紙の本
イタリアの文化を映し出す良エッセイ
2023/03/16 15:45
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投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
イタリアに住むジャーナリストの目から見たイタリア人の生活を描いたエッセイ集。数年ぶりに読み直したんだけど、やっぱり面白かった。面白い物事と人間に出会うことを厭わない性格だからこそ、イタリア文化に馴染めてるんだろうなと思う。それにしても食べ物描写が巧い。
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「ミラノの太陽、シチリアの月」を読んだ後、この本を読んだが、こちらの方が先の出版であった。どちらもイタリアの都市、田舎に住む普通のイタリア人をスケッチした10話から構成されている。こちらのに出てくるエピソードが「ミラノ…」に続いていたり、同じアパートの住人達のエピソードがどちらにもある。これら2編で普通のイタリア人の物語は終わりだろうか、内田さんのイタリアものをもっと読みたい。
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陽気な国イタリアというイメージしかなかった私には、
刺激的な内容でした。
小説を読んでいるような感覚でした。
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イタリア映画のシーンがそのまままぶたに浮かんできそうな、「事実は小説より奇なり」を地で行く味わい深い10篇の物語。
塩野七生とも、シモネッタ田丸公美子とも、須賀敦子とも、共通の空気を感じさせつつまた違った個性が伝わってきて、とくに南部イタリアのいなかの現実が垣間みられる。
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素直に面白かった。
イタリアの地図を買い再読したくなる本。
彼女が出会った彼らの続きが知りたくなる。
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まだ見ぬ彼の国、地域によって人々の味わいの違うこと、多様なイタリアワインのごとし。おいしいところもね。「ミラノの太陽、シチリアの月」の原点でもあるエッセイ集。
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文体が独特で、ちょっと気取ってて夢見がち。ここで彼女に会ったのだ。私は町を歩いていて〜、、といった話が過去に戻る書き方が、エッセイなのに変に計算されていて入り込めなかった。「作り話」っぽいと感じてしまって、好きになれない。
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イタリアにはそない興味ないけど、するする読めるエッセイでした。エッセイなんだけれども、所々フィクションのような、不思議で素敵なエッセイでした。
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イタリアの美しいところばかり書いたものではなく、裏の姿も日常の一瞬も閉じ込めたエッセイ。
濃くて、力強くて、そしてやっぱり美しい国。素敵な一冊。
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あたらしい世界に飛びこんでは、一生懸命泳いでみたり、たゆたったり。いろんな人と、いろんな生きかたと出会うことを、恐れず、めいっぱい楽しむことができたのは、「イタリアに住む日本人ジャーナリスト」という立場であるからこそなのかもしれない。
エッセイというものを滅多に読まないので新鮮な体験でもあり、素直に心に染みいるような細やかな表現が、嬉しい。
気に入らない面もあるものの、読んでよかったなという作品だった。
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本書の著者、内田洋子さんも30年余イタリアに在住とのこと。すぐさま須賀敦子さんを想うのだが、須賀敦子さんの交友範囲が作家であったり、本の編集者といった、いわゆるインテリゲンチアであったのに対して、本書に登場するのは「飄々と暮らす、ふつうのイタリアの人たち」である。タイトルにも取られているジーノのように。そのジーノ自身も如実に体現しているのだが、イタリアの南北格差は、経済的にも文化的にも実に大きい。そして、彼女はミラノを愛しながらも、ナポリをはじめとした南イタリアを、捨て難い愛着と愛情を寄せて語るのだ。
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【講談社エッセイ賞、日本エッセイスト・クラブ賞をW受賞!】在イタリア三十年の著者が目にしたかの国の魅力溢れる人間たち。忘れえぬ出会いや情景をこのうえない端正な文章で描ききるエッセイ。
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外国に住む。
文章が上手だとちょっとしたこともちゃんとお話しになる。
首を突っ込んでいく、人を誘う、いろんなことが物語を作るのかな、と思った。
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・ミラノの暗黒街と呼ばれる殺風景な区画とバール
・イタリアの北斎を名乗る画家と名家出身の世俗離れした日本人女性
・素朴で美味しい食事が出る村のダンスパーティで踊るミラノのキャリアウーマン、元神父
・ボヤ騒ぎでつながった同じアパートメントの住人たち
・貧しい少年時代と退屈な教員生活を送ったジーノの家
・犬仲間が犬をさらわれる
・小さなトゲが飛ぶシチリアのサボテン畑と、彫像のような青年
・ナポリのタクシードライバーが水先案内してくれた下町
・強引なシスターに連れて行かれた山奥の道が狭まるポッジの町に住むこと
・修理が終わり進水間近で主を失った陸の船と無愛想な船大工兄弟
印象的な人物たちと、そこへなぜ首を突っ込むのかとツッコミたい筆者の交流。文章もそれなりにうまいが、エピソード自体が魅力的。
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イタリア在住30余年のジャーナリストによる、二大エッセイ賞である日本エッセイスト・クラブ賞(2011年)と講談社エッセイ賞(2011年)を史上初めてダブル受賞した作品。
本書には、リグリアの海に面した、赤い三角屋根に白いモルタルの壁の、子供が絵に描くような小さな家を借りる「ジーノの家」、60km車を走らせて行った農地の真ん中の即興のダンスホールで、50歳の友人が優雅にタンゴを踊る「僕とタンゴを踊ってくれたら」ほか、「黒いミラノ」、「リグリアで北斎に会う」、「黒猫クラブ」、「サボテンに恋して」など10篇が収められているが、副題の「イタリア10景」に相応しい、素敵なイタリア(人)が描かれている。
著者は、あとがきで「行き詰ると、散歩に出かける。公営プールへ行く。中央駅のホームに座ってみる。書店へ行く。海へ行く。山に登る。市場を回る。行く先々で、隣り合う人の様子をそっと見る。じっと観る。ときどき、バールで漏れ聴こえる話をそれとなく聞く。たくさんの声や素振りはイタリアをかたどるモザイクである。生活便利帳を繰るようであり、秀逸な短編映画の数々を鑑賞するようでもある」と語っているが、本書には、そうして切り取った、普通のイタリア人の普通の生活の魅力が詰まっている。
著者が、来年こそは日本に帰ろうと思いながら、30余年離れられないイタリアを十分に味わえる一冊である。
(2013年4月了)