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「史上最強の柔道家」による人生論、という帯の通り、山下さんのずばりの人生論。
柔道のリアルな現場レベルの話がやや少なくて、残念。
ロス五輪の、あのエジプトのラシュワンとの決勝(山下が痛めた足を攻撃してこない)場面は当時を思い出して感動した。
井上康生がパラリンピックの選手たちが道具の支援を何も受けていないのを見て援助を申し出たり、国内大会で優勝した副賞で高級車をもらったら私には二台いりませんと言って寄付を申し出たりなどのエピソードには彼の素晴らしい人間性を見て感動しました。
しかし、このように良い例として出される柔道家が彼以外ほとんどいないことはどうしたものか・・・。石井慧についても、一言も触れず。
新聞連載のまとめなので仕方のないことであるが「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったか」を読んでしまっているので、やっぱり柔道のシーンの少なさが残念である。えげつない練習などのシーンを読んで比較してみたかった。
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仕事の参考になればと深い考えも持たずに手に取った。
なにしろ史上最強といわれる柔道家だけあって選手時代は少年漫画のノリでおもしろく、指導者となってからは柔道関係者のマナーの悪さを直していこうとするエピソードが興味深かった。
残念なのは、家族を背負うという章で、影響の大きかった祖父の話題は多いが、現在の家庭人としての姿があまり描かれていないこと。次男に自閉症的傾向があり、妻に負担がかかる中、年三分の一を海外出張しなくてはならない、という状況は書かれているが、個人的にそこをもう少し読んでみたかった。
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この本を読むまで、「柔道の強い山下選手」以上の事は知らなかった。
しかし、本を読むと山下さんの抽象度の高さに脱帽する箇所が多々あり、すごい人格者であることを知った。
ほろっとするような感動も伝わり、社会のリーダーとして生きる山下さんの考え方に惚れました。
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現役の柔道選手としての山下氏の偉大な業績は有名ではありますが、現役引退後の活動については、あまり語られることは当然に少ないです。
本書では山下氏が引退後も柔道で学んだ柔道の道を進んでいくのが語られています。
人生において生涯、先生と呼ぶ師がいるのは、素晴らしいと思います。はたして自分にもいるだろうか?それは、山下氏のように道を突き詰める事でしか、師との出会いもない、気付かないのかも知れない。
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*教育は知・徳・体をバランス良く育むことが大切である
*現在は知に偏りすぎ、徳が軽視されている傾向にある
*組織防衛、利益追求という名のもとに、大人は良心の呵責もなく恥すべき行動に走っている。
*働いて、足を使い、相手を崩してから
*十分な努力が自身を生む
*嘉納師範が創設した柔道
*勝負とは「実際の試合で勝つこと、悪漢から身を守る護身術」
*体育法とは「運動能力を高め、健全な肉体を作ること」
*修心法とは「社会に適合し、社会にとって有益な人物になるための方法」
*「人づくり」という原点に
*人間教育に柔道が貢献できることは多い
*型にはめず、心に訴える
*目先の結果だけに拘泥(こうでい)し、勝ち負けだけを追い過ぎる。
*個人の成績だけが評価され、仲間と協力する姿勢や助け合いの精神が評価されにくい
*人生という中長期の視点が欠落している。
*スポーツをすると、様々な状況でグループができる。グループの仲間と力を合わせてプレーし相手の心を思いやりながら、一方では自分の意見をしっかりと伝える。意見が異なった場合には、真撃に議論を重ねて解決すればいい。
*輝かしい結果を残すことを追求するのをやめてはいけない。並行して、多くの人がスポーツに親しむ環境を作らなければならない。
*スポーツをやるときに、どのようなレベルでもまず勝ち負けを考える。勝負に勝てる人はスポーツが好きになり、勝てない人はスポーツが嫌いになってしまう。勝ち負けが前面に出て楽しめなくなっている。スポーツが嫌いで体力が低下している子どもたちに、いかにしてスポーツを楽しんでもらうか、スポーツを好きになってもらうかを考えなければならない。
*そこで大切なのは優先順位を変えること
*一般の人は自分のなかで進歩を楽しめばいい
*競技スポーツと生涯スポーツを分断してはいけない
*オリンピックで金メダルととること、生涯スポーツによって国民の心身の健康を取り戻すことはセットになっている。
*感動は心の栄養による
*スポーツから生じる感動が、日本人の心の豊かさに直結する
*思想家安岡正篤氏・・・「人生は果決である。どの花を残して、どの果実を実らせるのか。それを選び取る勇気と決断が大事なのだ」
*これから先は、目先の成果だけではなく一〇年ご、二〇年後に大きく広がる仕事をしたい。そして、若い人の育成を担える仕事を大切にして
いきたい。
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子供の頃、柔道といえば、無敵の山下さんでした。203連勝。外国人に無敗。モスクワ五輪に出られなかった事件は特に印象的でした。
本書を読むと、特に氏の人間の大きさを感じます。タイトルは、まさに目の前の課題に逃げずに立ち向かってきた氏の生きざまを現しています。
一般的に、体育会系の人への評価は、昔よりは下がっているような気がしますが、氏の生きざまをみると、やはり捨てがたいものがありますね。