紙の本
東ユーラシア史の見直しも
2013/12/12 18:07
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投稿者:愚犬転助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国王朝の食の変化から、東ユーラシアの歴史激動がいかに激しいものだったかが、わかってくる。本書によれば、隋唐帝国時代の料理は伝統的な日本料理と通じるものがあったとする。それが、北ユーラシアでのキタイの勃興以後、モンゴル帝国の統治を経て、大きく変わってくる。なんだ、いまのコテコテの大陸料理って、わりに新しいものだったのだ、となる。どうやら、「中国4千年の食」というのは、日本のカップ麺会社の造語だったようだ。
中国王朝の食の伝統が意外に浅いということは、大陸文化の影響力は従来思われていたほどには強くなく、逆に遊牧民族文化の影響力がかなり強かったということにもなろう。そのあたりから、中国大陸王朝史、東ユーラシア全体の見直しができるのではないか。
紙の本
食べる物には理由が有る
2019/01/13 01:17
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投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中国の食の歴史というか、どの様に食べられる物や調理法が移り変わっていったかという本。
食の変化には当時の支配者の出自や好みが反映されていたりして、なかなかに面白い話でした。
古代から現代までの移り変わりを書いてくれています。
あと、個人的に気になったのが章タイトル。
どこかで聞き覚えのあるフレーズがもじってあって、ふふっ。となります。
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中国四千年の歴史というけれど、広大な大陸のすべてを同じ民族、同じ王朝が支配していたわけではなく、さまざまな勢力が群雄割拠し興亡があっての四千年。その文化の一部である料理も同じで、中華料理の定番とも言える料理もせいぜい百年というものが多いようです。そんな食材と調理法の変遷を、文献から追いかけたのがこの本で、今回の文庫化にあたって最近の事情について1節を追加しています。中国で生まれ育った著者も、10年ぶりに帰国したら、メニューに何が書かれているか分からなくなっていたという冒頭のくだりは印象的です。
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何となく4千年の歴史というフレーズにより、中華料理は昔も今も変わらないという印象があるが、現代の一般に思い浮かべる中料理の多くのメニューは、精々100年前後の歴史しかないとの指摘に驚いた。異民族の侵入、支配を契機に彼らの食文化を取り入れ激しく変化してきた中華料理は、現在も変身中で、日本の刺身、韓国の焼き肉も吸収済みだという。犬肉を食べるのは古代だは普通であったが、犬のペット化、異民族との交流、仏教の伝来などにより唐代以降はその習慣がすたれていった等の多くのエピソードが楽しい。中華料理が異民族支配を含む王朝交代により深さと広さを獲得し、更に激しく変化を続けていることが良く理解できた。著者は中華料理に興味を持ち文献に当りだしたという日本在住の比較文学者なので、食文化の専門家なら陥ったであろう細部に拘り、大局的視点を忘れるという弊から逃れて、楽しく興味深い読み物になっている。
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中国4千年の歴史。
ラーメン、フカヒレなどなど。
過去の文献や文化の動きを絡めて、丁寧な解説。
はー、だから羊多いのかー
えー、麻婆豆腐新参者?
とか、目から鱗です。
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「中国4000年の歴史」とよく言われるものだが、中国は他民族が長い年月の中で競い合ってできた多民族国家である。そのために、各時代によって料理の味も特徴も全く異なるところが面白かった。
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紅虎餃子房などの際グループの社長が、酢豚は元々ケチャップでなく調べたら黒酢だったと言っていた。そのことを思い出した。
そんな風に、刻々と変わっていく中華料理を知ることができる。料理の詳細でなく、変遷やどこで変わったかを突き詰めていく内容。
中華料理の多くがこの数百年というインパクトは大きい。
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いくつか矛盾するように感じる部分もあるが、主食となる穀物やよく食べられていた肉の種類、箸の置き方など、時代の変遷に伴う中華料理の変化を概観できる。
北方遊牧民の影響が大きいのがわかる。
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よく「中国4000年の歴史」と言われるけれど、今よく食べられている中華料理、フカヒレや北京ダックにしてもそれらが食べられるようになったのは300年から100年くらい前のことだそう。
それ以前、古代から現在に至るまでどのようなものをどのように調理して食べていたかを、「食文化に大きな変化が起きた時代に注目し、変化の背後に何があったかを究明する」目的で書かれているこの本。
中国でも昔はお箸は横置きだったのにいつ頃どうして縦置きになったか、現在は油を多く使うイメージの中華料理も昔は懐石料理のような調理方法やメニューだった、とか歴史書や絵画を通したいろいろな発見や考察がとてもおもしろいです。
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日本で中国四千年の歴史!と言われるような中華料理の特色は、その実、普遍的な調理法や食材の活用法と言うよりも、むしろ様々な民族の文化を時代に応じて取り入れる懐の深さにあると分かった。
今、中華料理として思い浮かべる料理がどの時代にどのような経路を辿って定着して行ったのかという事が丁寧に記されていて、伝統とはなにかという事を考えさせられた。
また、紀元前の中国では米よりも粟や稗の方が高級とされていたこと、犬食の歴史、調理方法の変遷など、驚くことが多くあった。