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紙の本
史実に基づき、多くの逸話が盛り込まれている歴史小説
2012/10/14 22:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
三田誠広の歴史小説である。テーマは源頼朝である。今年のNHKの大河ドラマは平清盛である。視聴率が上がらなかったり、画面の出来が汚いなど色々な話題を提供してくれた。しかし、特筆すべきは平安時代を描いているという点である。江戸時代、あるいは戦国時代ばかりで他の時代がなかなか登場しない。
視聴率が取れないからだというが、それは確かなことであろう。室町時代を描いた『花の乱』などは惨憺たる結果に終わっている。しかし、出来栄えはけっして悪くはなかったはずである。平安時代が取り上げられたとは言え、この時代が取り上げられるのは源平時代に限られるといっても過言ではない。
三田はすでに清盛を小説にして、これが出版されている。バランスをとるわけではないであろうが、本書は頼朝である。三田自身が述べているとおり、基本的には史実を中心に書いている。まるで歴史の教科書を読んでいるようだ。多様にある伝説的な話もほぼ漏れなく描かれている。
とくに頼朝と政子の確執の描き方は面白かった。本書のもうひとつの特徴は、狂言回しがいることである。その狂言回しには文覚と西行が活躍している。西行はともかくも、文覚はストーリーには必ず登場する人物で、袈裟御前との絡みは多くの作家が取り上げている。これによって通り一遍の歴史の教科書がエンターテイメント性を持つ小説として生きているような気がする。
言うまでもなく、頼朝の死後は北條の天下となったが、それまでは元平家の家臣が中心となって頼朝の御家人団を形成していた。頼朝を取り巻く御家人団が如何にして強固な武士団となったかも詳しく描かれており、本書のオリジナリティを印象づけている。
あえて言うならば、史実に従っているので教科書的な面白さはあるのだが、小説として読む際にはもう少し史実にない部分を創作してもよかったのではないか? しかし、日本の読者はそれでは拒否反応を示すかもしれないので、この程度でよかったのかもしれないが。
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