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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
悪魔メフィストフェレスによって十九世紀のウィーンに、中年ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテとして連れて来られた二十一世紀の高校生ユキは、《ファウスト》にまつわる自分の名前を取り戻し、魔術師として覚醒したかに思えた。しかし実際は、どうやったら魔術を使えるのか分からないし、ゲーテとしてどう作品を書いたらよいのかも分からない。
一方、ルドヴィカ・ファン・ベートーヴェンは、着想した新たなピアノソナタを弾くことが出来る未だ存在しないピアノを求めて、ピアノ製作者のナネッテ・シュトライヒャーに依頼をしていた。ルゥの大ファンであるナネッテは、ルゥを手なずけるユキに敵意を燃やしながら、他の全ての仕事を擲って新たなピアノを作ろうとするのだが、戦火にあるヨーロッパでは、参考としたいピアノを手に入れることもままならない。
そしてついに、ナポレオンがウィーンへと攻め込んでくる時が来た。皇帝フランツはウィーンを逃げ出し態勢を整えようとするのだが、ルゥはウィーンを離れようとはしない。それどころか、ナポレオンを招待し、交響曲《ボナパルト》を聞かせようとする。
ところが、サリエリがとりまとめるウィーン楽友協会に依頼しても、会員が雇用者である貴族に従って疎開しようとしているため、楽団員が集められない。だが運良く、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンの弟であるミヒャエル・ハイドンが師範を務めるザルツブルク闘魂烈士団と師範代カール・マリア・フォン・ヴェーバーの手助けを得られることになる。彼もまた、悪魔ザミエルの契約者だった。
なぜか第二十二番目のピアノソナタとなっているピアノソナタ第二十三番ヘ短調《熱情/アパショナータ》にまつわる物語。未だ存在しない音を求めて彷徨う少女二人と、いかにしてゲーテになるかという問いを立てて迷宮に入り込む少年、そして悪魔に魂を売ってでも自らの求めるものを得ようとする青年たちが登場する。
ハイドンが格闘家だったり、皇帝アレクサンドルがバイだったり、全体的にコメディの雰囲気を漂わせる設定の中、ナポレオンだけが殺気と虚無に満ちた空気を纏って登場するのが異質だ。この異質さがユキとどうか関わって来るのかが、このシリーズの中心になるのだろう。
それと同時に、作家としてどうあるべきかという自分の形を見つけつつあるユキの姿には、作者の心情が投影されているのかも知れない。
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投稿者:にい - この投稿者のレビュー一覧を見る
ピアノソナタ×神メモ
一巻は単なる自己模倣かと思っていました
しかしこの二巻では自己模倣と言うより、自分のキャラクターを別の物語に出演させている状態
ある意味ファンには嬉しいかもしれません
ストーリーも決して悪くはないです
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内容(「BOOK」データベースより)
交響曲の初演成功から数ヶ月、ルゥはスランプに陥っていた。新作の曲が革新的すぎて既存のピアノでは弾けず、新楽器の開発も行き詰まっていたからだ。そんな折、フランス軍がウィーンへ進攻。僕はついに魔王ナポレオンと相まみえる。そこで知るのは、魔王のあまりにも意外な素顔と、この歪んだ十九世紀世界の秘密の一端。そして僕らの前に現れる、不吉な銃を操る若き音楽家。「俺がナポレオンを殺る。邪魔するな」復讐に燃える彼の背後には、悪魔の影が…。絢爛ゴシック・ファンタジー、第2弾。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
杉井/光
ライトノベル作家。1978年、東京生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ノリが『神様のメモ帳』と同じだ…
既視感がすげぇ。かけあいのスピード感とか脱力感とか。
主人公が新作書く気になったのが、ちょっと新鮮。
日本の元高校生が『ゲーテ』として文学作品を著すとか、どうよ?w
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ついにナポレオンが登場しました。肖像画とかあるので同じなのかなと思いきや、全然違う絵でした。相変わらず岸田メル先生の描くイラストは男女ともにイケメンすぎます(笑)
話の流れとしては、同作者の『神様のメモ帳』に非常に通ずるものが多く、読んでいて「あれ?このキャラ達の性格、神メモのあいつらじゃん」、「この展開前に同じようなもの読んだことあるぞ」など非常によく似た流れでした。同じ作者だから仕方がないのかもしれませんが、個人的希望としてはあまりキャラの性格や話の流れなどはあくまで楽聖少女だけのものを追及していってほしいというものがありました。
しかしながら、話の構成は悪くはないので、神様のメモ帳を楽しめた人なら同様に楽しむことができるのではないでしょうか。
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『神様のメモ帳』と似ているところもありますが……。どちらかというと、わたしはこっちの方が好きでした。
みんな、それぞれ自分の作品に魂をかけてるのが伝わってきて、熱いです。
創作活動とはなんたるかを、これでもかと表現している作品。
自分もいつか、魂が揺さぶられるほどの感動を、味わってみたいものです。
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満たされないから、作品を作るんだ。
その一テーマが今回の巻ですか。
ユキがユキというゲーテになるための序章がやっと終わったとも言えます。
ベートーヴェンの熱情から始まり、熱情で終わる。いわゆる、失敗から失敗。そして失敗。
最後にはまさにベートーヴェンの熱情が届き、ピアノが完成する。そしてユキが答えにたどり着く。
この物語は、ナポレオンが最終的なボスになるのかと考えもしましたが、妹が悪魔ということもあり、最終的なものは悪魔になりそうだなぁと次が待ち遠しいですね。
ゲーテの作品が読みたくなりますね。時間があれば手に取りたい。
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ヴェーバーさん登場。
本物はともかく、このヴェーバーさんはカッコいいです。こういうキャラは好きです。兄貴な感じ。
そして、ナポレオン。本物より勿論カッコいいです。ユキがハリウッドスターみたいって思う位。
ゲーテの作品は苦手だけど、読んでみようかなぁ…
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恣意的なのではと思うほどに神様のメモ帳とキャラが被る、と書くと欠点にしか聞こえませんが、他作品の優れた要素を再構成した作品として、また別の輝きを持っているとすら感じさせるのですから驚きです。
四十冊もの作品を書いてきた作者だからこそでしょうね。
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2012 11/9読了。WonderGooで購入。
悪魔によってゲーテと入れ替わった現代日本出身の主人公・ユキが、美少女化しているベートーヴェンとか魔人化しているナポレオンとかと交流するシリーズ2作目。
ナポレオン満を持して登場・・・あー、割りとしっかり影のある感じできたか。
これナポレオンの物語も決着させる気でいるんだとすると、このあとどういう展開になっていくのかね?? ワーテルローまでやるの??
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前巻で主人公がいろいろと覚悟を決めたので、今回はあまり悩んだりしているところは少なかったような感じがします。新しい悪魔が出てきたりして、前よりも魔法を使う場面が増えました。
カラーページがほとんど前巻の絵を使いまわしていて、本のはじめには主要人物3人の紹介しか載っていないのですが、その分先の展開がわからないので楽しめました。
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ちょっと様式美になりつつあるやり取りは苦手ですが、主要人物たちが魅力的です。
1巻で必要かな?と思った主人公の戦い方も、うまく使っていてよかったです。
読んだ後はついついクラシックを聞きたく鳴ったり、ゲーテを読みたくなりますね。
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素晴らしい。「神メモ」より好きだ。ナポレオンを狙う若い音楽家、ルゥのためにピアノを製作する女性、運命に苦悩するナポレオン、ルゥ、そしてユキ……。皆の運命が絡み合い、そして生じた結末は、とにかくたまらなかった。
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1巻に引き続き、史実とファンタジーのバランスが絶妙。ウェーバー登場&ナポレオンとの直接対決は見ものでした。
ときにはふざけつつも、芸術家や職人の矜持がしっかり描かれていて読みごたえあり。
ハイドン師匠は1巻のあのネタだけのための出オチキャラかと思いきや、ちゃんと繋がってきたか…
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読んだお.
いやー,なんていうんだろうね.
このベートーヴェン少女とゲーテ少年の会話の辺とか,
ニート探偵と助手の会話によく似ている.
脳内音声で小倉唯と松岡禎丞になってしまいますね.
そしてどんどん歴史とか音楽史とか置いてけぼりに….
なに? あの時代に電子ピアノの図面引いちゃうの?
もう名前だけ借りたファンタジーだよな.
いやまぁ,悪魔と契約している時点でそうなんだけども.