紙の本
アイディア一発
2013/02/26 21:05
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投稿者:ソレイケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
建築物にまつわる短篇が四つ。
三崎の小説はどれもそうだが、現実の読者の世界には無いもの、ありえないものが自明のものとして存在する世界を描いている。この「ありえないもの」は、例えばよくあるSFの未来世界とは違って、我々の科学技術や通常の想像力の延長線上にあるものではなく、どっかとんでもないところから発想されたもので、そこが三崎の小説の面白さになっている。そして、これまた三崎の小説に頻出する「喪失」というモティフがこの短篇たちにも現れてくる。寂寥というか、少し切ない味わい。非常にアレゴリカルな印象を受けるが、変に寓意など読み取らないほうが良いかもしれない。四篇ともよかったが、とりわけ最後の「蔵守」は印象的である。SFとしても面白いと思った。
紙の本
題名に魅かれて
2017/08/27 19:24
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投稿者:読書はじめました - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名に魅かれて購読。(作者さんで選ばない)
「七階闘争」
面白くなかった。
「となり町戦争」と殆んど同じだと思っていたら、同じ作家だった。
短くなっただけマシな気がするが、同じ話を書いているだけで、最悪。
ラストに熱く語ったり、陰謀説を唱えて読者の共感を得ようとしていたが、
逆に冷めた。
結局は、所有欲と喪失感の話。
他3編。
紙の本
夜、本が飛行します。見てみたい。
2015/12/27 10:06
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
廃墟は都市や国の成熟度を測るものであり現代人の癒しの空間としても機能している施設でもある。こういう発想面白いなぁって思いました。
短編の中で私は「図書館」が結構好きかな。
夜間開館で本が野生に目覚めてしまいます。本がバタバタ飛ぶんですよ。
そんなのが見れるなら夜の図書館にも行ってみたい。
紙の本
建物に焦点を当てた短編集です
2015/05/02 00:47
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は三崎亜記さんが建物に焦点を当てた短編集です。
七階が淘汰される社会を描いた「七階闘争」
廃墟の充実度で評価される世界を描いた「廃墟建築士」
生きた蔵書とそれを内包する生きた図書館を描いた「図書館」
蔵を守る人々の意識を描いた「蔵守」
いずれも淡白な書き味でコミカルかつどこか切なく描かれています。
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七階闘争 / 初出 小説すばる 2008年7月号
廃墟建築士 / 初出 オール讀物 2007年3月号
図書館 / 初出 小説すばる 2008年10月号
蔵守 / 初出 小説すばる 2008年11月号
解説 「「なにか」について書いてある」 (高橋源一郎)
『廃墟建築士』 2009.1 集英社刊 文庫化
カバーデザイン 泉沢光雄
写真 Presacalzado(Getty Images)
フォーマットデザイン アリヤマデザインストア
マークデザイン 居山浩二
印刷 凸版印刷
製本 凸版印刷
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建物にまつわる4つの不思議なお話
『七階闘争』
7階が7階における犯罪率を引き上げている!7階を撤去しよう!
という、建物の7階を撤去しようとする決定と、
それへの反対運動の話。
新興宗教みたいでこういう闘争モノは怖い
いやなリアリティもあるし
『廃墟建築士』
本書のタイトルにもなっていて、これに惹かれ購入。
廃墟が建築として認められていて、
建築物としてあえて廃墟を作るというのが奨励される世界。
確かに廃墟というものの魅力はとても素晴らしいけど、
日本のこの狭い国土に、わざわざ住居スペースを奪ってまで
廃墟を作るのはなぁ…
芸術として見ているから、公園やオブジェと同じなんだろうけど
それにしても廃墟に興味のない人にとっては無益すぎるだろう
主人公を感動させた連鎖廃墟もなぁ。
意図せざるものだからこその、ハッとする美しさや
無情さがあるんだと思っている
ささやかでも存在した歴史の痕跡とか
『図書館』
図書館には野性がある
それは、人々が寝静まる夜に目覚める
図書館員として、微笑ましさと羨まさしと
『蔵守』
なぜ蔵を守るのか
そこに蔵があるから
守るべき蔵をめぐる二つの意識が
交互に描かれていく話
これはもうちょっと展開を広げて欲しかったかも
最後の方で明かされる秘密が、そういった余地を残して想像力を駆り立てて良い
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三崎亜記作品は初めて読みましたが、なんだか意味が分からないです。
この手の淡々と進んでいく不思議系は合わないのと同時に、この作者の持ち味である理不尽や不条理が嫌いだと判明。
とてもじゃないですが受け入れられませんでした。
読んでいてイライラしてしまった。
いや、決して短気ってわけじゃないんだけど、なんだか受け入れられない。
残念です。
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三崎さんの描く世界は、普段身の回りにある当たり前のものが意思を持っていたり、普段暮らしているのと変わらないように見えつつ、実は少しずれている社会が出てきたりする。
そして登場人物自身も、それに違和感や戸惑いを感じている姿が描かれる場合と、それを当たり前のこととして、その世界で暮らしている姿が描かれる場合とがある。
前者は自身と重ね合わせて共感できるし、後者はその誇り高い姿に感動を覚える。
そしてどちらであっても、三崎さんは静かに淡々とさえいえる語り口で、それを見せてくれる。
今回、この短編集に収められた4編もそんな三崎ワールド満載。
いつもながら、楽しく読ませていただきました。
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連鎖廃墟の美しさにうっかりと嵌ってしまった。
廃墟建築士の彼が連鎖廃墟を進んで行く場面が秀逸。
この短編集の中では1番好きな作品。
「廃墟建築士」と「図書館」は『バスジャック』所収の物語とリンク。
「図書館」は本当に本にこんな野生があったらいいのになぁと思う。
怖いけど。彼女と社長の物語も気になる。
「七階戦争」は解説の通り、七階の部分を他の単語に変えれば本当に普通。
この不思議さや理不尽感が三崎ワールドなんだと思う。
そこに魅せられて逃げられない。
「蔵守」だけは正直よく分からなかったのだけれど、オチにはぞくりとさせられた。
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リアルじゃない世界のリアルな気持ち。
それが心地よく心に沁みます。
http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-955.html
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三崎亜記さんの小説は2冊目。
正直、む〜と思うのだが、そこに描かれる世界は
ありそうで、なさそうで、でも本当はあるのではないか、
と思ってしまう。
解説で髙橋源一郎氏が「なにか」について書いている、
とおっしゃっているが、まさにそんな感じです。
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独自の世界観でストーリーを進めていく、
三崎作品らしい作品。
表題にもなっている廃墟建築士はもちろんの事、
図書館の話が個人的にはとても好き。
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タイトルに惹かれて読んでみた。読み始めてみると余りの奇想天外さについて行けず、なかなか読み進めなかったけれど、三崎ワールドに慣れてきたのか設定の不思議さが気にならなくなってきたから不思議(笑)
4つの短編があってそれぞれのテーマが非現実的なんだけど、物凄く人間的だなと思ったら面白いと思えた。
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三崎亜記の本に自分の概念をひっくり返されるのが大好きで仕方がない。
そんな非現実的な世界観を綻びなく作り上げる三崎亜記が好きだ。
7階撤去運動、廃墟を建築、意思を持つ図書館、呼吸する蔵。
面白すぎるだろ!!
そんな作品ごとのことを考えていたら、久しぶりに「鼓笛隊の襲来」を読みたくなってきた…。三崎亜記のこの中毒性が半端ない。
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三崎亜記の廃墟建築士を読みました。
三崎亜記らしい不思議な世界設定とその世界の中で生きていく人間たちが描かれた四つの短編が収録されています。
七階闘争では、ある街で7階での犯罪が多発したため、その街の7階を全て撤去することになる、という物語が語られます。
7階というのがO型だったらどうだろう、○○県出身者だったらどうだろう、何かがターゲットになる怖さが描かれます。
図書館と蔵守は、人間がコントロール出来ない超自然の存在に立ち向かう人たちが描かれています。
なぜか、この短編を読んで、故障した原発で苦闘する人たちを連想しました。
四編ともそれぞれ考えさせられる物語でした。