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あり得たかもしれない歴史を背景にしたミステリー小説。
アメリカでは1934年にフランクリン ルーズベルトが暗殺され、当然ニューディール政策は実行されず、それ故に大恐慌から立ち直れずに悪化し、40%を超える失業率、そういった社会状況がポピュリズム政治家を大統領とし、全体主義化したアメリカ。ハーケンクロイツよろしく南部同盟旗がはためき、まるでSAのようなごろつきが幅をきかせ、新聞用紙が国家統制となり、言論統制が実施されている1943年のアメリカ。一方ヨーロッパでは史実通り第二次世界大戦が始まり、ドイツはポーランド、フランスを征服しただけでなく、バトルオブブリテンに勝利し、イギリスまで征服し、ヨーロッパでドイツに対抗しているのはドイツだけ。これに対してもアメリカは英国を支援することは無く、ニューヨークに逃げ延びたチャーチルの活動の甲斐無く、(チャーチルは逮捕され)アメリカはドイツと軍事物資支援の通商条約を結ぼうとしている。
そういった世界背景を元にアメリカ、ポーツマスで腕に数字の入れ墨を彫られたやせこけた男の遺体が線路付近で発見され、その捜査をポーツマス市警の新任警部補である主人公サム ミラーが捜査を始めることで物語が始まっていく。
物語は下巻に進むに従い大きく動いていく。
この物語は1943年のあり得た可能性の上に書かれているが、これは現代アメリカにおいてもあり得た可能性の世界だ。アメリカのある一定の地域では今でも孤立主義的で、ポピュリズム的であり、ティーパーティー運動にもそれが良く現れていて、相変わらず経済の行方は不透明であり、何かのてこが働けばそうならないとは限らない。そういった点でこの物語は良く出来たSFであるし、主人公が最後に選ぶ選択肢は現在の民主主義に対する警告でもある。衆愚的な全体主義を生むのは民主主義であり、志のある優秀なものが指導しなければ正しい政治が行われ無いかもしれないと考えるかどうかなのだ。
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ルーズベルト大統領が暗殺されたifの世界での殺人事件。アメリカが旧ソ連並み?の状況となっている設定だが、初めはかなり状況把握しにくい。全体の感想は下巻へ。
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1943~53年。ルーズヴェルトが暗殺され、ヒューイ・ロングが大統領で、大恐慌から立ち直れなかったという設定のアメリカが舞台の話。
アメリカ大統領がナチスと手を組んでいたりするのはおもしろい。
最後のどんでん返しは予想できなかったが、どんでん返しすぎて、それまでの内容が覆されてしまうほどで、やりすぎなのではないかと思った。
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もし、第二次世界大戦時、ナチスドイツとアメリカ合衆国が手を組むシナリオがあったら、という壮大でクソも愉快でない仮説を小説にしたらこうなったという代物。物語は、ポーツマスの線路脇に身元不明の死体を発見したところから始まる。ジョンドゥの手首には数字の入れ墨、この入れ墨の意味するところは?捜査の前に大きな謎が立ち込め、暗礁に乗り上げると思ったところで突然、連邦政府が介入し、事件自体が地元警察から取り上げられる。一介の刑事としての仕事をやり遂げたい主人公が南部出身の大統領の企むおおきな構図の中に絡め取られていく。
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結構スリリング。ありえない歴史改変小説だけど、昨今のトランプ大統領のひとりよがり政策を見ていると、ありえなくもない、と思ってしまいます。
誠実で、自分の世界と家族を守ることだけ考えていた主人公サム・ミラーが歴史を変える人物になろうと決心する過程も良かった。
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歴史改変物のミステリー。
「もし、第二次大戦でナチスが負けなかったら」と言う設定の話は他にもありますが、これもその一つ。アメリカは、独立を保持していますが、ドイツと同盟国。ヴィシー政権みたいな感じなのでしょうか?
ナチスの影響を感じるアメリカで起きる殺人事件。それがどんな風に、アメリカとドイツの未来に関係するんでしょうね?上巻では、、その伏線も無かった気が?