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紙の本
死刑でいいです 孤立が生んだ二つの殺人 (新潮文庫)
著者 池谷 孝司 (編著)
【疋田桂一郎賞】2009年夏、25歳の若者の死刑が執行された。その名は山地悠紀夫−。16歳で母親を殺害した男が再び犯した大阪の姉妹刺殺事件を追い、日本社会のひずみを抉り出...
死刑でいいです 孤立が生んだ二つの殺人 (新潮文庫)
死刑でいいです―孤立が生んだ二つの殺人―(新潮文庫)
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商品説明
【疋田桂一郎賞】2009年夏、25歳の若者の死刑が執行された。その名は山地悠紀夫−。16歳で母親を殺害した男が再び犯した大阪の姉妹刺殺事件を追い、日本社会のひずみを抉り出すルポルタージュ。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
たくさんの「なぜ」
2013/10/30 13:39
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
共同通信の社会部記者2人が見ず知らずの姉妹を惨殺した凶悪事件の犯人を追いかけたルポ。事件記者は日々発生する事件・事故を追いかけることだけで疲れ果てる。聞きかじりしたわずかな捜査情報を「続報」として追いかけるのに精いっぱいだ。事件のその後に関心を抱いたとしても、裁判になれば、そこには別の担当記者がいる。でも、時に連載という形で事件を追いかけ、すぐれたルポが生まれることが時よりある。この本もそうした1冊だ。
私自身、この事件はこの本を読むまで記憶から消えていた。読みながら「そんな凄惨な事件があったな」との印象をわずかに蘇った程度だった。つまり、そんなに誰もが知る有名な事件ではない。だが「死刑でいいです」と言い、自分の本心を明かさぬまま犯人が死刑が執行された事件は、被害者の遺族はもちろん、実は何も私たちの社会に還元されないまま消え去っていったという思いが残る。そして、犯人の生い立ちや、事件までの経過からは多くの私たちが考えなければいけない「なぜ」が残る。ぜひ、読んでもらいたい1冊だ。
紙の本
救い
2017/10/27 23:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まきの - この投稿者のレビュー一覧を見る
こうして一つの命が救われることなく消えていくのだと思うと、ぞっとしました。
生まれた時から死刑になるまで、一つも救いがなかったというと、そうではないのかもしれない。
彼自身が自ら選択した部分もあったと思います。殺人など。
ただそれでも、彼をどうにかして救えなかったものだろうかと、思ってしまいます。
来世があるのなら、心から愛されて幸せに生きられる人生をただ願うばかりです。
紙の本
思考がループする。
2019/09/19 19:29
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ライディーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
結局、何なんだろうか。
障害と犯罪を結び付けて考えてはいけないのはわかる。
しかし、被害者側すれば「そんな事は関係ない、反省の概念すら無い人間から被害を受け、持って行きようのない気持ちは何処に向ければ。」と言う感情があるのは至極当然である。
しかしながら、加害者側も生い立ちを考慮するとある意味で被害者とも言えるが、やはりそれは別問題である。
と、行ったり来たりの考えが巡る。
考えれば考えるほど、結局最善策は見当たらず、思考は只々ループするだけだが、当然放ってはいけない問題。
自分の周囲で類似した現実が無いだけで、殆どの人は実感がない現実。
難しい。
紙の本
やるせない想いだ、誰も救われない
2022/10/16 19:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
やるせない想いだ。誰も救われない。確かにこんな事件があった。写真を見て思い出した。「死刑でいいです」「生まれくるべきではなかった」「公平な裁判でした」。反省の感情もなく、こんな事を言う犯人を死刑にすることにどんな意味があるのか。たしかに被害者家族にとっては、ひとつの区切りになるのだろう。そして、また同じような事件が起こる。何が本当に必要だったのか、考えさせられるドキュメンタリーだった。
紙の本
生きる場所、生きやすい場所をを間違えてはいけない
2015/12/20 18:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
本音を言わぬままこの世を去ってしまった。彼の望んだ死刑によって。。というが、彼の言っていることが、本音として?という仮説は立てなかったのだろうか。大人側が納得のいく答え、殺人犯の模範的な心理を求めすぎてはいないか。とにかく、彼の心理をあばきたい一心で書かれているので、そこに疑問を持つのはお門違いかもしれないけれど。私だって本音を言って死んで行くかわからない。彼が真実を言いたくなかったのなら、それが「本音」なんじゃないのかな。
また障害によって、事件が悪化したことは事実なので、同じ障害をもった人間が同じような事件をおこしたとき、再犯をふせぐのが第一の目的であろう。それ以前に事件を起こさせないことだけれど。彼は、少年院から出るべきではなかったし、また彼みたいな障害も持った人間が、事件をおこすことなく人生を送れる場所を作るべきだ。指導者がいてきちんと生きていけ、それが負担にならないのなら、そういう生き方も認め、ありとするべき。隔離、区別されて生きやすい人もいるのだ。