紙の本
わからないところもあるけど、雰囲気のある作品。
2015/09/10 10:16
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公池井戸花しす(本名である)の現在(28歳)と、過去の様々な時期(11歳であったり中学生の頃であったり)が交錯するような形で描かれる。
作品中、なぜ「新田人生」なる男がしょっちゅう出てくるのか?それぞれ時代も年齢もちがうので同人物なわけはないのに。とか、花しすの見る「白いもの」は、結局何なのか?などといった疑問を感じたが、あまり掘り下げるべきではないのだろう。そう思って、雰囲気で読んだ。
花しすが「今」を記録しておきたくて人の会話を録音するという心境、最後にレコーダーを捨てる流れ、とてもよく描けている。同居者のさなえとの会話を録音しなかったのは、さなえとの「今」に安心していたからだという流れもいい。しかし、その辺で綺麗にまとめておいてくれないのがこの作者だ。白い何か、が祖母の陰部や画面の女性の陰部から出たりして、それで部屋がいっぱいになるーというのは、女であることの心象風景なんだろうか。その時の花しすの納得のし方がよくわからない。インパクトあるシーンではあるけれども、あまりすっきりはしない。ただ、このわからない感じ(私だけかもしれないが)も含めてこの作者の魅力だと思う。
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うん、よかった。すごくよかった、ものすごくよかった。
西さんってすごいなーと毎回感動する。西さんすごいなーほんとすごいなーが更新される。
言葉がふってくる、その瞬間、すごいゾクゾクした。現在と過去の声、記憶。それらすべてに交わる新田人生という謎の人物。花しすという風変わりな名前をもつ風変わりな主人公にもとても好感がもてた。花しすに関わるすべての周りの人々にも。
言葉ってふるように生まれて、落ちるんだね。
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過去と現在が淡々と交互に描かれる中、終盤に気が付いたときには大きなうねりに巻かれ窒息しそうになる。経験のない突然の出来事に吃驚仰天、恐ろしくもあるが法悦にひたる。
「愛情に裏打ちされた蔑み」この表現ができる作者だもの。
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かわいくて、コワくて、あったかで、やさしい・・・それでいて強さを感じさせる、濃密な物語。男性にはとくにお勧めしませんw 女性に読んで欲しい物語♪
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女の子だけに読んでもらいたいと思うような作品だった。
女友達やお母さん、おばあちゃんとの接し方って悩むと難しい。こじれるとこじれまくる。でもやっぱり紛れもない女どうし、仲間。
小説の書き方としてもちょっとしたチャレンジをしている作品で面白かったです。やっぱり西さんは良いなあ。
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西さんの物語の主人公は、いつも好きなんだけど、『ふる』の花しす(かしす)はその中でもかなり好きだった。というより、愛おしい。
今の私より、年上なんだけど。
ポケットに入れたレコーダーで、会社の同僚の会話を録音し一日の最後にそれを聴き返す。
そんな変わった趣味を持っているけれど、なんだかその気持ちわかる……。
不思議な白いものと、花しすの人生で出会う「新田人生」というたくさんの人物。
日常の奇蹟を、信じたくなる。
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女の子たちの会話が、とてもリアルだなあ、とおもった。
言葉ひとつひとつのリアルさが、「そう、そう。」と、うなずきたくなる表現なんだけど、少し心がウッとなるような表現でもあった。
少しこわいけれど、「女の子に読んでほしい小説」という言葉がぴったりの作品だとおもった。
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“同じ女の人やろ?”
最後の方で主人公の女性器モザイクの仕事
祖母の下の世話 に納得。
この本を読んだ男性はどんな感じなんだろ?
人生の中で関わることができる相手は、
同じ時代に生きた人達であり、その中のほんの
一握りの人で、その出会いは奇跡のようなもの。
それなら、本気で向き合おうよ!
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自分の存在を表に出さないように生きてる女子のお話。ふわふわとした世界に引きずり込まれ、そこに確かな生命力がある。ラストのほうの心を揺さぶる言葉の数々に圧倒される。なんかスゴ過ぎて言葉にならない…生きる事を肯定し祝福する物語、堪能。
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好みの別れる作品だと思います。
私は、作品全体に流れるふわふわした不思議な雰囲気が結構心地よかったです。
女性向けでしょう。
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主人公は28歳のOL、池井戸花しす。小学校の時は、どぉやん と呼ばれる立ち位置で、そんな自分でずっといたいと思う花しすの気持ちがよくわかる・・・。
学校のクラスだろうが、職場だろうが、自分のキャラ=立ち位置って一番自分が楽な場を作るっていうことなんだろうね。その場のオピニオンリーダーでいたい人もいるだろうし、誰かについていく目立たない自分が好きな人もいるだろうし。
花しすは、ちょっと軽く見られて、みんなから愛玩されるような自分、がいいと思っている。
うん、何が何でも一番でいたい、と思う人よりはずっと楽に生きれるよね。
でも、彼女の密かな楽しみである、会話の録音(夜、布団に入ってから、職場やタクシーの中なんかの何気ないおしゃべりをもう一回、イチから聴き直して寝る)や、自分や周りの人、みんなの身体に常にまとわりつく“白いもの”が見えている、という特殊能力!!なんてあたりを考えると、かなりの“曲者”のような気がする。というか、もしかして、かなりあやうい、もしかして、ちょっと壊れている人かも??とも。
花しすは中学生だったり、高校生だったり、新人OLだったり、転職後のベテランになっていたり。それがバラバラと読者に提示され、そっか、この人とはこうやって知り合ったのね、とか、こういう間柄だったんだ、とか、あとから知らされるという仕掛けが妙にしっくり来て楽しめたのは、なんでかなぁ。なんだか、足元がしっかりしない女の子だなぁと思っていても、そこにはちゃんと彼女なりの土台というか理由があったんだよ、ということにほっとしたのかもしれない。
いつの時代の花しすにも、新田人生という人物が関わってきて、それはみな、別の人なのだけど、その不可思議さがまたとても面白かった。
「円卓」ほどドンピシャではなかったけど、かなり好きな作品です。(*^_^*)
まだ一度しか読んでないのだけど、今度は時間の流れの順に読んでいこうと思ってます。
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日々、生きているなかで
ただの日常、と思うことの中にも、誰かに何かの変化を与えていたってこともある。
誰かに何かの影響を与えてもらっても、気付かなかったり忘れていたり。
『奇跡』って身近な所に、たくさん降ってるのかもなー
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西さん読む読む。
ほんと人間味のある人ばっかだな。朝比奈さんすき。
花しすいいな。
少し変わってるけれど、目の前のことに一生懸命で、
ずるい自分も分かっていながら今を愛して生きていく。
今回はあんまり恋愛要素がない分、女性要素とでも言うのかな?
男性には分かりづらそうなとこが多かったな。
感覚で理解する、みたいな感じ。
おばあちゃんとお母さん、いい。立ち直ってからのお母さんすごくいい。
さなえの優しさは、体の芯についた、生来のものであるのは確かだったが、
さなえの、そこかしらにある劣等感や孤独からきていることも、
花しすは分かっていて、分かっている自分が嫌だった。
し ゅ く ふ く 。
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読みすすめるうちに、なんだか主人公の花しすが、私に似ている気がしてきて、後半はかなり移入して読んでしまいました。
現在と過去を行ったり来たりしながら進む物語と、
花しすの性格にほんわかと癒されました。
真実味のある人物描写と関西弁の混ざった会話が、本当に心地よかったです。
とある対談で西さんのお話を聞いたことがあり、その時の、優しい感じの関西弁も思い出しました
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今の自分とちょっと前の自分。
花しす(かしす)という可愛らしい名前の女の子が主人公。
容貌はどうやら美人ともそうでないともとられるという個性的なタイプらしい。そんなこと言われたら会ってみたい!
AVのモザイクがけというちょっと想像できない仕事をこなしつつ、友人(女性)と2匹のネコと同居中。ここでもネコか。
周りからも愛され何の問題もないように思えるのに他人との会話をICレコーダーに録音して夜に聞くという変わった趣味もアリ。ますます会いたくなるわ。
他人と自分とはもちろん別(異なる)なんやけど、根本的なところはそれほど大きな違いなどないということか!?
タイトルの「ふる」って?
独特の雰囲気が好み、しばらくしたらまた読みたくなりそう。