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ハキリアリ。
非常に複雑な分業とコミュンケーション能力を備えている。
社会性を持ちながら、人間のように個々の能力を伸ばす方向に進化しなかったのはなぜか。サイズの問題?農業といいながら季節変化を予想する必要がないから?あるいは女王アリという遺伝子の出口を分業にした時点でそのような進化の方向性に定まったのか。
分業の仕方は体のサイズ分けによっているのだが、一番小さいアリと大型の兵隊アリの大きさの差は驚くほど大きい。なんだかSF的である。
抗菌剤を出すカビを体にまとったアリ。一種の衣服ともいえるかも。エイリアンはバイオフィルムを身にまとうのか。
カビとアリに高度な共生が進化したのは、女王アリによりカビが増えるから、つまり遺伝子の出口が一緒だからか。
多摩動物公園にいるらしい。葉の上にのった小型アリをこの夏見に行こうかな。
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1 究極の超個体
2 菌類を栽培するアリの進化
3 ハキリアリの一生
4 ハキリアリの階級制度
5 植物の収穫
6 ハキリアリ同士のコミュニケーション
7 ハキリアリと菌との助けあい
8 菌栽培における衛生管理
9 ゴミの管理
10 略奪アリと寄生アリ
11 ハキリアリの巣
12 ハキリアリのつくる道
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最近、膜翅目にはまってます。
コロニー全体で動物一個体のように振舞うその生態(真社会性)がどのような原理で実現されているか興味があるからです。なんという不思議な!
その膜翅目のなかでも農業を営むハキリアリについて書かれた本です。
ハキリアリといえば葉っぱを刈り取って巣に持ち帰り、飼育しているキノコに餌として与えている、というところまでは知ってましたが。
事実はもっと複雑。飼育しているキノコに害をなす悪玉菌の存在、それを退治する菌を身に纏って対抗するアリと
。真社会性の動物とは言えその種に止まらず他の種との共生関係を維持しながら『一個体』としての機能を完成させていることに驚きです。
と書きながらも、実は我々人間も大腸菌やらなんやら(すいません。あんま詳しくないのであてずっぽうですが)との共生によって一個体となっていることを考えると、果たしてアリと人間ってそんなに大きな違いが無いんかも?とか色々思いは巡り、夜も寝られません。
とてもオモロいです!
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読む前はハキリアリについてヒトのほうが効率的な農業をおこなうと思っていたけど、実は、栽培しているきのこと意思疎通してきのこのために害のある葉を何ヶ月もとらないなど色々なことをしていることがわかった
超個体についてすごくよくわかった
8章が一番面白かった
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NHKの「ダーウィンが来た」でやっていたハキリアリの特集にあまりにも感動して読みました。脅威的な組織力!そこに変な話ですが人間臭さが感じられる。このアリに愛おしさを感じないひとがいるでしょうか。でも本に載ってる写真がアリのアップが多くて電車の中で読むのはちょっと気を使いました(^_^;)
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TV番組で特集していたのをチラ見したことがあったせいか図書館で本書が目につき、なんといっても表紙写真の美しさに、まずは借りてみようと手にした。
テキサスにいたころ、小さな葉っぱを傘のように掲げて運ぶアリたちをよく見かけたが、これはやはりハキリアリだったようだ。なんでアリが葉っぱを運ぶのかな~?と思っていたが、菌園のための葉っぱだったのか。
アリが社会性昆虫なのは誰もが承知のことと思うが、ハキリアリほど、複雑に緻密にそのシステムが構築されている昆虫も珍しいようだ。あらゆることがすべてコロニーの発展維持に都合よく進むようにコントロールされており、彼らが育てている菌ですら、コロニー全体の生態系の環の中に取り込まれているというから驚きだ。彼らをして「超個体」と呼ばれるというのも納得。
また、小さな小さな彼らの、脳の神経の働きや、彼らが葉を切り取る時の足に伝わる振動までしっかり計測され研究されていることにもびっくり。
研究者の根気強い取り組みを想像すると頭が下がる。
好きじゃなきゃやってられないだろうな~。
本書はその興味を引く記述だけでなく、美しい写真やわかりやすい図説が非常に豊富で、それを眺めているだけでも楽しい。
実は節足動物、すっごく苦手なんだけど、そんな私でも思わず見入ってしまうような芸術的ともいえる写真が満載。
そして人間の家一軒立てられるくらいのセメントを流し込み巨大な巣の掘りだしが行われた写真など、とても小さなアリの所業とは思えずただただ驚嘆。
う~ん、でもこのコロニーのアリたちはどうしたんだろう。この作業のために全滅しちゃったってことなのかな…?ちょっとかわいそうかも。
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写真やイラストもいっぱいあって、ハキリアリマニア(?)感涙の一冊だが、ぼくはうーん、そこじゃないんだよなーと思いつつ読んだ。なぜ一介のアリが農業を営むに至ったか。どういう必然性と試行錯誤があったのか。そこが語られないので、葉っぱの切り方とかキノコの育て方とか教えてもらっても、手の届かないぎりぎりにバナナ置かれた猿みたいな気分になる。
本当に不思議だな。
ハキリアリ。日本にはいないのだろうか。いないのはどうしてなんだろう?
いたらいたで葉っぱを千切っちゃうから困るんだろうな。
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コスタリカに行ったとき、念願の葉をかついだハキリアリの行列がどこでも簡単に見られるのに感激した。よく見ると葉を切り出す係と運ぶ係のタイミングが合わないのか、切り出された葉のかけらが地面に大量に落ちているところもある。偶然巣にいきあってその巨大さにびっくり。
本書はそんなハキリアリの社会から行動、菌が育つようなじめじめした地下で、細菌の繁殖をどうやって防いでいるかなど、さまざまな生態を解説している。たくさん写真と図があって、わかりやすい。
同じ著者の蟻の自然誌は途中で挫折したがこれは楽しかった。装丁も凝っていてこれは新刊で買ってよかった!
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菌栽培アリの進化の年表を示した図版
asukashinsha.jp/popular-science/leafcutter/
多摩動物公園
生きているハキリアリのコロニーを観察出来る
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エドワード・ウィルソンの書いたものはやや読みにくいが、これは圧倒的に読みやすくおもしろい。1章と2章に『人類はどこからきて、どこへ行くのか』のエッセンスが記されているので、この『ハキリアリ』を先に読んでおくと、わかりやすいと思う。
巨大な巣の周りに幹線道路を持っているのだが、この幹線道路も含めて巣として捉えるという視点がよかった。
葉を切るアリだけではなく、運ぶアリ、運ぶアリを守るアリ、菌を育てるアリ、ゴミ処理だけをするアリ、幹線道路の整備や掃除を担当するアリなどなど、葉を切る物珍しい点だけではなく、かなり分業されて社会性が高まっているのが良くわかった。
ちなみに帯には「人間くさい」とあるが、人間以上に社会性を高めているハキリアリに人間くさいというのはちょっと違和感ある。
ちなみに『ハキリアリ』は翻訳も違和感がなく読みやすい。
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昆虫のうち真社会性の種は2%。真社会性とは、協力して子育てをすること、集団内に2世代以上が同居すること、子を産む個体と産まない個体が共に暮らすことの3つの条件を満たしたもの。アマゾン流域の高地の森の調査では、アリ類とシロアリ類が動物のバイオマス全体の30%を占め、昆虫の75%が社会性だった。
アリは1億2000万年をかけて様々な生き方を進化させてきた。5000万〜6000万年には社会性昆虫が現れ、枯れた植物の破片などを集めて堆肥を作り、菌の栽培を始めた。菌を栽培するアリは単系統で、1種の共通祖先から枝分かれした。栽培される菌のほとんどは担子菌類のキツネノカラカサ科に属す。1200万〜800万年前にハキリアリが他のグループとの共通祖先から枝分かれして、草や葉を切り取る農業を始めた。
菌を栽培するアリの分布は南北アメリカに限られ、14属230種に分かれる。ハキリアリ属には15種、トガリハキリアリ属には24種ある。ひとつのコロニーには、数百から数千匹、多い時には数百万匹の働きアリがいる。1年に乾燥重量で85〜470?の植物を消費する(835〜4550m2分の葉に相当する)。
働きアリの作業は順に、大型のアリから小型のアリに引き継ぐ形で行われる。葉を持ち帰る働きアリは頭の幅が2?ほどで、巣室の床に植物片を落とす。それを少し小型のアリが細かくかみ切って、幅1〜2mmの大きさにする。さらに小型のアリが植物片を押し固めて粒状にし、そこに糞を落として菌園の土台に付け足す。アリの糞には、アリが食べた菌にある植物を分解する酵素が含まれている。さらに小型のアリは、菌が密集している場所から菌糸のかたまりを新しい畑に植え替える。最も小型のアリは、菌園をパトロールして菌糸の世話をする。菌園には細菌や寄生菌が入り込むが、アリの後胸側板腺で作られる抗生物質や、共生する放線菌がつくる抗生物質によって抑えられている。最も小型のアリは、年長になると運ばれる葉に乗って、寄生バエのノミバエから守るヒッチハイカーになる。巣が脊椎動物の天敵に襲われた時は、巨大な兵隊アリが活躍する。7つの階級で20〜30の作業を行っている。
運ぶ葉が育てる菌にとって有害だとわかると、アリは運ぶことをやめる。菌園の世話をする小型のアリから葉を運ぶ大型のアリに情報を伝えているようだ。
ハキリアリが栽培する菌には、菌糸の先端に丸いふくらみの蕪状菌糸ができてかたまりになる。幼虫は蕪状菌糸だけで成長できるが、成体は樹液を吸い、女王アリは働きアリが産む栄養卵を食料とする。
発達したコロニーでは、毎年1回生殖能力のある雌と雄が数千匹ずつ生まれ、同じ地域に住むいくつものコロニーから同時に結婚飛行に飛び立ち、空中で交尾する。
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地球で最後まで生き残るのは社会性昆虫か菌類だろう。ヒトの社会性は文明を誕生させたが、いたずらに資源を浪費する。自然の摂理においてヒトは必要とされていない。むしろ癌細胞のような存在と言えるだろう。
https://sessendo.blogspot.com/2021/10/o.html
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農業をする蟻がいるということに興味を持ち、手に取った一冊。
蟻の社会の仕組みや生態が分かりやすく解説されている。虫が苦手な身としては蟻のどアップ画像が少々しんどかったが、後半に差し掛かる頃には見慣れたのか愛着が湧いたのか、細部までまじまじと見るようになっていた(笑)
蟻の巣にセメントを流し込んで型を取った画像は大変興味深く面白かったが、そこにいた蟻たちがどうなったのか心配になってしまった。
ひとつのコロニーがひとつの生物として振る舞う「超個体」。まさに歯車のひとつとして生きる蟻。社畜と呼ばれ会社の歯車などと呼ばれる人間社会。歯車として疑問を抱かない分、蟻の方が幸せだろうか。それとも、そこから抜け出すことができない蟻の方が不幸だろうか。
人間の物差しで測ることがそもそも間違っているか。なにはともあれ、興味深い蟻の世界だった。