フォルモサの夜 みんなのレビュー

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投稿者：やじやじ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ネタバレあり

これ・・・続編は？って思わず読み終わったとたん
言ってました。
いや・・・この作品はこの作品自体きっちり完結しているのですけどね。

台湾人の大学生・俊明は母の再婚とともに日本で暮らしている。
主な舞台は日本ですが、
台湾の様子も生き生きと描かれていて
二つの国を背景にもつ俊明そのものもしっかり描かれている。
そこが魅力的な作品

俊明の内面は二つの国に生きていることで複雑ではありますが、
すごく前向きで生き生きしています。
一方相方の探偵三島の方は片足をひきずった元刑事で探偵。
失ったものが多い人物で「生きているのに、生きていない者」の空気をまとっている。
一癖も二癖もあって侮れない感じが良いです。
さらに俊明が京劇をやっていたところが
また話をとても鮮やかに彩っています。
そして、それが俊明という人間をも鮮やかに彩っています。

覇王別姫を最後にまた舞って
「最後まで戦って愛する人を守りたいから・・・」
と自分の虞美人について語る俊明の男気が良いです。
（項羽があの三島というところもねぇ）
志明にとっては口惜しいでしょうけど。

今回の事件は解決しましたが、
二人のこれからの関係や
志明との関係（とは言ってもここは決まっているけど）もあるし
二人で他の時間に向かって欲しいなぁって思ったので
読み終わったとたん「続編は？」という言葉になりました。

まったくの余談ですが・・・
「覇王別姫」とみると「さらば、わが愛（覇王別姫」）」が
鮮やかによみがえってきます
映画でのレスリーチャンの美しさと切なさ
原作の違う意味での切ないラストを思い出しました。
（原作本は古ぼけてしまった状態ですが
私の本棚の大事な１冊として存在しています）
志明の「覇王別姫」はまた違うものなのですけどね。

☆3.5評価の4です。

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投稿者：tix　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

京劇を題材にした作品。珍しい…！
フォルモサとは麗しい島という意味の台湾の別称だそうです。

主人公は母親の再婚により日本に帰化した台湾人の青年。
全編受け視点で進みます。
台湾に祖父や友人がいて、長期休暇ごとに台湾に滞在するのですが、
それぞれの国の文化や民族による感覚の違いが描かれていて面白い。

35歳のくたびれたオヤジ×20歳大学生の年の差カプなのに、
元台湾人の民族性なのか、違和感なく包容力を見せる男前受け
あらすじで『手付金代わりに陵辱』ってありますが、キスだけでした。
無頼漢な見た目の攻めも、そこそこまともなんです。

受けは２つの国の間で
常に己のアイデンティティについて考えてきたせいか、
同年代の日本人大学生よりずっと大人びていて自立しています。
包容力と言っても、
日頃から攻めに優しいとか甘やかしてるとかではなく、
普段は冷静で素っ気ないくらいなのに、
いざという時には攻めのために体を張ることができ、
時に攻めの弱さを丸ごと抱きしめられるような器のデカさがありました。

恋愛外の部分は面白かったのですが、
二人がくっつくのは最後に『一応』だし、
受けは攻めに惹かれてはいるものの
終始冷静なので途中経過も甘くないし、
恋愛面は物足りなくて残念。
今後は、口が達者な二人がテンポよく言い合いしながらも
甘い時間が出てきそうなので、そんな様子も見たかった…。