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2012/10/13 Amazonより届く。
2016/8/2〜8/4
内田樹氏、平川克美氏、小田嶋隆氏、町山智浩氏による憲法論議。2006年の刊行だが、内容は古くなっていない。町山さんのが一番面白かった。改憲、護憲何れにせよ、感情的議論ではなく、論理的にやらないといかんな。
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竹島、尖閣諸島の問題から、近頃また騒がしくなってきた憲法第9条を巡る論争。2006年、安倍政権が打ち出した改憲論に危惧を覚えた4人の論客による憲法についての考え方。根底にあるのは「憲法を変えることで、誰がどのようなメリットを享受するのか」が不明確なこと。そもそも憲法というものはどういうものなのか。それは国民を縛るものではなく権力者が逸脱して国民を苦しめないようにあるものではないか。また憲法とは本来「国として求めるべき理想」であるべきで、現実に即して書き換えるようなものではない、ということ。
個人的には「普通の国」になりたいから改憲して交戦権を得たり、軍事力を所有したりする、というのは情けないと思う。まず「普通の国」の定義が不明確だし、更に言えば「普通の国」ではなし得なかった戦後60年にわたる平和を実現した「特別な国」であることを誇りに思えば良い。「神の国」であると言えるのであれば、そのくらい他と違っていたっていいでしょう。
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4人の著者が護憲、違憲について独自の意見を述べるというもの。現状の日本と照らし合わせてもひとつの意見としてとても参考になったし、為になった。
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4者4様の9条観が書かれて面白いです。少なくとも「9条と自衛隊があるという一見矛盾し、その中で引き裂かれていること」というのは意外にうまくできてると私も思うのですが、どうでしょう。今の自民党が言っている、自衛隊を「国防軍」へ名称変更し、憲法改正で9条をなくしてしまうのはどうなのか。アメリカから自立しようとするならまだしも、今の状況で同盟関係を強化するのならば、アメリカにいいように軍隊を利用されるだけじゃないのか。
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第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
『9条どうでしょう』を読んで
「第九条」が大変美しい響きをもったすばらしい文句に見えてきた。
今まで憲法に対して特別な思いをもったことがなかったけれど本書ではいかにして9条ができていったか、そしてどうして大切にした方がいい(意見を押し付けてはいない)のかをいろんな方向から述べている。
改憲、護憲にとらわれずとりあえず読んだ方がいい本。
この本の内容を知っているのと知らないのとでは雲泥の差で
読んだ後に自分の意見を持つのもいいと思う。
とても印象深かった陛下のお言葉のエピソードの引用。
東京都教育委員の米長さんが陛下に「日本中の学校で国旗を掲げ、国家を斉唱させることが仕事です」と話し、陛下が「やはり、強制でないことが望ましいですね」と応じられる場面もあった。(「読売新聞」2004年10月29日朝刊)
・・・つまり、この国の右傾化に歯止めをかけているのは、いまや天皇家の人々であるということだ。
短い言葉だけれど、陛下の受け答えに大きな意味を感じられて感動した。
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改憲派の主張が子ども染みた論理の上に立脚していないかを疑うようになった。欠かせないのが、具体的な道筋と方向性を明確に想像できる力。寄稿者4人には豊かな想像力が備わっていたように思う。簡単な賛成/反対の図式では片付けられないほどデリケートで複雑な問題だ。原発と同じで。
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内田樹氏が関わった本で、本棚から溢れているものが幾つかあり、文庫化されてすぐ手にとった。四氏それぞれ面白く読んだ。特に、トリの位置にある平井氏の切迫した想いが伝わる一文は、まっすぐこちらに向かってきた。こんなに解りやすく簡単な理論が、今の日本では通じないのか。あの安倍さんが、また表舞台に立とうとしている。真っ当な民意は、いったいどうやったら伝わるのか。
121204追記
本日付けで公布される衆議院総選挙は、今の段階で安倍氏率いる自民党の勝利が濃厚と言われている。あろうことか、公約の中で9条2項の改悪をうたっている。今のうちに言っておきたい。安倍氏の言うところの「まっとうな国家」とは何なのか?真っ当な国土と真っ当な国民を無視して、国家が成り立つとでも思っているのだろうか?
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小田さん以外はよかったかな。安易な護憲派改憲派で語られるのではなく、憲法というものを見つめ直していく必要性、視点が大切であると説く。
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憲法は国の在り方を規定するもので現状に合わせて手直しするものではない。出来ないから、間違ってましたでは何処かのマニフェストみたいです。
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ある教授が言っていた、『憲法はセンスの学問だ』。センスで語った本である。
国のビジョンを問い、国民が選ぶものだから、私も考えていきたい。だって、日本人だもの!
読んで良かった。面白かった!
※毎日新聞刊行物。
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近代憲法のあり方から考えさせられます。
近代って個人も国家もガラリとかわっているところなんですね。はっきりいってそうでない時代の思考法をうまく想像できない。今をそのまま当てはまることができるのか、どうなんでしょう。橋本治ならストンと考えちゃうんでしょうけど。
明日はレ・ミゼラブル見てこよっと。
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四人の視点。
憲法9条について。
全員改正には反対している。
まあ、そんなこと言われると、確かになんで改正なんてしなきゃいけないのかね?と思った。
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文庫化されていたので手に取ってみた。
2006年から6年を経て文庫化されたにも関わらず、
題材の温度は変わっていない。
具沢山の味噌汁、昨日は冷めていたのに
今日は湯気が立つほどだ。
温めたのは誰?
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この本は、単行本で出たときにも読んでいる。2006年、安倍晋三が前に首相だった頃だ。安倍内閣では、愛国がどうのこうのというイキオイで教育基本法が改正され、憲法改正の段取りだとばかりに国民投票法が制定された。"国民投票法を知っていますか"みたいなパンフレットが近所の公民館のチラシ棚にまで並んで、憲法改正へいってしまうのかと案じたこともあった。が、お腹痛いと安倍が退陣して、それから政権交代もあって、民主党という寄り合い所帯にも改憲派はいるものの、おもてだった改憲の動きは沙汰やみになったと思っていた。
しかし、お腹が痛かった安倍が、ええクスリができたと復活して、またまた首相になってしまった。2006年よりも改憲をいう政党が増えた感じで、この先どうなるのかと思ういま、文庫になったこの本をまた読んでみる。
この本に書いている4人は、これまで半世紀近く繰り返されてきた護憲派/改憲派の言葉を越えて、これまで誰も言ったことがないようなことを書こうとしている。そのことを、内田樹は「臆断の檻」から解き放つ言葉、と書いている。
▼獄舎の扉が外からしか開かないように、私たちを「臆断の檻」から解き放つ言葉は、檻の外からしか到来しない。…(略)…
必要なのは「鉄格子の隙間を抜けることができるもの」である。
たくみな「言葉使い」は、彼の本体を閉じこめている檻の鉄格子の外に言葉だけを逃すことができる。そして、外に出た言葉だけが扉を外から開けることができるのである。(p.22、下線は本文では傍点)
どう読んでも「恒久平和主義」を掲げる憲法と、「戦力」をもつ自衛隊と、この両者の存在の"ねじれ"をどういう方向で読み取るか。大きく二つの主張がある。一方は自衛隊は憲法違反だと言い、他方は憲法こそが現実にそぐわないものになっていると言う。前者は護憲を言い、後者は改憲を言う。
この本の4人はどんなことをいうか。
内田は、日本はこの"ねじれ"を病むことで生きのびてきた、という。
▼憲法九条と自衛隊の「内政的矛盾」は、日本がアメリカの「従属国」であるという事実のトラウマ的ストレスを最小化するために私たちが選んだ狂気のかたちである。そして、その解離症状から引き出しうる限りの疾病利得を私たちは確保してきた。それは世界史上でも例外的と言えるほどの平和と繁栄をわが国にもたらした。だから、私はこの病態を選んだ先人の賢明さを多としたいと思う。(pp.71-72)
軍隊オタクの町田は、戦争は男の本能だってなことを書いていて正直ちょっと引くが、改憲派の言ってることがどうヘンかというのを縷々述べたうえで、もしも改憲するなら徴兵を!という。
▼欧米では徴兵制度の廃止に反対しているのは、日本とは逆にリベラル派である。というのも、職業軍人だけに軍隊を独占されるのは危険だからだ。国民皆兵制は、アメリカ憲法修正第二条と同じく、国家権力の横暴を防ぐためのものである。
もし改憲で軍隊が生まれてしまったら、…改憲に反対していた人たちもみんな一緒に来て欲しい。そして、軍が悪に進まぬよう力の限り内部から監視し、告発し、闘うのだ。『兵隊や��ざ』のように。(pp.118-119)
※アメリカ憲法修正第二条は「人民が武器を保有しまた携帯する権利を侵してはならない」というもので、それは「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから」という理由がついている。
小田嶋は、日本国憲法は大胆な理想主義で、若干ポエムっぽく、文体が翻訳くさいが、全体として悪くない、ほとんど美しいとさえ言える、と書いている。
▼なにより、国家観が良い。
国家主義者に言わせれば、国防を放棄した国家は、タイヤを持たない自動車が自動車でないのと同じように、そもそも国家ではない。なんとなれば、近代国家の第一の機能は、まず何よりも国防だからだ。
が、新しい国家は違う。
新しい国家は、主権国家が国防のための捨て石と考えていた当のもの、すなわち国民の生命をなによりも優先して防衛する対象としている。(p.165)
平川は、法と現実の関係が変わってしまったことを述べ、現実に法をあわせるべきだと主張するような人びとには、改憲してほしくないという。
▼わたしは、現行の憲法は何が何でも総体として変えてはならないと主張する護憲派ではない。いや、たとえ一字一句同じ憲法であったとしても、日本人はもう一度、憲法というものを自ら選び直す必要があると思っている。また、専守防衛の自衛隊の構想と、今のような自衛隊を育ててきたことを評価してもいる。その上で、自衛隊の存在意義を憲法に位置付けられればいいと思っているのである。
しかし、この間の改憲の議論を見ていて、「彼ら」には憲法を変えていただきたくないと思うのである。「彼ら」とは、世界の現実に合わせて、あるいはアメリカの極東軍事戦略に沿って、憲法九条を変更して国軍を海外に展開したいと望んでいるもののすべてである。…(略)…
「彼ら」に共通しているのは、「現実」というものは、自分たちが作りだすものに他ならないという認識の欠如である。「現実」に責任をとるということは、「現実」に忠実であることではなく、「現実」を書き換えるために何をすべきであるのかと考え続けることである。そのように考える言葉を信頼するということである。(pp.223-224)
国民て誰やろう?日本人て誰やろう?とも思うけど、そんなんも考えながら、ねちねち読む値打ちはある本だと思う。
(2/5了)
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感動して、泣けてくる。4人の言葉から、憲法、取り分け9条の崇高な理想が再認識された。彼らの思う通りに改憲させてはならないと思う。戦争のできる国にしてはならないと思う。私を含め普通の人たちに是非読んでほしい。