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大好きとも大嫌いとも言えない、好きとも嫌いとも言えない、けど琴線に触れてくるこの感じ。
山崎ナオコーラさんの小説を ちゃんと読むのはこれが初めてなのだけど、思っていた通りの文章を書く方だな、というのをまず思いました(『人のセックスを笑うな』の映画は観たので、その印象から)。
栞と紙川さんの関係、冒頭からしばらくは、紙川さんが栞を溺愛していて 栞のほうはそうでもない という感じがしていたけど、実はそうではなかったところが自分としては印象的でした。栞は栞なりに、とても激しく紙川さんを慕っていたこと。そしてそのことは、他の誰よりも紙川さんが知っていたのじゃないかな、と思いました。
紙川さんとはお別れしてしまったけど、それは栞にとってとても辛い事ではあったけど、本当は最初からそうなる事をわかっていたというのも、わかる気がしました。
どんなに好きで、必要でも、一緒に居る時間はここまでだなって感じる瞬間って、あるんだよなぁって。それはセンチメンタルになる必要もないくらい、本当に、ただその事実として、ある。
わたしにはまだその経験はないし、出来ればしたくないけど…でも、わたしにも…というか世界中の誰もに そういう瞬間が来る(来てしまう、ではない)可能性があるっていうことも、何故か、わかる。不思議。
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ひねくれ者の女の子。
きっと女の子、という表現も嫌いな、でも女の子。
女でも男でもない新しい性になりたい、という希望はかなうのかな。
女の人を武器にはしたくないし
なにも言い訳にしたくないけど
でも親が、とか、社会が、とか
なんか言い訳がところどころ顔を出している気がした。
でもそういうところに共感した。
私も弱っちいな。
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大学で出会った栞と紙川が淡々と生活する物語だが、栞の思いと紙川の行動がちぐはぐなところが何故か面白い.解説で西加奈子が書いているように、栞の発する何気ないセリフが良い.
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舞台は10年前やのに古さを感じない。主人公の考えてることと、自分の考えてることや状況が若干かぶっててびっくりした。
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恋愛小説なのかなと思っていたら、違った!私小説のようですね。
作者、主人公と同世代なので、言ってることがよーくわかりました。他の世代の人たちにはどう見えるかわからないけれど、30代半ばのリアルが詰まった小説だと思う。
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主人公が学生時代に出会った人との付き合い方や、他人との会話、その他の細かな事へ淡々と感想を持ち自身の思想を確かめてる。
じくじくと弱いとこを責められるような気もしたし、やさしい展開に安心感を味わったりも。
気持ちが軽くなったような、力が抜けただけのような。
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若い男と女が処世で葛藤しながら成長する話。
栞と紙川の男女の話でもあり、各々の社会とのつながり方を考える話でもある。文中に年配の看護婦が出てきて、栞の悩みを打ち明けると笑われるシーンがある。つまり、年を重ねた人から見れば、何てことない「若者の悩み」でまとめられてしまうようなことに迷いながらも進んで行く。そう言った青さを感じることができる小説。
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恋愛観の変わる小説だった。もしかしたら、ある程度経験を積めばまた違って見えてくるところがあるのかもしれない。
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山崎ナオコーラの小説って、序盤に恋愛の楽しさが書かれてて、中盤からもやもやしてきて、最後は離れてしまう。「ニキの屈辱」と似た構成だった。
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『この世は二人組みではできあがらない』
山崎ナオコーラさん
どうして世の中は二人組みにしたがるんだろう。。確かにそうだよね。
もっというと、なんで答えはイエスとノーなのか。とか。もっとあいまいなとこもあるのに。
読んでいたら、私、栞と同じ事考えてるよ!って思った。
紙川さんのような人のことをずっと考えているわけではないし、ずっと考えてられるのもイヤだし。
もう同調しすぎて苦しくなるとこあった。山崎ナオコーラさんにはまってるよー。
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17.10.24再読。
なんだかモヤモヤが止まらなくて、本でもよむかと久しぶりに手を取った。
最初から読む気分にはなれなくて、適当に開いたページから読んだけど、驚くほど、言葉がスッと入ってくる。
前に読んだときには思わなかったが、今回は、栞と自分の明確な違いを感じた。それは、栞は紙川さんと暮らしたいけど、それは2人で生きていきたいというわけではなくて、あくまで1人で生きていきたいというところだ。「愛されたところで、満たされそうにない。何かもっと、社会の芯に繋がるようなストローを見つけたかった」
わたしはまだまだ男に愛されたいし、頼りたい。と思う。頼られたいとも思うけど。
初山崎ナオコーラ。主人公の栞は大学卒業後、働きながら小説家を目指している。大学の一つ上の先輩である紙川と付き合うことになったり、仕事を辞めたり再就職したりしながら、紙川との関係のこと、日本という国のこと、自分の性のこと、、、様々なことを思案しながら生きていく様子を描いた私小説ような小説。
タイトルにひかれてなんとなく手に取ったらまさかのヒット。しかも西加奈子のあとがきも素晴らしくて、読んでいて確かに感じたけれど、文章力の乏しさゆえに言葉にできなかった気持ちや感情を、きっちりと代弁してくれた。なので感想を書こうとしても、あとがきの引用ばかりになってしまいそうなので、ひとつだけにしぼると、「山崎ナオコーラの才能はページをめくらせる魅力とページをめくる手を止めさせる詩性を、ナチュラルに物語に共存させていること」。どんどん読み進めていきたいのに、さっきのあの言葉がもう一度読みたくてたまらなくなって、そのページまで戻ってしまう、ということを読者にさせるくらい魅力的な言葉たちが本当に何気なく並んでいる。主人公の栞のつぶやきはわざとらしくなくて、本当にストーリーの流れに沿った自然なもの。強いメッセージ性もない。けれど私の中に確実に残るものばかりだった。こんな素敵な文章を書く人に、もっとはやく出会いたかった!あとこれも引用になってしまうけれど(笑)「紙と栞という関係性はキュート」すぎ。
「現代社会にあわせて人生設計をたてるなんて馬鹿だ。社会というのは、これからつくるものだ。ここに合わせて生きるのではなく、大人になったわたしたちがこれから社会を構築し、新しい生き方を始めるのだ」
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一気読みできる密度の小説だった。山崎ナオコーラさんの書いたものを読むのは初めてですが、小説ってこれで良いんだなという感じがした。
単純なようで、ひりひりする文章だった。ああいうのは誰にでも書けそうでいて、読むに耐えるものに仕上げるのは難しいと思う。
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よかった。淡々としてるのに惹かれる小説。紙川さんが呼び捨てになったタイミングが気持ちの切り替わりなのか。
栞の「にっこり」は沁みた。
目を逸らしたら違う世界が見える。
心に残るフレーズがたくさんあった。
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物事への視点や見方が面白い人だなと思った。
へぇ~こんな風に考える人がいるんだ、って。目から鱗みたいな。
私は紙川さんみたいな男の人って好きだし二人組になったら安心できるし産んで育てたから偉いなんて思ってないけど正直働きたくないから・・・、シオちゃんの考え方には共感できなかったけど。
新しい世界をまたひとつ知ったような気分になりました。
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p.23「どうして全員が二人組にならなくてはならないのか、なぜ三人組や五人組がいないのか、不思議だった。」
「ポップな社会派小説」とは違う気がする。1980年代に物心がついて、失われた10年間の時代を生き、社会にでる、現代の女性のお話。
客観的でいようとちょっと澄ましている感じ、しっかり考えて地に足をつけようとして努力する感じ、運命ではないと分かっていながらも、自分が愛し愛されることの恋愛の不思議さ、色々とわかる。同じくナオコーラさんの『長い終わりが始まる』の小笠原をちょっとマイルドにした感じで、たまに自己嫌悪的にモヤっとするけど、でも私よりも一歩社会に踏み出しているなぁ。ちょっと世俗を離れている。
思いを完結で的確に、飾らずに伝えることのできるナオコーラさんの文章が好き。