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「性の問題はいつもわれわれの心を虜にする」 前書きより
本書では、授乳、女性の閉経、セックスアピールなど7項目について科学的見地から論じる。
タイトルや内容からトンデモ科学、エセ科学だと思ったら大間違い。
れっきとした研究である。
面白かったのが授乳の章だ。
現在授乳中のせいもあるだろうが、非常に興味深い。
人間社会では、授乳はお母さんだけではありません、哺乳瓶を使えばお父さんだってできますよというPRがなされている。
パートナーの協力は非常にありがたいのだが、実際乳房から乳が出るのは女性だけだ。
我が子も「なんでパパおっぱいでないのー?」と聞いてくるが、当たり前のように私も「パパはもともと出ないの」と答えているが、果たしてそれは「当たり前」か?
最近の実験結果によると、たいていの養母は1ヶ月程度で多少の母乳が出るのだという!
そして、乳汁分泌が進化する条件がヒトには備わっているのだそうだ。
雄が乳汁を分泌するダヤクオオコウモリの研究が進めば、もしかしたらヒトのオスも乳汁を分泌できるようになるかもしれない。
そんなのは笑い話?
いや、現在の生殖医療だって初めは笑い話やSFの世界だった。
いつかはこれも現実になるかもしれない。
なぜ女性には閉経があるのか、というのも面白い。
生理なんてメンドクセーな、なんて毒づいていたが、終わってしまうとそれはそれで悲しい、かもしれない。
しかしなぜ閉経があるのだ?!
象徴的なエピソードがある。
最も効率的な身体とはすべての期間がほぼ同時に使い物にならなくなる身体だということ。
ヒトの寿命が延びているのに、なぜ生殖器官だけがそうならなかったのかという疑問に対する答えは、「少なく産めばたくさん育つ」からだ。
一見矛盾しているが、これこそがヒトの戦略。
進化の結果だ。
生物は常に進化、そして生存戦略を練っている。
最善を求めて。
無駄に思えるもの、当たり前だと思っているもの、その全てが戦略なのだ。
全てが解き明かされるわけではないが、私たちは常に「最善」を求めている。
進化的アプローチの重要性、魅力、困難さ。
奇妙な「当たり前」の世界はわからないからこそ心惹かれるのだ。
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授乳はなぜ女だけ?
確実に自分の子。産むまでにかけたコストがでかい。どちらかが外で狩りをしなければならない。
排卵を隠すのはなぜ?
乱婚型社会では、色んな相手と関係を持つことでどの雄も子供が自分の子供かもしれないと思うので、子殺しが発生しにくくなる。さらに進むと、雌は優秀な雄を選び、独占的に関係を持つことで(一夫一妻)雄に確実に自分の子だと認識させ、子育ての支援を得ることに成功する。
なぜ閉経するか?
人間は子供を産むときに母体にとても大きな負担がかかる。また、自分で食料を得られるようになるのにも10年以上かかる。リスキーな出産、子育てを高齢になるまで続けるよりも、一定の年齢でストップして死ぬまでに一人前の子供り育てた方が遺伝子が伝わる可能性が高まる。
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あまりにも身近過ぎて気付かなかったが人間の性の仕組みにはいろんな不思議があるんだなぁと思った。閉経は自然界では例外的だとかなぜ雄は乳汁を出さないのかとか興味を惹かれる内容ばかりだった
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男女の感情的な諍いはホントにキツイ。おそらく、感情について理性的に考えてしまうのがそのエネルギーの浪費による身体的な疲弊を招いている。なので、性が絡む感情を進化生物学という理論を用いて理性的に説明するこの書物は身体的な疲弊を防ぎうる可能性を有していると思う。
私のように浮気、不倫、だめな男、だめな俺など、いろいろと悩んでいる方は読まれたらいいと思う。
Mahalo
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「銃・病原菌・鉄」で数年前有名になった(少なくともその時に僕は知った)ジャレドダイアモンドの著作。銃〜はホモサピエンスの歴史に関する包括的な書であったが、本書は人類の性に焦点をしぼった進化生物学に関する本である。
◯人間の性は生物学上とても奇妙である
もちろん我々人間にとってはとても普通のことばかりだが、人間の性は生物界全体を見たらとても奇妙で不思議に満ちているという。本書では奇妙な点を6点あげている。曰く、①長期にわたり男女でペアを維持すること②夫婦で子育てをすること③夫婦は単独で暮らすのではなく、社会の一員として生活すること④性交を内密に行い、他者がその場にいることをひどく嫌うこと⑤女性の排卵は隠され、特定の発情期(排卵期)を持たず、性交は月経サイクルの全範囲で行うこと(生殖のためでなくもっぱら楽しむために性交を行う)⑥女性に閉経がみられること
◯なぜセックスは楽しいか?
上記の問いの幾つかに答えるためにまず考えるべきは、生物は自己の遺伝子を将来に残す機会を最大化するために行動すること。そしてその利害は男女で異なることだ。
初期の人類はおそらくハーレム(多くの場合ボス猿であるαオスが存在する)を形成して群れで暮らし、わずかに排卵シグナル(たとえばサルの尻が赤くなるなど)がみられたと考えられる。これにより性交は特定の時期のみ効率的に行われたと考えられる。
だが、ハーレムでは子のオス親が明白のため、ボスの失脚とともに子殺しが頻発する。メスは排卵を隠すことで多くの雄と関係をもち父性を撹乱し子殺しを防ぐ戦略に出た。
さらに人類は一夫一妻制を採用するようになる。このシステムは妻子を他の雄から守り、父を家に留まらせることになった。
結果人類は排卵シグナルを出さないため複数回ランダムに性交する必要に迫られ、”セックスを楽しむに至った”
◯ヒトにおけるセックスアピール
多くの鳥や一部の類人猿には外見上明らかな性差がみられる。孔雀のオスはより煌びやかな羽を広げメスを誘い、ゴリラのオスはより大きな体格と背中に白い毛を纏う。オランウータンのオスは肥大した頬を垂らす。これらは自分がより良い遺伝子を持つオスであることをメスにアピールする。本書の最終章には(本論としては枝葉の部分であるが)ヒトにおけるセックスアピールについて書いてある。ここがとても面白かった。
曰くヒトにおける異性への魅力は①男性の筋肉、②顔の美しさ、③女性の脂肪であるという。
現代風に言えば女性はイケメンの細マッチョに魅力を感じ、多くの男は美人で胸やお尻の大きい女性に夢中である。
これらのメッセージの意味はなんなのか。健康的な男性の筋肉に多くの女性は魅力を感じる。健康的な筋肉は多くの獲物を捕り他者からの侵略から妻子を守るメッセージになる。
一方女性の豊かな胸は健康で充分に授乳が可能なこと、ふくよかな臀部は出産の際に安定感があり母子ともに危険に至る可能性が少ないことを意味する。
面白いのは顔である。整形外科が発達する前まで顔は自由に変えられる部位ではなかった。美しい顔は健康的で、病気を持たず、栄養不足��ないことの証明になった。のかもしれない。
本書は人には聞けないなるほどが詰まった(性の面でも、進化生物学の面でも)良書である。
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人間の性的特徴が生物全体で見た時にいかに異常であるかを述べ、それが自然淘汰により最適化されたものであることを説明している。特に女性の排卵が男性に隠蔽され、自身にも把握出来無いのが、配偶システムの中で生じる駆け引きによるとするのが興味深かった。また両性間に於ける遺伝的利益にとって最善な行動が一致しないのを明確に認識させられたのも面白かった。
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「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか」
「銃・病原菌・鉄」「文明崩壊」「昨日までの世界」で有名な文化人類学者ジャレド・ダイアモンド博士の初期の本である。
原題が「Why is Sex Fun?」とはふざけた題名だ。後書きで訳者が初版の「セックスはなぜ楽しいか」という日本語の題名を改題した理由について説明しているのは笑える。
内容はいろいろな動物や哺乳類と比較して、人間の繁殖戦略についての真面目な考察である。
人間の繁殖戦略は奇妙に進化したのではなく、知能の高い哺乳類として社会性を持ったことに対しての当然の帰結であるように思える。その一方で人間も所詮は動物なのだと考えるとき、人工知能とは一体何なのかを改めて考えざるを得ない。
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一般向けに書かれた性に関して書かれた進化生物学にまつわる一冊。子育てなどについての記述も多く、まとまっていてボリュームも軽めで読みやすい。
人間の性はなぜ「奇妙」なのか、という謎解きについては一般向けとはいえしっかりと書かれているのでわざわざ難しい本を最初に読むよりは良いかも。
男は何の役に立つのか?」とか本当のことを言われるとほんと傷つくよ。全米が泣いた。
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「産めよ増えよ地に満ちよ。」
全ての生物は個人の意思とは無関係にそうプログラムされているが、現代社会のほとんどの文化で性表現は隠され、多産に限界がある一夫一妻が奨励されている。
この状況は、種が繁栄するための最適な選択の結果なのか。はたまた社会の発展は、ヒトに種の目的以外の選択肢を持たせるに至ったのか。
本書はヒトの男女の性戦略の違いを他の生物と比較することで、その進化の道筋を探求する。
進化がどこか意味ある到達点を目指すものではなく、環境に適した形質のみが保存されるように、本書も何か意味ある結論にたどり着くものではなく、ただただその道程を語ることにのみ紙面は費やされる。
出産に多大なコストを強いられる女性と排卵時期を隠蔽される男性の性戦略の違い。
妊娠期間にない女性のみならず、男性にさえ残る授乳機関の実例。
育成コストの集中化のために誕生した閉経のメカニズム。
祖先のサイズから四倍に拡大した男性性器の謎。
どの話題も興味深く楽しめることは間違いないが、それらが新しい発見に結びつくことはなく、論がまとめて総括されることもない。
だからといって本書に意味がないというわけではない。ここから得た知識を酒の肴で終わらせるか、次の何かに繋げるかは、読者次第だろう。
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銃病原菌鉄のジャレド・ダイアモンドによる進化心理学の本。
文明論的な切り口の本で有名な作家だが、学者としてのキャリアは鳥類の研究をしている進化生物学者なのでテーマの取り上げ方はこちらの方が本業寄り。
単行本では「セックスはなぜ楽しいか」という挑戦的なタイトル(第4章のタイトルでもある)だったが、文庫で改められた。
原題は"Why Is Sex Fun?"であり、このSexはおそらく性行為と性のダブルミーニング。
前者と取れば単行本のタイトルが正確であり、後者と取れば文庫のタイトルに近い。
訳者あとがきによれば、大学の講義の副読本に指定したり、進化生物学に興味がある中高生でも手に取りやすいように穏当な訳に改めたとのこと。
(訳者は「進化と人間行動」の東大の長谷川教授。)
ドーキンスの「利己的な遺伝子」などの進化生物学に関する厚い本ではヒトの性差について相応に説明があるので、そういった本を何冊か通して読んだ人には新しい発見は少ないと思う。重なる部分が多い。
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"雄と雌、男と女、生物は自らの遺伝子を後世に残すために交尾をして、子孫を残す。この交尾について学術的に語られているのが本書。最高に面白い。
遺伝子を残すために一番効率的なものはどんなものかは、それぞれの生き物の種類によってことなる。
子育ては雄・雌どちらが主体的に取り組んだ方が、子は育つ?男の役割、女の役割とは?
興味深いテーマを楽しく読ませてくれる。"
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たの動物と人間の性の違いを、人類学、動物学、生理学的に論じている本。きわどい内容を、至極客観的に、感情を抜きにして、科学的に書かれているのが面白かった。
女性の閉経、妊娠可能時期の不明確性、男の必要性などが面白い論点だった。
でも、元々洋書だから、ちょっと読みにくかったかな。英語のほうがいいかも。
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人間の性を生物学的な観点から考察しており、非常に興味深く読むことができた。
人間はどうして一夫一婦制になったのか?
一夫一婦制が本当に人間として生物学的にベストな選択なのか?
ほとんどの生物の雌が発情期(交尾をすれば子供ができる状態)を他の雄に示すのに、人間の雌(女性)はどうしてそれをしない(他から分からない)のか?
人間の寿命はどんどん延びているのに、なぜ女性の閉経の時期はあまり変わっていないのか?
など、他の生物と比べて考えてみると人間は非常に変わっていることが分かる。
読み物として非常に面白かったが、著者の「銃・病原菌・鉄」ような壮大な人間進化の歴史読み物に比べると本書は小粒な感じ・・・。
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http://www.bunsobunko.net/soshisha/detail/978-4-7942-1978-7.jsp
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他の動物とくらべて人間の性の営みがいかに珍妙であるか。女性の閉経、男性の役割、人目を避けること、楽しむこと、授乳以前に乳房が発達することなど、進化生物学的観点から謎解き。
ふつうに当たり前と思っていることが、別の観点からはそうじゃないんだってことが、面白いです。