紙の本
ままならない
2024/01/14 15:20
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投稿者:ダタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
メイン州の美しい自然、
人々の静かで味わい深い生活、
そういうものを期待していたが、
良い意味で全然違うものだった。
もっと生々しく、ときに身につまされ
人生の心許なさ、時間の無常みたいな
ものが巧みに描かれている。
生活の色んな場面で抱く
苦味ある感情について
ここまで素直に表現されている
作品は他に中々無いと思う。
紙の本
何かがおこるという作品ではないですが
2019/01/28 15:48
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のオリーヴキタリッジは、東海岸の小さな港町・クロズビーに住んでいる。どんな女性かというと、実写版で「ファーゴ」で主演を演じたフランシス・マクドーマンドが主演をしていると帯にあったので、大方の察しがついていたのだが職業は教師、大柄で愛想はあまりよくない、気ままな人で、たまに暴言をはく。外からみるとあまり友人にしたくないタイプに見えるが、結構、本当は繊細な人のような気がする。物語はキタリッジ夫妻と、その周りのクロズビーの住人が主役の連作になっている。幸せそうにみえる家族にも、それぞれ悩みがあり、あの時、ああすれば良かったといった後悔を抱きながら生活してる。当たり前の話だが、このことに日本とアメリカの違いはないようだ
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投稿者:iku - この投稿者のレビュー一覧を見る
お話によってはオリーヴ・キタリッジが脇役だったりもするが、全編を通してだんだんと彼女の人となりや年老いていく姿がココロに強く残り始め、最後にはすっかり魅了されました。
紙の本
発行:2012年10月15日
2015/08/23 13:04
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投稿者:bbsf - この投稿者のレビュー一覧を見る
原著は2008年刊行…単行本は2010年10月刊行…解説は井上荒野…ドラッグが出てこないアメリカ小説を久しぶりに読んだ気がする…佐野洋子のエッセイをアメリカの女性に置き換えて小説化したような主人公の行動に共感は出来ないけどとてもよく理解できるのは読んでる自分が年を取ったからだと思えるので三十代後半を過ぎないとこの本の真価は読み取れないであろう
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単行本が出た時に1読しているのだけれど、いくら探してもない。どこにもない。近々の読書会のために、文庫で買い直して2読め。
オリーヴの怒りっぷりや毒舌が堂に入っていて、時々吹いてしまう。70年生きていれば、そりゃいろいろあるよね。いいことやいい人ばかり、いい読後感の話ばかりじゃない。ヘンリーが倒れた後も、悲嘆に暮れて泣くというより、こういうことは起こること、と淡々とやるべきことをやるのがよい。
『チューリップ』『旅のバスケット』など結構重いが、オリーヴのキャラが、重さだけに注視させない。
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アメリカのクロスビーという小さな町で暮らしている人々の様子が連作式短編になっている作品。
主役であったり脇役であったりするのだが、前作品にオリーヴ・キタリッジが登場する。オリーヴが中年から高齢になる様子が作品を読むにつれてよくわかるようになっている。
オリーヴのくせのある人柄や、いろんなタイプの町の人々や、子供たちの成長していく様子などが穏やかに書かれていて、たいした盛り上がりも意外な展開もないのだが、読んで良かったなぁと思える作品である。
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人生ってきっとこんなふう。
いくつもの短篇が寄り集まって分厚い長編になるのだ。
人は必要とされる事で生きていられる生き物だと思った。
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なんだかしみじみとすごくよかった。
最初、ふんふん、小さな町の普通の人々の暮らしを描いた静かで淡々としたお話なんだ、海外小説の短編によくある感じだな、描写が淡々としていてすてき、いいね、という感じで読んでいたらば、真ん中あたりでいきなり大きな事件が起きて、そこからはもう、わーっと一気に加速して夢中で読んだ感じ。
どの話もせつなさにあふれていて、せつないばっかりかもっていうくらいでかなり身につまされて、途中すごく暗い気分にもなって、しかも主人公のオリーブはかなり変な中年(最後は老年)女性で、こんなふうになったら嫌かも、とか思っていたのに、読み終わったらば、オリーブのたくましさを尊敬するような気持ちになっていて、この小説大好きだ!と思っていて、なんだか、小説の魔法、とでもいうものににかけられたような、不思議とさえ思えるような気分になった。
解説で井上荒野さんが「おためごかしがない」と書いているけれども、そのとおり。いかにも小説らしい?奇跡とかハッピーなこととかは起きなくて、だれもかれもにせつないことばかりあって、だれもかれもものすごく孤独。時間はどこにいったのかっていうくらい速くすぎさって。希望があるんだかないんだかって感じで。
でも、人生ってそういうものだとかしみじみ思ったり。これも井上さんの言葉を借りれば、人生にはそういうことがただ「起きる」ものだから。
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アメリカ メイン州の架空の港町クロズビーで暮らす人々が、平凡な日常の中、どうしようもない衝動から起こす小さな事件。
この本のタイトルであるオリーブ・キタリッジは、それぞれの短編では主役であったり、ほんの少しでてくるだけであったりするが、全体を通すと、オリーブ・キタリッジの衝動にまかせた行動に裏にある、胸の内が徐々に明らかになる。
彼女が高齢になるにつれ、孤独が深まる中、かすかに明かりを見つけるところで終わる。
静かで落ち着いた雰囲気の町の人々のなかに、突然沸き上がる衝動のせつなさ。余韻の残る本でした。
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アメリカの小さな町でごくありふれた生活をいとなむ夫婦、そのミニアチュール的な人生の時系列の中でのエピソードを淡々とつなぎながら小市民的生活の生き方を描いていく作品。ピューリッツア賞受賞。「ワインズバーグ、オハイオ」みたいな作品といったらいいかな。あまり趣味じゃない。
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「停電の夜」で好印象だった小川高義さんの訳だし、表紙に一目ぼれして購入。
最後の『川』は、70を過ぎてなお新たな自分を発見するオリーヴに、なんとなく好感がもてた。ヘンリーは気の毒だけど、それが余計にオリーヴの孤独を際立たせる。人間は所詮一人で生まれ、一人で死ぬ。そんな現実を見せつけられた気がしてつらかった。
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例えば、自分にとっても他人から見ても取るに足りない事件。
自分からすれば大事件だけど他人からすればそうでもない出来事。
もうニュースになっちゃうような大事件。
また例えば、自分はこんな性格だ、と把握できている性格。
自分は気づいていないけれど他人にはこう思われている、という性格。
自分はこうありたい、もしくはこうとだけはなりたくないと思われる性格。
こんな事件や物語が組み合わさって短編となり、一冊の本となってまとまっています。
他人から見たオリーブ、通りすがりの一人でしかないオリーブ、そして主人公のオリーブ。
帯にサンフランシスコクロニクル紙の書評で「読書の純粋な喜びを味わえる」とあったが、まさにその通りだと感じた。
一番印象に残ったのは、セキュリティ。オリーブ自身が気づいていないかもしれない、気づいていてもどうしようもなかったかもしれない事が息子に指摘されて…という話。なんとも言えない複雑な気持ちになった。
苦いのに、苦いだけでない味、のような作品。またいつか読み返したい。
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この本は一見短編集のように見えるけれど、すべての小説にオリーブ・キタリッジという女性が登場します。あるときは主人公だったり、あるときはちょっと顔を出すくらいだったり。それぞれの話は年代が違っていて、初めは中年だったオリーブも最後にはおばあさんになります。
決して性格も見栄えも良くないオリーブだけれど、読み進むにつれて彼女のことがだんだん好きになってきました。なぜなら、彼女の行動も、彼女の子供の行動も、その奥さんの行動も、その気持ちがわかるものだから。
二回読みましたが、二回目の方が良かった。きっとまた読み直すはず。
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小さな港町の穏やかで幸福な日常。
その慎ましやかな生活が、少しずつずれ始め、不安が広がっていく。
その中心にいつもいる女、オリーヴ・キタリッジをめぐる長い物語。
短編が心地良く重なり積み上げる物語性は圧巻。
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不満たらたたでアンチクライマックスなオリーヴの人生。
75歳にして出会った人は思い人になるのだろうか。