紙の本
チューダー王朝弁護士
2022/12/25 19:21
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
チューダー朝に興味があり読んでみましたが、宗教問題には興味がないせいかややこしくて暗くて自分にはあまり面白くなかったです。続きもあるようですが・・・。
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16世紀のイングランドが舞台のミステリー。
とある修道院で起きた殺人事件を摂政クロムウェル卿配下の弁護士である主人公が調査に向かうのだが・・・・という話です。
この主人公、生まれながらにして亀背という障害を背負ってますが、その反面、人より抜きん出た能力を持っている・・・・・ということもなく、善良で正義感もあって誠実なんですが、特に明晰な頭脳を持ってるわけでもなく、時に感情的であったり、推理がことごとく間違っていたりと、良く言えば人間的ですが、探偵役としてはとっても微妙なタイプの人です。(笑)
この主人公のシリーズがこれから続々刊行予定のようですが、その一作目の題名が(主人公の名前をそのまま出しただけの)コレっていうのも余りセンスを感じません。
もっとも原題のDISSOLUTION(解散、解体)では余計何のことだかわからないでしょうけど、それにしてもねぇ・・・・
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CWA賞ノミネート作品。評判に違わず、面白かったです。既にブーリン家の姉妹シリーズ(ズバリ16世紀イギリス)や大聖堂(12世紀イギリス)、大聖堂-果てしなき世界(14世紀イギリス)、海のカテドラル(14世紀スペイン)、という、キリスト教社会の時代ものを読んでいたこともあり、かなり堪能しながら読了。表れ方はそれぞれ違うものの、時の権力者が政治に宗教の権威を利用しようとすること、宗教家が信仰や教義から離れて政治権力や欲に翻弄され堕落し、既得権益を守ろうという政治組織と化してゆくこと、改革の信念をもって社会を変えよういうカリスマが出現しても、完全な正義などあり得ないので矛盾や欺瞞にまみれていること、それでも改革は進み、そのなかで一番苦しむのは庶民だということは、日本と同じ。協会の権威を守ろうという教皇派と、国王の地位を脅かす存在を一掃しようと強硬な手段で修道院閉鎖などを進めようとする改革派がせめぎ合う時代、主人公は改革派の雄、クロムウェルの勅命を受けてとある修道院を監督する弁護士、シャードレイク。前任者が査察中に何者かに斬首されて殺されたため、その案件を引き継ぐためにロンドンを離れ郊外にある修道院に弟子のマークとともに赴きます。修道院には贅沢な今の生活を続けることが第一の目標で運営は他の幹部に任せきりの修道院長、規律に反した者を厳しく罰することが生きがいのような副修道院長、副修道院長とともにきりもりする吃音のある会計係、ムーア人で褐色の肌をもつ施療係、男性美への憧れという禁忌の誘惑に苦しむ聖具係、という5人の幹部修道士に、国王への忠誠を誓わず拷問にあい、王族の親類ということで命だけ助けられた会派の違う修道士と、くせのある個性豊かな容疑者たちが居て、シャードレイクはクロムウェルの力に怯えながらも修道院をつぶされまいとする彼らに牽制され、抵抗されながら事件の真相究明と修道院の運営実態の監査をするというむずかしい状況におかれます。シャードレイクは優秀で人柄も良いのですが、子どものときから亀背という障害を負っていてそれがコンプくれックスになっています。改革の目的を信じクロムウェルを師と仰いでいますが、いろんな噂を聞くにつけ自分は視野が狭かったのではないか、と迷いが生じてしまいます。加えて助手のマークが若くて金髪碧眼の美青年、性格も頭も良く、シャードレイクはマークを家族のように愛し好ましく想いながらも、自分と意見を異にするマークと衝突したり、和解したりと、ミステリや歴史ものとしてだけでなく、人間ドラマとしても、読み応えがありました。シリーズになっているとのことで、次作以降の翻訳が待ち遠しいです。
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歴史の登場人物を絡めたお話でした。
ヘンリー8世の治世に起きた殺人事件
イギリスのカトリック弾圧の過程がよく分かります。世界史とか詳しく授業受けてたわけではないので、間違ってるかもしれませんが、プロテスタントって偶像崇拝ではないんだとか新しい発見が多かったですね。カトリック教会は解散させられて土地宝石は国王のものになり、今の王室の資産になってるのかーとか。
イギリス人が読む分には有名な史実だから取っつきやすいかもしれませんが、馴染みのない日本人には後半はちょっと読みづらいかも?
まずブーリン家の姉妹で政治的な動きを予習したら面白いと思います。こちらで実際の振り回された庶民の動きを比較できますね。
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16世紀イングランド。アン・ブーリン処刑直後。
弁護士シャードレイクは国王ヘンリー8世の摂政の命により、修道院で起きた殺人事件の真相を探る。
平易版『薔薇の名前』とでも言いたいような。
当時の宗教改革、風紀風俗など楽しめた。
しかしやはり宗教に関する論議が体感に落ちてこないのは歯痒いな。
人間ドラマも盛りだくさんなので、それだけでも楽しめるけれど。
読んでいる途中、シャードレイクの風貌が『銭ゲバ』とか『デロリンマン』あたりのジョージ秋山の絵で再現された。
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「チューダー王朝弁護士」というところで興味をひかれたが、びっくりするほどおもしろくなかった。
殺人事件の推理もいまいちだし、シリーズ一作品目で助手が裏切るのもびっくりだし、主人公のキャラも全然魅力的ではない。
全てが中途半端だと思った。
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謎解きを楽しむというより、チューダー朝時代の思想や文化を楽しむという話だった。あと歴史背景も。高校生の頃に読んでたら、英国国教会の話が分かりやすかったなぁ。
主人公のシャードレイクのコンプレックスに悩む姿や、嫉妬心が人間らしくて良かった。
清教徒革命のクロムウェルと別人(遠縁だけど)って、訳者のあとがきを読むまで気が付かなかった…。
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16世紀イングランドを舞台の歴史ミステリ。
シリーズ1作目。
ヘンリー8世の時代なので、波乱に富んでいて面白いです。
ヘンリー8世がローマ教皇から決別した後。
教会の権威を取り戻そうとする復古派と、国王と共に改革を進めようとする改革派がせめぎ合う時代。
主人公シャードレイクは40歳の弁護士で、知的で穏やかだが、亀背(湾曲症)というハンデを背負っているため、自信がない面も。
国王の信任あつい宰相クロムウェルの命を受けて、修道院へ赴くことに。
信心深い人間が集まって修行しているはずの修道院だが、現実には権力におごって贅沢や腐敗が極まり、それが問題視されたのも解散の理由の一つ。
前任者が事件に遭っている危険な場所だった。
助手のマークと共に、沼地のそばにある修道院で捜査に当たるシャードレイクは、さまざまな事情を背負った風変わりな人物たちに出会うことになります。
修道院が舞台なので、ちょっと「薔薇の名前」みたいでもありますね。
改革の荒波を乗り越えようと、それぞれに保身を図る人々。
何が理由で処刑されるかわかったもんじゃない、ほんとに命がけの状況ですからね。
シャードレイク自身も、他人事ではない問題を突きつけられることになります。
時代の雰囲気が濃厚で、丁寧な描写を堪能できます。
アン・ブーリンが処刑された直後という1作目。
ヘンリー8世は何しろ6回も結婚しているんで‥(結末はさまざま)
その後、毎回、王妃が変わっていくみたいなので、いっそのこと最初の王妃の時代から書いてくれればよかったのに、とは欲張りすぎ?(笑)
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http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2015/02/book-c6de.html
これが、1作目のよう。図書館で借りるのが良いかな。紙しかないし。
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ヘンリー8世の3番目の妃・ジェーン・シーモア没後のイングランドが舞台。クロムウェルが進める修道院解散の中で起きた殺人事件に弁護士・シャードレイクが乗り出す。まずまず面白かったけど、なんでこの長さになるんだろう?ちょっとまどろっこしい。この時代にムーア人の修道士がイングランドの修道院にいるって設定にビックリ。
あ、でも、ヘンリー8世の最初の妃ってキャサリン・オブ・アラゴンだし、当時のスペインってレコンキスタ後だし…。
訳者あとがきに「一般的日本人向けの時代背景」が説明されています。これ、ネタバレないし、冒頭にある方が親切。
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ヘンリー8世在位するイギリスが舞台。新教派の権力者クロムウェルに仕える弁護士・シャードレイクは殺人事件の犯人を突き止めるべく修道院に派遣される。
「ブーリン家の姉妹」を少し前に読了していたこともあって、裏表紙のあらすじを読んで即購入。作中の時間軸は、ではアンの死後に王妃の座に就いたジェーン・グレイが死去した直後。アンの密通相手として処刑された楽士マーク・スミートンの名前を登場人物一覧に見つけたときは、どう物語にかかわってくるのか非常に楽しみだった。
当時の世俗風俗が細やかに描写され、歴史を感じる読み物としては素晴らしいと思った。助手のマークの気取った服装から個性豊かな修道士たちの住まい、貧しい人々の暮らし、そして宗教改革の真っただ中に生きる人々の意識まで、遠いはるかなテューダー朝の姿を我々読者に鮮やかに見せてくれる。
登場人物もみな個性的に書かれ、人物描写も巧みな作品と言える。
その一方で、ミステリと思って読み始めると肩透かしを食らう羽目になる。特殊なトリック、アリバイ工作が出てくることはなく、作中の謎に頭を悩ませ、犯人を探る楽しみは本作にはない。
とはいえ、この本は裏表紙のあらすじでもミステリだとは名乗っていないし、視点人物と探偵が一致していたり、助手のポジションであるはずのマークと仲たがいをしたり、と伝統的なミステリの作法からわざと外れた書き方をしていることからも、ミステリとして云々は的外れな批判と言えるかもしれない。
次に、主人公の価値観を揺るがす事実について。正直言えば、現代日本の読者からすると共感はしがたい。主人公の立場からすれば驚愕の事実であり、信じられないことであったのだろうが、読者の立場からすると、別段驚くに値しない事実に過ぎないと感じてしまった。自明の事実と感じることに対して主人公が動揺していると、素直に主人公の心の動きを受け入れられない。
歴史ものとしては非常に楽しく読めたが、ミステリとしての期待は外れてしまった。登場人物の心情にもややついていけない点もあり、手放しに評価はできない。
次巻以降購入するかと言えば、正直悩みどころ。この著者からでなければ得られない要素もあるので悩ましい。