は北朝鮮ではないという。粛清されたり亡命したり越南して北朝鮮では触れてはいけない存在になった映画人について言及してはいけないからだが、題材的に取り上げてはいけない作品もあるだろう。一方韓国では最近まで統一院や情報機関以外は北朝鮮映画を見る事自体が禁じられていたので研究が出来なかったという。
銃殺された女優のスチールをに中国の古書店で見つけたとあるので、著者の資料収集には頭が下がる。北朝鮮で粛清された映画人が出演していた作品は封印されるか該当箇所を撮り直したとあるが、ソ連や中国でも、そうだったのだろうか。ソ連や中国の映画については疎いが、ガリーナ・ヴィシネフスカヤの自伝を読んでいると、ソ連から亡命した後、彼女がソ連で出演していたショスタコーヴィチのオペラの映画から名前がクレジットから抹殺されていた事が書かれていたが。
二段組みの分厚い本で、北朝鮮について描かれた本で見かけた人物以外は、馴染みがない人名が沢山出て来るが一気に読めた。
戦後、日本人が訪朝したり北朝鮮の映画の上映会が行われた時に、北朝鮮の映画人と接触した事があるが、昭和一〇年代に「親日」的な作品に出演したり制作に関わった朝鮮の映画人と知り合った人もいたという。そういう意味では北朝鮮と日本は遠くなかった人々もいたわけだ。もっとも韓国の映画人でも同じ事が言えるだろうが。この本で再三言及される文藝峰という女優について戦前の本の復刻版でスチールが掲載されていたので当時の日本でも少しは知られた名前だったのだろうか。
映画人ではないが、この本で言及される崔承喜や金永吉のように粛清されて多分、統制区域で生を終えたであろう人が、どういうきっかけで復権したのだろうか。スターリン死後のソ連のように大規模な「名誉回復」があったとは聞かないし。李光洙のように朝鮮戦争当時に拉致された人の遺族が訪北して北朝鮮当局から没年を知らされた例があるが、彼は「親日派」でも存在を無視出来ない人だから特別な例だろうか。
戦前、日本で有名だった朝鮮人の文化人について読んでいると、この二人のように入北して粛清された事で触れてはいけない存在になって日本社会でも忘れられてしまった人々や張赫宙のように日本に帰化して、過去の否定される人物としてしか触れられなくなった人がいて、言及されるのが大韓民国を選んだ金素雲だけになってしまった事は、ある時代の日本と朝鮮との関係を表しているにしても、やりきれないものがある。
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