投稿元:
レビューを見る
短編集。以前、新聞の書評で「愛の手紙」が勧められていたのに興味を持ち購入。
ノスタルジックなな気持ちにさせてくれる表題作「ゲイルズバーグの春を愛す」、、静謐な雰囲気を持ち、じんわり心に迫る「愛の手紙」が好きです。
投稿元:
レビューを見る
しみじみと美しいファンタジーです。しっぽりします。でもタイミング的に、この前にブラッドベリを2作ほど読んでたので比べちゃってダメですね…。
投稿元:
レビューを見る
短編集です。
最近のわたしは、読んだ端から、忘れていきます。
これは、貸してもらった本ということで、1作ずつ読むたびに、感想を書いてメールで送っておりました。
ということで、その1作ごとの感想を載せていきたいと思います。
このちょっとずつ書きためておく方法は、けっこういいかも。
ゲイルズバーグの春を愛す
古い建物、街並みのなかに、何かが宿っているというのは、とっても、素敵な、好きなテーマで、雰囲気のよいお話でした。
ただ、その宿っているものが、街を変化させようとする人を傷つけてしまうところは、ちょっと、悲しいなぁと思いました。
優しい街並みは、それを守ろうと思う人にも、変化させようと思う人にも、優しくあって欲しいと思ってしまうわけです。
でも、それでも、どうしたって、街はかわっていくのだなぁという、時間に対するとらえ方(あきらめではなく)は、「なっとく」です。
ということで、これからの作品、なかなか楽しめそうです。
これが好きなら、きっと大野安之の「ゆめのかよいじ」とか、気に入ると思います。
古い校舎と、時間から取りのこされたような村のお話です。
悪の魔力
原題は、「Love,Your Magic Spell Is Everywhere」。
「悪の魔力」……どっから、出てきたんだ?
今、エキサイトの翻訳サイトで原題を訳してみると、「愛、あなたのマジック期間はどこでもあります」。
これも、変だ。
多分、Spellは、スペルで、「呪文」。
だから、「愛、あなたの魔法の呪文は、どこにでも」みたいな感じですね。
でも、訳者が、「悪の魔力」という題名をつけた理由も、わからないではないです。
多分、これは、アメリカ人と日本人のうけとり方の違いではないかと思います。
眼鏡は、いいんですよ。
アメリカ人だろうと、日本人だろうと、こんな素敵な眼鏡があったら、かけます。男なら。
でも、問題は、感情の方です。
ここで、この話は、簡単に魔法を使って、感情をいじっているわけですが、このあたりが、日本人にはあわなくて、「悪の」という題になったのではないかと思います。
やっぱり、薬の力や、魔法の力を使って、相手を振り向かせても、いいことないと思うんですよねぇ。
そうすると、最後に、自分に魔法が返ってきて、へんな女とくっつくというのは、このお話の「教訓」なのかもしれません。
でも、この女の子が、本当にハズレくじみたいに、へんな女だったかというと、そんな感じはしないんですね。
変身前の「超・少女 明日香」みたいで、かわいいじゃんとか思ってしまいます。
まあ、眼鏡をとったら美人というのは、少女マンガの王道でもあるわけですし。
まあでも、男の方は、あんまりいいヤツじゃないし、友だちにもなりたくないですね。
すごく、好意的に解釈をすると、この2人は、魔法にかかる前から、お互いに好きになっていたのかも。
魔法なんて、思いこみにすぎないのかも。
描写の積み重ねがあるので、2人のシーンだけ���いかけていくと、そんなふうにもとれるんですが……。
そうすると、他の人にかかった魔法の部分が、邪魔になっちゃうんですよね。
もしかして、1番正解は、なーんも考えずに、あーハッピーエンド、相思相愛になれてよかったね。
なのかも。
あと、この男、ダメだと思うのは、こういうところ。
「たしか去年、彼女は夫のハーヴェイとともに結婚二十五周年を祝ったはずだったが、
彼女の腰の右側には、縦四インチくらいの赤いハート型の刺青があり、そのなかに青で”ラルフ”という文字が彫りこんであったのだ。
ぼくは、その事実を、四分の一世紀もり長い間ハーヴェイの目から隠してくるのに、どれほど苦労したろうかと考えさせられたのだった。」
多分、今の時点で、ハーヴェイは、このことを知っているし、当然、受け入れているのだと思うのだが……。
アメリカ人は、どんな感想を持っているんでしょう?
クルーエット夫妻の家
これは、すごく気に入りました。
かつてどこかで造られた家が、時代を超えて再び造られて、その「家の思い」が、転生してくる話といったところでしょうか。
物や、無生物にも、やっぱり「思い」というのはあって、それに取り込まれることは、それほど悪いことではないと実は思います。
まあ、物語としては、「行って」、「帰ってこない」物語というのは、もしかすると、ものすごく不健全なのかもしれませんが、昔からわりと、そういう物語の方に惹かれてたりしています。
それが、心穏やかなものならば、過去でもいいので住んでみたいなぁと思います。
まあもちろん、それは、けっこう後ろ向きな欲望だなぁということは、知ったうえでですが。
でも、主人公の設計士は、はじめは、けっこう家の魂の話をしていたのに、後半は、けっこうドライです。
現実に生きる人にとっては、正しい態度なのだろうなぁと思いつつ。
きっと、ある種のうらやましさも、感じていたのではないでしょうか?
おい、こっちをむけ!
幽霊の話は、実はけっこう好きなのです。
ということで、この話も、けっこう楽しみながら読みました。
気になった点は、何故、幽霊が自分の名前をこれほど強調するのか?
暴走族が着ているような服を着てまで、自分の名前を強調する幽霊って?
やっているとこは、地味なのに、服装だけ派手?
オチを読んでなっとくしたけど、なっとくいかーーん(意味不明)
いや、笑ったんですけどね。
うーむ。
作家は、作品を残すことができなかったことを惜しんで幽霊になるのか?
自分の名前が残らなかったことを惜しんで幽霊になるのか?
どっちかというと、前者であって欲しいです。
まあ、後者でも、おもしろい作品が作れれば、その人の人間性は、実はちっとも、かまわないのかもしれませんが。
独房ファンタジア
いや、てっきり、扉が開いて逃げちゃう話だと思ってたんです。
でも、典獄に、約束するじゃないですか、そのあたりから、ちょっと、違うぞという感じがしてきて……。
最後は、��が開いているのは、わかっていたのですが、奥さんには、「やられた」と思いました。
これは、まさに伝説にふさわしい一編です。
題名は、「ファンタジア」ではなくて、「伝説」と訳してほしかった。
時に境界なし
わたしも、主人公と同じ様に、「小さい悪事なんてどうでもいいじゃないか」と思っているので、この警部の情熱は、理解できない。
「小さい悪事なんてどうでもいい」は、ちょっと言い過ぎかな。
もちろん、その事で、当事者が立ち直れないショックを受けてということはあり得るし、
当事者が、その事にたいして、怒ったりするのは、理解できるのですが。
まあでも、なんのつてもないところに、リスクも覚悟で行ったんだから、帳尻はきっとあっていると思ってしまう。
笑って、野球観戦をしてるけど、きっと苦労したんだと思います。
まして、別の事件の犯人として裁くなんて、まともじゃないと思います。
最初は、手紙を送っても未来ははじめっから決まっていてかわりませんでしたというオチかと思いましたが、あのオチは、ちょっと笑いました。
でも、戸籍も何もないんだから、ちょっと無理があるだろう……。
まあ、ギャグとしては、まあまあかな。
大胆不敵な気球乗り
昔、仕事場の懇親会で、「マディソン郡の橋」っていう映画を見て、さっぱり、理解できなかったことを思い出します。
じつは、こういった恋愛の機微は、全然、わからないのです。
家族が大事なら、
「私はお前を愛していたが、お前の夢を叶えることは出来なかった」
なんて、悲しいセリフを死に際の旦那に言わしたらアカンと思うし、火遊びでないのなら、何もかも捨ててついて行く以外の選択肢はないだろう。
「あれだけが、真実の思い」
とか自分のなかだけで美化して、日常のむなしさを誤魔化すのは、いただけない。
という感想をもったわけです。
さて、話もどって、「大胆不敵な気球乗り」です。
こちらも、ほんの短い間の冒険の日々を書いたものですが、あれ?これは、全然、シヤじゃないや。
ストーリーを話すと、きっと同じような感じになると思うのだが、なんでだろう。
あぁ、こっちの話は、「浮気」ではないかな。
やっぱり、お互いに家庭を持っている男と女が出てくるし、確かに、その不思議な体験の期間中には、お互いに好意をもっているのですが、でも、この2人は、恋愛をするのが運命ではなくて、気球に乗ることが運命だったんだと思います。
だから、彼女が、彼に、
「わたしも空にのぼりたいわ」
というシーン。そして、それを彼が理解するところは、すごくなんか、好きです。
そして、冒険から帰ったあとも、いいなぁと思います。
冒険の日々が、日常を曇らせるのではなくて、日常であること、平凡であることの幸福さを思い出させてくれます。
「彼は望みをすでにかなえてしまい、もうそれを必要とはしていなかったのだ。」
それを必要とはしていない。この部分が、すごく大切なところだと思った。
やっぱり、無い物ねだりではなくって、平凡な今に、足をつけて生きていくのは、大切です。
と、理屈をいっぱい書いていますが、これ、今までの物語よりファンタジーっぽい(というよりメルヘンぽいか?)、優しい雰囲気があって、そこに反応しているのかもしれません。
大好きなロバート・ネイサンの「夢の国を行く帆船」を思い出しました。
コイン・コレクション
一言で、切っちゃいます。
そーんな、都合のいい話が、あるか!
まあ、笑い話、ホラ話のたぐいですね。
ただ唯一。
大人になったハックルベリー・フィンの話は、読みたいかも。
その世界のマーク・トウェインが、この世界のトウェインのように、晩年、人間不信に陥っていないことを祈ります。
愛の手紙
時間を越えた恋のお話。
これまた、大好きなロバート・ネイサンの「ジェニーの肖像」を思い出しました。
これも、時代を超えた恋愛物語です。
でも、「愛の手紙」は、2人が1回も出会えないというところが、なんとも言えない切なさを出しています。
古い机の隠し抽戸のなかの手紙。
なんて、魅力的なアイテムだろう。
多分、周りから見れば、こっけいであったり、理解不能であったりするのですが、「一生を懸けるに足る恋」というのは、多分、こんなものなのかもしれません。
たった数回だけの手紙のやりとり。
それは、たとえ短くても、永遠にも匹敵する時間。
そんな時間がもてたのならば、後悔することはないのかも。
投稿元:
レビューを見る
「愛の手紙」が一番好きなくせに、その話のタイトルが表題だと思ってしまう。何度読んでも一瞬間違う。でもいい話。好きな話。
投稿元:
レビューを見る
『悪の魔力』おどろおどろしい話かと思いきや
原題Love, Your Magic Spell is Everywhereで
同名曲を聴きながらだと、なんだかさらにコミカル?
『独房ファンタジア』は、正直最初
典獄さんの懸念と同様、チョッと騙されたが
清々しい気持ちで読み終える
しかし、なぜ彼は運命に従いかけたのか?
『大胆不敵な気球乗り』
小さな大冒険?高いところは苦手だが
しばし夢の空中散歩に
『コイン・コレクション』
新鮮さを失わない秘訣?全く、おとこってやつぁ?
『愛の手紙』
会うことが叶わないだろう相手との
限られた手段と回数の交流を永遠に留める
甘~い物語。最後のヒトコトの余韻が切ない。
投稿元:
レビューを見る
ちょっと不思議な、ファンタジーともSFとも言いがたい短編集。
ネタ自体は目新しくないんだけど、雰囲気たっぷりな文章で完成度の高い作品になっている。
内容もちょっと皮肉っぽいものあり、くすりと笑えるものあり、感動作ありでバラエティに富んでいる。
個人的には「愛の手紙」が好き。
投稿元:
レビューを見る
読むとなんともいえないあたたかく切ない感覚に、じんわりとつつまれる。
ペシミスティック・ロマンティック・ファンタジィ。先がどうなるか気になって仕方がないスリル感もありながら、懐古的、退廃的な空気が漂う。ふしぎとそれがとても魅力的。
投稿元:
レビューを見る
これはどこの古本屋で買ったか?昭和五十五年発行の初版。表紙の絵が内田善美。随分昔に絵筆を取らなくなった漫画家。本屋で平積みされているとそこだけが浮き出して見えるような気がする。ずっと描き続けて欲しかったけれど…
一般書店で唯一手に入る内田善美の関わった本ではないだろうか…
本を読んでいると、栞が挟まっていた、天牛書店、そうだった。340円。
SFの短編を集めたもので、その多くは、過去との繋がりがテーマになっている。この原書はアメリカで1960年に発行されているが、既に50年も前の時代の本が古きよきアメリカに対するノスタルジーにあふれているということに凄く不思議な感じがする。
そして、日本では昭和55年(1980年)に発行されている。初めて日本で翻訳されたときにもある種ノスタルジーの相乗効果的な部分はあったのだろうと思う。でも、これを私が読んでいるのは2011年で、幾重にも重なった過去との連鎖にはなんだか少し目眩を覚えるほど。本は時間を越えていくということを実感させられる。
(内容的には、SF小ネタ集的なところもあるけれど、情景描写は素晴らしい。)
投稿元:
レビューを見る
時と人をテーマにした作品が多い印象。
最後の愛の手紙を目当てに買ったのだけど、他も面白かったです。でも、運命とかそれに近いような恋愛とか出会いが好きなので、コイン・コレクション、悪の魔力あたりは男の人の勝手さに怒ったりしたけど。
投稿元:
レビューを見る
ノスタルジックファンタジー。「時間もの」としても当然楽しめる。このような作品に惹かれるのは、ロマンチスト体質があるからか?
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに読んだ!高校時代読んだのはハードカバーだけども訳は同じだから懐かしかったです。愛の手紙のラストが訳によってだいぶ変わるのが印象的…。やっぱりフィニィの現実に真っ向から対立する懐古主義、しかもかなり限られた世界というのが結構自分のツボだなあと思う。他の作品ももっと読もう!
投稿元:
レビューを見る
朝日新聞で紹介されていたので図書館で借りてみた。
短編集で、最初の話は読み終えるのに時間がかかったが、旅行に携行してじっくりと読み始めると、その面白さがわかってきた。
SFということを知らずに読んだため、最初の話は「ふーん」で終わってしまったのだが、2話目以降はだんだん慣れてきて、その内容のばかばかしさに、読み終わった後でニヤニヤしたり、苦笑いしたりするようになった。
特に、「悪の魔力」という話はばかばかしくて、思い出しても笑ってしまうような内容だ。
また、おもしろさの中に人間の弱さ、はかなさ、過去への執着などが描きこまれていて、笑うだけでなく共感できるのがよかった。
全部おもしろかったが、「おい、こっちを向け」と「もう一人の大統領候補」は、悪の魔力とともにとても面白かった。
投稿元:
レビューを見る
短編集。
表題作はオチを知っていたので「ふーん」という感じでした。
知識がない状態で読んだらもっと面白く読めたのかな?
「愛の手紙」が秀逸です。いい話。
個人的には「悪の魔力」も面白かったです。
この2人はお似合いだと思う。
投稿元:
レビューを見る
SF(といっても、サイエンスフィクションというよりかは、すこしふしぎ)とファンタジーの狭間をたゆたいながら、ノスタルジックに、ロマンチックに。もう五十年以上も前に書かれたはずのものなのに、その感動は少しも色褪せてはいない。
投稿元:
レビューを見る
「ゲイルズバーグの春を愛す」★★★★
「悪の魔力」
「クルーエット夫妻の家」
「おい、こっちをむけ!」
「もう一人の大統領候補」
「独房ファンタジア」
「時に境界なし」
「大胆不敵な気球乗り」
「コイン・コレクション」
「愛の手紙」 ★★★★★