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なんちゅう負のスパイラル。誰ひとり幸せになれない結末に終わった。空しい実話。山地…死刑でいいです…。この言葉で彼を取り巻く短い人生と出会い、被害者、すべてを濃縮している。
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ドキュメンタリーを読むのが好きです。野次馬根性なのかもしれませんが、知りたいと思うのです。どうしてそんな事件が起きたのか、関係者はその後どうなったのか。
わずか4ヶ月前に起きた大量殺人事件も、1ヶ月前に起きた小学生が未来を奪われた悲惨な交通事故も、発生直後の大量の報道と、その後しばらく垂れ流される論評が一段落すると、続報はぱたりと見かけなくなります。
マスコミや、日本人の「飽きっぽさ」を問題視する声もありますが、これはやむを得ないことでしょう。マスコミが発信できる情報の総量にも、個人が受け取ることができる情報の総量にも、限りはあります。新しい事件が発生し続けるのであれば、過去の事件に割く資源の量は少なくなります。
ですから、一度関心を持った事件のその後を知るには、ドキュメンタリーはありがたい存在です。私たちの手に届くまで時間はかかりますが、その分、事件や事故について、まとめて俯瞰的に読むことができます。
そういう意味ではこの本は、物足りません。
凄惨な事件(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%A7%89%E5%A6%B9%E6%AE%BA%E5%AE%B3%E4%BA%8B%E4%BB%B6)の犯人である山地悠紀夫の「一般の人と違った特性」を追い、「次の事件を防ぐ手掛かりはないだろうか、と問題提起したかった」のだそうですが、成功しているとは言いがたいと思います。
まず、聞き取りが全く足りません。
本人(は他のドキュメンタリーでも無理でしょうけれど)、両親(父はアル中で死に、母は本人に殺されています)はもちろん、「孤立が生んだ二つの殺人」のタイトルで分かるように山地が心を開いた相手はほぼ皆無だったようで、そもそも「犯人山地」を語れる人が存在しないようです。
聞き取りができた相手は弁護士や少年院で山地と面談を重ねた医師、そして「少年犯罪」や「アスペルガー症候群」について一般論でしか語れない「カウンセラー」や「精神科医」などの「識者」…ワイドショーのコメンテータと大差ない人たちだけです。(母親殺害事件を「あれ、この年にそんな事件あったっけ」と言ってしまう程度の人たちです)
さらに、再犯はどうすれば防げたのか、というテーマそのものが、加害者寄りです。死刑制度の是非や発達障害を持つ人の刑事責任能力の有無について語ることは注意深く避けられていますが、でも「再犯防止」を考えるということは、加害者の立場で考えると言うことです。
アスペルガー症候群の当事者など「相手への共感性が乏しく、反省を感じにくい子」の再犯を防ぐためのキーワードとして【反省なき更生】というキーワードが繰り返し出てきます。反省よりも再犯の防止が優先、という考え方は、耳ざわりがよく聞こえる人もいるかもしれませんが、でも本当に「反省はしていないが二度と殺人はしない」人がどれほど不気味かは、「神戸連続児童殺傷事件」の「酒鬼薔薇聖斗」が書いたとされる手記「絶歌」の
『大人になった今の僕が、もし十代の少年に「どうして人を殺してはいけないのですか?」と問われたら、ただこうとしか言えない。「どうしていけないのかは、わかりません。
でも、絶対に、絶対にしないでください。もしやったら、あなたが想像しているよりもずっと、あなた自身が苦しむことになるから。』
を読むと痛感します。
人を殺すことがタブーであると思っていない人は、その人が思っている「人を殺してはいけない理由」という歯止めが外れた瞬間、また人を殺しそうです。私は例え完全犯罪ができるとしても殺人はしないでしょう。でも、これを書いた人は、苦しまない――逮捕され、収監されないのであれば、また人を殺すかもしれません。そんな人を「許される限り長く刑務所に収容」して欲しいと思うのは当然で、これを「耳を疑う」と斬って捨てる人たちが書いている「ドキュメンタリー」はやはり偏っていると思うのです。
母親殺害事件について寛大な処遇を求める嘆願書に260人の署名が集まったことには触れ、姉妹の殺人事件に関して死刑を求める嘆願書に2万2796人の署名が集まったことには触れない程度には偏っています。
そして最後に、「アスペルガー症候群」に対する理解が足りないような気がします。「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」「人格障害」などの言葉が随所に出てきますが、一人歩きしているように思います。診断名はともかく、人の気持ちがわからない人、人間関係が築けない人は一定数いて、なんとか仕事をしながら日々生活しています。アスペルガーだから犯罪を犯しやすい、だけどアスペルガーの人はこうすれば再犯が防止できる、なんて、括らないで欲しい。
それにしても「死刑になって当然」という重大事件がどうして起きたのかを知ることは、やはり難しいことなのでしょうか。加害者の理解しがたい言い分がどこまで露悪趣味や強がりや言い訳でどこからが本音なのかは、やっぱり当事者にしかわからないのかもしれませんね。
【追記】
担当弁護士さんは、山地に宮部みゆきさんの「R.P.G.(http://booklog.jp/users/hanemitsuru/archives/1/408747349X)」を差し入れてたという記述があります。山地はこの本の真犯人にどんな感想を抱いたのでしょうか…。
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2013年(底本2009年)刊。◆実母殺害事件(少年)と姉妹殺人事件(成年)とをルポし、被告人が広汎性発達障害との判断(第一事件の少年院在院中)がなされた点を踏まえ、その処遇のありよう、再犯防止方法と少年院・少年刑務所での矯正教育の有り方、就業や福祉的な介入の必要性と現状などを叙述。◇広汎性発達障害が教育現場で議論されだしたのが2003年ごろ、行動療法などの具体的な対策や乳幼児期の診断の重要性、投薬などの危険性と必要性などが言われだしたのも2010年より少し前(しかも、対策や要因論も含め日々変容)。
若干付言するが、広汎性発達障害やその近接領域の罹患は、軽度も含めれば、5%とも言われている。仮に1%だとしても、日本だけで100万人もの数字が予想され、社会との接点を持たずに生活させるとの想定は非現実的。また、何らの犯罪行為を犯しておらず平和裡に生活している疾病者との線引きも困難だし、かつ、当該疾病の類似症例として、例えば後天的な頭部外傷による高次脳機能障害も想定可。自らが罹患する可能性すら念頭に置くべきところ。ただまぁ、いくら指摘してもピンとこない人は存在し、社会的認知を広めるのは難しいなぁと感じる。
広汎性発達障害における、認知の歪み(特性ともいえるが)は判ってもらいにくい。また、広汎性発達障害でも、根本的な要因が①短期記憶の困難さ、②ワーキングメモリーの不全、③入力情報の分別不全(頭頂葉の機能障害)、④情報の過剰入力など多様で、対策も後手後手に。加え、乳幼児期の診断が不十分だと、先天的機能障害のない愛着障害の可能性も残り、要因特定は不可能に近い。ならば要因特定よりも、再犯防止のメカニズムになるが…。本書の岩佐嘉彦弁護士の言のとおり、福祉との連携・出所後対応を含め、少年院・刑務所とも明らかに不充分。
死刑判決となった本件は殺人既遂だが、例えば、傷害、傷害致死あるいは殺人未遂であれば、死刑という短絡的に社会から排除する方法論では全く対応できない(死刑の是非は一先ず置く)。また、発達障害者の大半は生きにくさを感じつつも、平和的な生活営為の下にある。かつ、本件の特殊性、中卒で親がいない点、生活保護すら受けなかったシングルマザーとの少年期、出所後の社会からの放逐等も見逃せない事情。本書が告発するのは、この機能不全のままの現代福祉社会の実情に他ならない。
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発達障害者が加害者となり処罰される。そこに至る成育歴は被害者と言える。漸く法整備されつつある病であるが、社会的理解と支援が必要。2017.5.15
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2018.04.16断念
3分の2まで読みました。
そこまでの内容は、犯人 山地の行動描写、心理描写が少なく精神科医や専門家による
公汎性発達障害(アスペルガー症候群)と人格障害についての分析記述が多く、とても読みにくくはっきり言って内容がつまらないため、その先に期待が持てず読了断念致しました。
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発達障害をもつ子どもを、親や周りの大人が愛情もって障害について勉強して育てていくことが大事なんじゃないかと思った。
発達障害と事件はイコールではない。でも気を付けなければならないと思っている。発達障害をもつ人と関わる人が起こす事件についても、イコールではないが、気を付けなければならないと思っている。
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まことに気が重い
どうしようもないくらいに気が滅入る
それでも
これは 確かな事実
これは 実際に起こってしまった事件
さまざまな凶悪な犯罪事件が
耳目に入ってくる
なぜ そんなことが起きてしまったのか
なぜ そんなふうになってしまうのか
なぜ その時に起きてしまったのか
そして
その後のことが気になる
その凶悪犯罪の背景をとらえ
その事件の それまでを考え
そして
その事件後の これからを
考え続ける
優れたルポルタージュは
より良い 世の中にするための思考を
我々に 強いてくる
世の中の全てのことは
自分とつながっていることを
自覚させてくれる
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ニコニコニュース(2019.10.26):「人を殺すために生まれてきた」母親殺しの出所から僅か2年後に強姦殺人、男の歪んだ死生観とは【社会を震撼させた死刑囚たち】 https://news.nicovideo.jp/watch/nw6103998
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職場のエレベーターで一緒になった人から「物騒なものをお持ちですね」と言われ、何のことかと思ったら、袋が透けて本書のタイトルが見えていたのでした。(^^;
母親を金属バットで殴殺して少年院へ送致され、退院後に見ず知らずの姉妹を強姦して殺害したという、書いているだけで胸糞悪くなる事件の犯人は、アスペルガーだったとのこと。障害のある犯罪者を認知して支援することが必要なのではという思いから書かれた本のようですが、「一生懸命、希代の大悪党を演じていた気がする」という捜査官の言葉を読んだ辺りから気分が悪くなりました。
この殺人犯を理解しようとしているのはわかる。でも、障害の有無に関わらず、世の中の大半の人間は殺人なんて犯さない。『13階段』にもありましたが、殺意を抱くことと実際に殺すことは違います。彼を知る人がもっと親身になってやればよかったと言うのを聞いても、本当になんとかできたとは思えない。どこか皆、「上から」に感じてしまう。褒めることで更生を促すとか、そもそも褒めること自体「上から」なわけで。
障害者を理解する姿勢は大事だと思う。でも、事件がそこに起因していたかどうかは結局わからないし、そうだと考えられてしまったら、同じ障害を持つ人やその周囲の人はやりきれない気がします。いろいろと腑に落ちない。
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被害者が加害者に転じていくのは、もしかすると流れのようなものになっているのではないだろうかと考えさせられる。
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10年程度前の本なので、専門分野についてはやや知識が古いと思います。杉山登志郎先生が『子ども虐待という第四の発達障害』でも記されている通り、虐待により発達障害様の症状を呈することはありますし、また本書内では愛着の問題についてもあまり触れられておりません。いまあらためてこの事件について考え直すとまた別の精神医学的分析が出来るのではないかと思います。
また、なぜ事件が起こってしまったのかという話とどう裁くべきかの話は峻別して論じた方が良かったです。この事件を引いて厳罰化の犯罪抑止効果について論じるのはあまり筋が良くないと思います。
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実際に起きた事件についての本は大抵そうだが、これもかなり重めの内容で人に勧めるのは難しい。
病気や事件について知る事が大事なのだが、知る、考える事で胸が締め付けられるような感覚に陥るときがあるので理解するのに少し勇気が必要か。
世間一般では事件の表面をなぞったような部分、知ったつもりなっている人たちの無知な偏見などが、本書のような事件を引き起こす原因になっている可能性を知ってほしいと思う。
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日常生活で発達障害の人と関わっている機会は自分が知らないだけで実はけっこういっぱいあるはず。病院で診断は受けていないが、高齢となった私の父は発達障害だと推測している。(いろんな本を読んであまりにも当てはまるので)
父は一見、普通の人と変わりないけど、関わるとものすごくストレスを感じ、心底疲れる。障害と分かれば優しくもなれるかもしれないが、一緒に生活するのは大変な苦痛を感じる(私は1人暮らしを始めてから楽になった)
昔は発達障害なんていう言葉すらなかったけど、私が小さい頃にこういう障害がある事を分かっていて、もっと福祉が充実していたら、父も私達家族も少しは心を保ちながら生活できたかもしれない。
この本のような凶悪な犯罪は決して許されないが、(p296)英国の「貧しい者にこそ愛を」という精神に学んで、この障害が日本でも広く理解されて、広汎性発達障害の福祉施設が充実され、再犯防止,事件発生防止に繋がれば良いと思う。
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腑に落ちない……といった感想を持ったのが正直なところですねぇ…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
結局、これを読んでも山地の内面に迫れなかったのがしっくり来ない原因でしょうかね…彼は弁護士と度々接見? を重ねていますが、どうも本心を話しているように思えないんですなぁ…
それで結局そのまま死刑になっちゃった、みたいな…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
でもまあ、彼の生い立ちなどを知れたのが良かったですかね。後半の、何やら精神科医やらその手の”専門家”が登場してくる紙面は要らなかったかな…必要なことなんだろうけれども、一読者としては退屈でしたねぇ…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
アダルトチルドレンやらADHD? の人たちの集まりの会話は興味深いものがありましたけれども…
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー
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犯人の生育環境に色々問題があって気の毒だった。
カッコ悪いところを意地でも見せたくないって思いが強すぎて周りに虚勢張ったり心を開かない様子がしんどそうだと思った。
山地を支えてくれた人はいたけれど結果的には楽観的だと思う判断が多く爪が甘いと感じた。