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すばらしくよかった!! 好きすぎて感想が書けないです。
ユーモアがあってほんとうに笑えて、最高にいい話で、読後感もすばらしくよくて。読んでいて興奮して胸がつまるような。
本当に好きだ。
「これからお祈りにいきます」っていうのが本のタイトル。なかに二編、どっちも確かに、祈り、願い、の話。
津村記久子さんの書く人々が好き。ごく普通というより、普通よりさえない、いろいろうまくいっていない人たちなんだけど、なんというか、人生に謙虚というか。尊敬する。そういう人になりたいとか思う。いろいろヘタレでも、少し心がひらけているという感じもすばらしい。そして、少しずつさらに心が、そして人生もひらけていくというような。
そういえば、二編とも悪い人がまったく出てこない。
「サイガサマのウィッカーマン」
最初、え、SF?とか思ってびびったのだけどそんなことはなく。モチーフは民話みたいな感じなのだけれど。ウィッカーマンってなんだ、と思ったら、ウィキペディアでは「古代ガリアで信仰されていたドルイド教における供犠・人身御供の一種で、巨大な人型の檻の中に犠牲に捧げる家畜や人間を閉じ込めたまま焼き殺す祭儀」だそうで。それに似たお祭りのある町で、なんとなくそのお祭りの手伝いをすることになった高校生男子が主人公の話。
「バイアブランカの地層と少女」
これこそ、めちゃくちゃ好きだった。ものすごくおもしろくて読んでいて楽しくて、笑えるとかいう本でもわたしは笑うことってあんまりないんだけど、これは本当に笑ったところがたくさんあった。京都が舞台で、主人公大学生男子は観光ガイドとかしていて英語の勉強をしようとか思って、外国人とメールをやりとりするようになって、とかいうところが個人的にツボだったり。なんかふと、外国の映画にありそうとか思ったり。
ってどちらもあらすじを書こうとしても書けなかったんだけれど、なんだろう、タイトル見てもどういう話になるのかわからない感じ、ストーリーが妙な展開というかストーリーがあってないようなというか。すごく津村さんぽいというかユニークだと思う。
っていうのは、わたしがあらすじを書くのが病的に苦手だからかもしれないけど。
結局、なんの感想にも説明にもなってなくて申しわけないことです……。
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この本 読むと、
所謂『ショボい』と言われる男の子が
とてつもなくチャーミングに思えてくるなぁ。
世界中の女の子達が読んでくれたら
ウチの息子ちゃんもモテモテになれるかも。
とかいった野望すら爽やかに抱ける、後味のよい一冊でした。
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かなりお久しぶりに津村記久子さんの作品を読んだが、残念男子(?)の心理描写がお上手で驚いた。
この作品集のメインである「サイガサマのウィッカーマン」の結末に主人公シゲルを残念がりながらも、思わずにやけてしまった。
「バイアブランの地層と少女」は非モテ系男子作朗の女の子に恋焦がれる内容で、読み終えたときこの子すごくいい子と思った。恐らく彼は20代後半になり、もてるタイプではないかな?
そして、本タイトルの祈りがこの二編のキーワードとなっており、主人公二人ともが他人のために祈っている姿に共感した。
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面白かったぁ~~! 不機嫌な高校生男子・シゲルの閉塞感溢れるリアルな日常の話なのだけど、同時にとても優しい&不可思議な町の祈りにすっかりやられてしまいました。
津村さん、また新境地ですね。(#^.^#).
よそに女がいるらしい父親、どうにも頓珍漢な母親、不登校の中学生である弟、とどこを向いても楽しい要素がない高校生・シゲル。
ただ、始まってすぐのページから、何かこの町には奇妙なお決まりがあるらしい、ということがわかります。絶妙に不親切な(#^.^#)語りなので、どこが変わっているのかなかなか実態が見えてこないのだけど、
どうもサイガサマという神様が土着の信仰対象とされているらしい、
何かをお願いして叶えてもらうとその人は体の一部を失う、
だから、ここだけは持って行かれると困るという部位を紙粘土なり、ニットなり、折り紙なりで“申告”する、
という、なんか怖いんだか、可笑しいんだか、わからないもので、
でも、その申告のための祭りが毎年当たり前のように執り行われているという…。
シゲルは公民館でバイトをしている関係から、その祭りのための部位づくりの講座を手伝うことになる。
シゲルを含む町の人々はサイガサマを本当に信じているのか、どうか微妙な描き方で、そこがまた面白い。(#^.^#)
シゲルは、
サイガサマは神さまの中ではとても力が弱いので、そうやってもらい物をしないと力が発揮できない、と漠然と感じてはいるみた。
体のどこかが無くなってしまう、なんて、どこであろうがとんでもないことだと思うのに、町の人たちが呑気に申告物の準備をしている様が、うん、読ませられてしまうんだよね。
ネタばれです。
私はなんだかんだ言って、ただの罪のない風習じゃないの、と思ってたんだけど、
後半、遠足の際の大雨から小学生たちを無事に学校に連れ帰った先生が次の日には髪の毛全部を失っていた、とか、クラスメートのセキヅカが長い入院をした後、お父さんが長い眠りに入り、セキヅカは元気に退院、なんていう“実例”が出てきたりして、そっか、そうだったのか、なんて。(#^.^#)
シゲルはずっとヒドいニキビに悩まされていたのに、セキヅカのお父さんの無事を祈り、顔半分だけニキビが無くなる。半分だけかよ、へたくそ、なんてサイガサマをなじるシゲルがまた可笑しいし、願いは自分のため、ではないところがポイントなんだね・・。
こんな変なお話を考えてしまう津村さんって!! (#^.^#)
町全体で奇妙な習わしを受け入れてしまっている人たちが好ましく、津村さん、大好きです!と言いたいです。
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『サイガサマのウィッカーマン』
あり得ない不思議な物語を生き生きと紡ぎ出す作家の想像力がおもしろい。
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「サイガサマのウィッカーマン」…神様に「これだけは取られたくない」ものを工作して申告し祈りを捧げるという、奇妙な祭りがある町に育った不器用な高校生シゲル。父親は不倫中、弟は不登校、母親との関係もうまくいかない閉塞した日常のなか、町の一大イベントであるお祭りにも、どうにも乗り気になれないのだが―。大切なだれかのために心を込めて祈るということは、こんなにも愛おしい。地球の裏側に思いを馳せる「バイアブランカの地層と少女」を併録。
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心がぬくぬくとした。
サイガサマ~は、シゲルが少しずつ、今までより周りの人たちのことを考えるようになっていくから、物語が進むほど彼を応援したくなった。ウィッカーマンとかいうから怖いのかと思っていたが,全然違った。
バイアブランカ~の方は、作郎とエンドーの友情がバカでさわやかで心地よかった。
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http://tacbook.hatenablog.com/entry/2013/07/31/214553
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「バイアブランカの地層と少女」はあまりにも心配性な大学生が主人公。イケてないちょっと残念な男の子。南米、スペイン語圏の話が出てきたり、こちらはいつもの津村さんらしい話。
「サイガサマのウィッカーマン」の方が、丹念に、丁寧に書かれているような感じがする。冒頭の、シゲルの行き場のない思春期のイライラが切実に伝わってきて、反抗期の頃のイライラに引き戻されるような現実感がある。著者の十代はもう遠い昔になってしまったはずなのに、どうしてこの頃の気持ちを、こんなに詳細に描けるんだろう。
シゲルは、サイガサマと冬至の祭、というちょっと奇妙な風習のある町で、いろいろなことに苛立ちながら、それでも真面目に生きている。その真面目さが、津村さんの作品らしいところ。
主人公たちは決して「いい人」ではないと思う。
いけすかない上司にイライラしたり、約束をすっぽかしたり、特別優しくはなく、いたって普通。
どちらの作品にも共通するのが、主人公の地味でちょっと残念な男の子たちが、日々情けないことや苛立つことがあっても、どちらも堅実に生きている、ということだ。
そして、どちらにも他者への祈りがある。自分の日常が思うようにならなくても。おおげさではなく、ささやかに。どうか、幸せでいますように、という。そこがいいな、と思う。
祈りが通じているのかいないのか、判定はしにくいけれど、祈ること自体が何かを変えるのかもしれない、と思わせるラストがいい。
個人的には、サイガサマは「できない子」、というところが好き。万能の神ではなく、願いをかなえる代わりに体の一部を持ち去るというのが悪魔的ではあるけれど、そうではなくて「できない子」だからそうして力を得るしかなく、人間の常識に疎いからうっかり持ち去る部位が悪くて殺しちゃったり、しかも最近は妙に慣れてきて願い事の精度が上がっているとか、妙に人間くさいところ。
神様も人も、なんだかどこか足りなくて、どこか残念なんだけれど、それでも生きていく。ちょっとずつ他人のためにも幸せを祈りながら。そういう風に日々生きていければいいのかもしれない。
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中編「サイガマのウイッカーマン」と短編「バイアブランカの地層と少女」の二作を収録。二つの作品は共に「祈る」というテーマで結びついている。
タイトル作品「サイガマのウイッカーマン」は男子高校生シゲルを主人公に、彼の住む町で伝統的に祀られている一風変わった神様「サイガマ」様にまつわる話。
「バイアブランカの地層と少女」は、神経質な京都の男子大学生が主人公。ガールフレンンドとの約束も無視して、見知らぬアルゼンチンの少女のために祈るが、、、その祈る場所が京都らしくユニーク。
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(2013年8月26日読了)
津村さんの、私の好きな部分が、前作「まともな…」 より、戻って来た感じ。
収録されている2話のうち、最初の話の内容から、「これから…」 がタイトルかと思っていたら、「サイガサマのウィッカーマン」 という別のタイトルがついていた。
ふたつめの 「バイアプランカの地層と少女」 も、よくよくおもい起すと、祈りの場面はあった。
「サイガサマ…」 は、鬱積した男子高校生が、流されながらではあるものの、大切なものに気づいて行く。
舞台の、まるで実際にあるような祭り、信心に津村さんの想像力の深さを感じた。
「バイアブランカ…」 の主人公は、今時珍しい、信じやすい素直なの男子大学生。 勢いで行動を起こしても、あまり良い結果にはならないことが多いんだけど、いつか実を結んで、彼を理解してくれる女性と出会う事を、私は祈ります。
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どうしても読みたくて本屋さんで探してもらった本。
正直、なんでそんなに読みたかったんだろう?
難しかった。文章も内容も難しいわけじゃないのに、あまりにも感情移入できず、それが残念。
田舎に良くある言い伝え…。
読み終わった後は「これはミステリーなのかな?」っと思ってしまいました。
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お宮参りが趣味の津村さんらしい不思議なお話。サイガサマに熱狂する市民がリアルです。
もう一ひねりほしいところ。
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退廃的な心を抱えた主人公の物語2作品(連作ではない)。
それぞれ”祈り”が軸となっている。
『サイガサマのウィッカーマン』
「これだけは失いたくないからだのパーツ」を工作するという風習を持つ町で暮らす高校生の日常。
『バイアブランカの地層と少女』
アルゼンチンに住む少女とネット通信する男子大学生の話。
津村さんの本はほとんど読んでいるが、文章が合う時とまったく頭に入ってこないときがあり、これは後者。だいたい7割くらい合わないから合わないのかも、と思いつつ読んでしまう。
でも読むのが苦痛でなんとか最後まで辿り着いた感じ。
もうぜんぜん、面白くない。私にとって。
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「サイガサマのウィッカーマン」、「バイアブランカの地層と少女」の2編。
津村さんといえばお仕事小説のイメージやけど、変わってきてるんかな。
とはいえど、醸し出す雰囲気は津村さん独特のもの。
なんやろこの感じ。ええわー。