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投稿者:はなこさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
道尾秀介さんの作品は、「向日葵の咲かない夏」が初めてで、あまりにも自分の好みと合わなかったため、二度と読むことはないだろう、と思っていたのだが。
この作品は書店でイチオシされていたので、ふと手に取ってみたが、本当に出会って良かったと思える作品。
静かな哀しみが胸を打つ。
儚くも美しい世界
2020/11/11 10:57
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投稿者:あおたいがー - この投稿者のレビュー一覧を見る
一部ネタバレあり。
一匹の蝶が見守っていたのだろう人々の連作短編集。
それぞれの話は独立していて、それぞれに哀しみや安らぎ、あたたかいものが根にある素敵な話ばかりだった。
それぞれにでてきた人物が他の話にも関係していたり、見えないところで繋がっている。微かに影響を与えあったりしていて読んでいて面白かった。
『虫送り』で幼い兄妹に自分の罪を被せるような話をしたホームレスの男性には嫌悪したけれど、読み進めているうちに『遠い光』でちゃんと自首し、兄妹も事実を知り、その上でその男性の言葉を励みに生きていて、あーよかった!って安心した。
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投稿者:Zero - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんとも不思議な短編連作集。三話目と四話目のサチの話はすき。不幸なサチが、強く生きている姿に感動。
だんだん優しい読後感
2016/02/10 09:24
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
道尾さんにじわじわ嵌りつつある。4作品目。『向日葵〜』がいまいちだったので、絶対読むことないと思っていたんだけど。出会う作品が増えるたびに、どんどん好きになっていく。独立した6編の話ようであって、少しずつ登場人物が重なっている連作短編集。第4章の「春の蝶」から冷たさや切なさが少なくなり、なんとなく柔らかく優しい読後感を持つようになった。第1章、第2章の登場人物が、第5章、第6章で関わって来るのは、馴染みの知り合いと偶然出会ったような気分にさせられ、少し懐かしい気分を味わうことができた。さて次は何読もう。
悲しくも美しい物語
2020/01/03 11:15
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投稿者:タラ子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後に思わぬ展開になる話、心温まる話など様々な物語がつまっていて、しかもそれぞれの物語が少しずつつながっていることでページをめくる手が止まらなかった。
世界は何も変わっていない、いつだって変わるのは人間のほうなのだという言葉が印象的だった。子どもの頃は光って眩しく見えていた世界が光って見えなくなったのは自分自身の変化なのだと、世界はいつだって明るく光っているのだと教えてくれた。
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投稿者:しーれ - この投稿者のレビュー一覧を見る
道尾作品始め。
一話目のインパクトというか、とにかくすごかった。
四話目以降は比較的穏やかに読める。
ミステリーの要素を活かしたまま、人間模様がいい意味でスマートに描かれている。
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連作短編6作。
長い、とても長いトンネルの向こうにやっと一筋の光が見えたような連作集。
やるせない、行き場のない気持ち、喪失と絶望感。不調なときに読む作品ではなかった。
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☆3.5 玄侑さんの解説を読みたくて図書館で借りる。『ソロモンの犬』のミステリーと違った印象。道尾さん芸達者ぶりに感服。流麗な文章は読んでいてとても心地が良い。六編の短編小説はそれぞれ独立したものだけど、どこかつながりあって、人間が抱える光と闇をあぶり出す。蝶はその人間の営みを俯瞰している。こういったテイストの道尾作品の方が私には合っている。ひとまず『ノエル』と『月と蟹』を図書館にて予約する。
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これはミステリー?ではない?
今までと少しテイストの違う作品。
またどんでん返し系ミステリーを期待して読んでいたので、ちょっと拍子抜けしてしまった。
作品としてはとても綺麗で面白い。
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全体を読み終えると、優しい話だった。
オツイチテイスト入ってるというか・・・・。
最後の解説がちょっとしつこい?カンジ。
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6つの話がつながっていて、ほんわかとしたストーリー展開。文体も洗練されつつあり、美しい文章が散りばめられている。
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第23回山本周五郎賞受賞作。
「幸福の答えを求め、不器用にもがきながら生きてゆく人々。
この物語のどこかに自分もいるような気がする」
藤井フミヤさん推薦!!
第13作。第三連作短編集。
形式:各短編のそれぞれが一人称小説。
「隠れ鬼」
認知症の母親とひっそり暮らす男性の、封印された「過去」
私(語り手、遠沢正文、印章店店主)の「過去」は母親が認知症となって描いたひとつの絵から喚起されることになる。
笹の葉。雨。男女。彦星と織姫。
「虫送り」
ホームレス殺害に手を染めた小学生兄妹が抱く「畏れ」
僕(語り手、小学生)は妹の智佳と虫取りに興じていた。
智佳に悪戯をしようとしたホームレスに、橋の欄干からコンクリートを落とした。
目撃者はいない――「向こうのふたり」を除いて。
「冬の蝶」
密かに心を通わせた少女のために、少年ついた「嘘」
私(語り手、昆虫学者を夢みる中学生)の夢は昆虫学者になること。
クラスメイトの少女と心を通わせるうちに、彼女の秘密、逃避の手段を知ってしまう。
世界を閉じ込めてしまう彼女に、自分は何ができるのか。
「春の蝶」
両親の諍いを機に、耳が聴こえなくなった少女の「葛藤」
わたし(語り手、幸)は隣に住む老人と親しくなり、耳の聴こえない少女と交流を深める。
少女とほんの少し似た境遇を持つわたしは、彼女の態度に疑問を持って――。
「風媒花」
病に伏せる姉を見舞う、配送ドライバー青年の「誤解」
自分(語り手、亮、トラック運転手)は、母親の態度を許せなかった。けれどそれは――。
姉を気遣う弟は、逆に気遣われていた。いつも。
「遠い光」
自信を失った女性教師と、孤独と戯れる教え子の「希望」
わたし(語り手、小学校教諭)は、教え子の朝代の苗字が変わることについて、彼女がどのように受け止めているのか、慎重な態度をとっていた。
そんな日におこったある事件。彼女を助けられるのか。
光に満ちた景色も、暗くて哀しい風景も、すべてがこの世界だ。
ミステリ:☆☆
ストーリー:☆☆☆☆☆
人物:☆☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆☆
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文庫本化で再読。次々に前の脇役が次の物語の主人公に変わる短編連作集は珍しくはないが、この連作集は各物語が緩やかに繋がっている感じであり、こうしてやろうという作意が最初から無いので、最初から意識して連作にしようとしていなかったのかもしれない。特に最初の話は無理やり最後の話の結びつけた感が強い。相変わらずせつない境遇の子供が多々登場し、あまり救いが無いまま話が進むが、本作では次の短編で、救いがもたらされているので、まあ、いつもよりは薄暗さは無い。
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もっと早く出会っていればよかった、そんな作家さんをみつけました。
切り取った一瞬の絵画のような感動も、ひとりの人間の長い人生の、そして世界という壮大なひとつの絵本の中の、ほんの一枚のページに過ぎないのかもしれない。でも、そういったものが積み重なっているからこそ、世界はふしぎで美しいのだと信じられる。日常の中になにかを信じさせてくれる作家さんには、たまらなく魅力を感じます。
「この物語のどこかに自分もいるような気がする」とは、帯での藤井フミヤさんの推薦コメント。
第23回山本周五郎賞受賞作。
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非常に読みやすかった。懐石料理のような本である。
読むことに対して、何の抵抗もない。見た目にも美しい。しかし積極的に食べたいと思わせるような美味しさもない。そんな印象を受けた。
第三章の『冬の蝶』が気に入った。いや、サチが気に入ったのか。