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炭水化物、糖、タンパク質、香辛料、ニコチン、アルコール、およそ人間の生活に関係する物はほとんど炭素が主要構成元素である。物質という観点から人類の歴史の変化点を捉える本は数多くあるが、炭素という大枠で見直すのも面白い。
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炭素=有機化合物が如何に世界の歴史に影響してきたか書かれた本。名著。理系も文系も関係なくみな読むべき本。
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面白かった。
地球上にほんの僅かしかない炭素が、むっちゃ影響力持ってることが良く判る。
炭素化合物が人に取ってどの位大切なのかはまあ普通として、それぞれの化合物が、歴史を動かして来た視点が良いのだ。
ただ、難点はタイトルで、読めばなるほどかもしれんが、タイトルから内容の面白さが想像し辛く、もうちょっと売れるタイトルにしてあげたら良かったのに。
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炭素という元素は、それら同士の間では非常に堅牢な結合力を持ち安定的だが、窒素や酸素等の他元素と化合するととたんに幅広い柔軟性を獲得し、生命活動にとって極めて重要かつ多様な役割を果たす。本書ではこれらの「有機化合物」と人類の関わりが鮮やかに語られる。
デンプン、ニコチン、石油等の有機化合物を狂言廻しにあて、人類の歴史を物質とエネルギー争奪の歴史と捉えならがら、これら物質にまつわるエピソードを挿んでいく。この逸話が中々に面白い。思わず受け売りで薀蓄の一つも垂れたくなるものばかりだ。
本書が単なる「化合物」でなく、「炭素」を主人公に抜擢した理由は終章で明らかになる。新素材の獲得と持続可能なエネルギーの開発。これら人類の将来にとって重要な二つのテーマに、炭素は非常に重要な役割を期待されているのだ。
昨今のエネルギーに関するニュースに触れるにつけ、古今にわたり資源の確保がいかに重要なイシューであったかを思い知らされる。しかし本書を読めば、資源産出元となった国家/民族が必ずしも繁栄の道を辿ったかというとそうでもないことがわかる。むしろ、その資源の大量生産、もしくは大量調達の手段を見出した側が、より大きな利潤を手にするケースが多いのがこれまでの歴史の示すところだ。
すると、資源小国の代表格である日本にもまだまだチャンスはあると思えてくる。本書の随所で触れられる化学研究の最先端分野に、日本人研究者や企業の名が多く出てくることには大いに勇気づけられる。
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「読売新聞」(2013年9月8日付朝刊)で、脳研究家・池谷裕二先生が
紹介しています。
【著者(佐藤健太郎)の本にハズレはありません。
本書も高品質な知的好奇心を刺激してくれます。】
(2013年9月8日)
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【読前メモ】
平成25年9月8日産経新聞朝刊10面書評欄掲載。
人が存在するための大前提である「炭素」がどのようにして人類の栄枯盛衰に関わってきたのか。炭素を切り口に様々な視点から語られていて面白そう。
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題名にもある通り、古代から現代に至るまでの数々の歴史的出来事を、化学という観点から解説していくというもの。
非常に小さな分子一つの性質が、歴史の1ページを作ってきたという視点はひと味違ってとても興味深い。
これまで学校で習う歴史や化学はそれぞれが独立していて、特に文系・理系でカテゴライズされた両者の間には殆ど関わりをもっていないように感じる。
私がこの本の内容を非常に楽しく感じるのは、今まで何のつながりもなく覚えていた事項があれよあれよとつながっていき、驚くまでに魅力的なストーリーが出来上がっていくからだと思う。
個人的には、ただ大学受験の化学としてハーバー・ボッシュ法という単語や式を覚えていただけのものが、社会状況にどれだけ影響を与えていたかを知っただけでもとても感動した。
あんな教科書の片隅にあって、選択問題の一つに取り上げられるかどうかの反応がこんなにも凄い発見だったとは。
(だから教科書に登場?w)
化学や歴史の授業がただ暗記事項の羅列でなく、こういったドラマチックなつながりをもっていうことを学校の先生が伝えてくれていたらと思ってしまうw
ただそれが難しいw
難しいからそれが出来る人がこのような本を出せるのだとw
この著者はブログでもそういった楽しい知識を提供してくれているので、いつも拝見している。
またワクワクするような雑学を期待。
(今回は前回の『『ゼロリスク社会」の罠』に比べて言葉やストーリーが断然整っていたように感じたのは出版社のせいなのかな?w)
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非常に面白かった。やはり自分は理系なのか、知的好奇心が擽られた気がした。
石油、カフェイン(コーヒー)、エタノール(アルコール)などは個別に興味のある分野なので、また面白い本を探したい。
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新聞の書評欄で紹介されていたので手に取ってみました。
タイトルが表しているようにとてもユニークな視点の著作です。
本書に登場する炭素化合物は、「デンプン」「砂糖」「芳香族化合物」「グルタミン酸」「ニコチン」「カフェイン」「尿酸」「エタノール」「ニトロ」「石油」などですが、著者は、これらが人類の歴史・人間の生活に及ぼした大きな影響を興味深い実例を多数示しながら紹介していきます。
それぞれの炭素化合物がそのときの権力を持つ人物や国家と結びつき、それらのプレーヤーの行動に対する動機づけを行ったことがまさに新たな歴史を形作ったとの考察は、それ自体がひとつの“化学反応”ともいえるもので、私にとって新たな気づきを与えてくれました。
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地球の地表及び海洋の元素分布のうち、重量比にしてわずか0.08%を占めるに過ぎない炭素。しかし、人体を構成する元素のうち、実に18%(水分を除いた体重では50%)がその炭素に占められる。また、これまでに天然から発見され、あるいは化学者たちが人工的に作り出してきた化合物のうち、80%近くまでもが、やはりその炭素を含む有機化合物である。なんとなれ、炭素とは、電荷がプラスにもマイナスにも偏らない不偏不党の存在、いわゆる「元素の王者」なのである。その特質は、互いに何百万個連結しようと、緊密で安定した多様な化学物を作り出すことができるという。特に、炭素を包み込むように結合する水素との組み合わせは、そのたった2種類の元素だけでメタン(ガス)、ヘキサン(ガソリン)、カロチン(ビタミン)、ポリエチレン(プラスチック)等々、全く性質の異なる分子を無限に構成できるほどである。そう、いったい自分たち身体だけでなく、食物(炭水化物、味覚)、嗜好品(ニコチン、カフェイン、アルコール)、医薬品に始まって、衣服、住宅、エネルギー(石炭、ガス、ガソリン)、火薬(ダイナマイト、ニトロ)に至るまで、今日の自分たちの生活は炭素を抜きにして語ることはできない。もとい、炭素をめぐる歴史こそ、生命の歴史であり、人の文明の歴史そのものなのである。恐れ入った炭素文明論ここにあり。わずかな炭素の紡ぐ、その柔らかくてしなやかな結合を紐解くとき、自分たちの新しい未来が覘かれる。
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題名からは意外な流れで有機物(炭素化合物)が歴史に果たした役割を開設している。参考文献の最初に出てくるのが「銃・病原菌・鉄」で2番目が「スパイス・爆薬・医薬品」で似たような雰囲気ではある。他にも参考文献には読んだ本がいろいろ入ってたが帯の「今年度No1のサイエンス本の呼び声!」と言うのはちょっと言い過ぎだろう。化学式はちょっと出てくるがあまり専門的ではない。
序章のアヘン戦争にはじまり、デンプン、砂糖、芳香族化合物(香辛料)、グルタミン酸という食品のグループ、次にニコチン、カフェイン、尿酸(これだけちょっと毛色が違う)、エタノールと言うドラッグ、嗜好品、そしてニトロ、アンモニア(炭素ではないが肥料とニトロの原料)、石油というエネルギー関係そして最後にフラーレンやカーボンナノチューブ、そして人工光合成と炭素の未来の物質までつづく。「スパイス・爆薬・医薬品」が少しづつ関連する物質を紹介していたのに比べると並びは普通。
せっかくなのでなぜか混ざっていた尿酸について。
プリン体はもはや悪者扱いだが実はDNAをつくる構成成分のうち2つはプリン体骨格を持つ。青酸(HCN)とアンモニアという比較的単純な物質を混ぜて加熱すると高確率でできるアデニンに糖とリン酸が結合したのがDNAの構成単位でありアデノシン3リン酸(ATP)は糖の代謝経路にも使われる。このプリン体が酸化して出来たのが尿酸で水に溶けにくく、体内で結晶化すると痛風の原因になる。なんと最古の痛風患者は人ではなくティラノサウルスだそうだ。
歴史上の痛風患者にはアレキサンダー大王、フビライ・ハーン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ニュートン、ダーウィン・・・と錚々たる天才が並ぶ。20世紀に入り知能指数が高い人を調べてみると痛風患者が通常の2〜3倍もいることがわかり、「天才物質」という説が出てきたそうだ。う〜む、因果関係が逆で収入が高くていいもの食ってるだけじゃないのか?と思うのだが。ビールを飲みながらの小ネタとしてはなかなか使えそうではある。
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タイトルはちょっとごついが、炭素にまつわる科学史が非常に分かりやすく書かれていた。佐藤氏は一度講演をお願いした経験があり、話がとても面白い方だったけど、文章でも話の引き出しが多く最後まで飽きなかった。オーランチオキトリウム頑張れ!
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宇宙はもちろん,地表・地殻を見てもごく僅かしかない炭素。にもかかわらず,この元素は驚くほど多様な化合物を構成する主役であり,生命に欠かせない。食糧,薬物,エネルギーの三部構成で綴る有機化学と人類の歴史。
化学がテーマではあるけれど,歴史的雑学的知識が豊富に紹介されてて(むしろそっちがメイン),亀の子苦手でも全然大丈夫。
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生命・文明のキープレイヤーである「炭素化合物」という視点からみる歴史・人類史。本著の主要参考文献達からエピソードを拾い上げたような内容だが、サイエンスライターの著作だけあり、程よく知的好奇心をくすぐる範囲でまとまっており、スラスラと読める。炭素が歴史上いかに決定的な役割を演じ、これからも重要な役割を担っていくかがよくわかる。人口増による消費エネルギーの増加とその弊害に対応する重要かつ欠かせないファクターが化学の進歩であると改めて実感。炭素化合物の保持や技術が今までもこれからも争いを生み、勝敗を決していく。
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今まで読んだ科学系の本で暫定一位。炭素を軸に、歴史や文化をそれこそ有機的につなげていく。充実した読後感。
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p70 におい成分
香辛料の臭い成分は植物の化学兵器である。虫や鳥から身を守るための防衛手段が、人間には大好評だったわけである。
p76 唐辛子の発見
唐辛子は16Cに西インド諸島で発見された。ヨーロッパでは流行しなかったが、茶の交易を経て、東アジアで流行した。こののちに四川料理やら朝鮮料理やらの辛味料理が文化になった。辛い食べ物がアジアで流行したのは、仏教の節制の文化に適していたのだろうか。
p88 タンパク質への欲求
人体は水分を除けばほとんどタンパク質でできている。だから、タンパク質のもととなるアミノ酸やグルタミン酸を旨味として感じる、欲求する。
p89 醍醐味
醍醐は唐風チーズ。チーズはグルタミン酸の塊である。本質に迫る味という意味で、うまみ成分…さすが。
中世ヨーロッパでは、戦争の弁当にチーズを配給をした。普段、旨味のあるようなものを食べていない兵士はウキウキと戦地に赴いた。という軍略を用いたそうな。トマトにもたくさんの旨味が含まれている、イタリア料理が巧いわけだ。
p91 薩摩藩と砂糖と昆布
日本の夜明けの一翼である薩摩藩はどうして、強い薩摩藩となれたのか。薩摩藩は琉球を支配して砂糖生産を独占した。その砂糖を内地で高く売り、その金で蝦夷産の昆布を大量に買う。その昆布を海外に輸出して、潤沢な資金を生み出した。
薩摩が幕府を倒そうという考えを持てたのも、世界との交流があったため、先見性と資金源があったからである。甘みと旨味が日本の夜明けの土台となった。
p93 池田菊苗
グルタミン酸の発見者。でも、当初は認められなかった。欧米では、単体では無味のグルタミン酸なんて無いと言われた。そもそも、肉食主流の欧米では肉に含まれる旨味:イノシン酸の感度は高いが、グルタミン酸への感度は低かったようである。
p115 タバコ>黄金
コロンブスはサンサルバドル島で黄金は手に入れられなかったが、タバコは手に入れた。黄金を手に入れられずスペイン本国はおこだったが、実際、タバコは後世で黄金の比にならないほどの富をもたらした。
微毒の魅力はおそろしい。
p118 タバコの害悪
タバコの害悪が最近ひどく触れわたっているが、かつてはなぜ大きな問題にならなかったのか。
そもそも、平均寿命が短くてタバコの害悪が生命の危機に直結する前に死んでいただけだった。タバコの害悪は現代でしか発生しないものである。
p122 世界三大飲料
①コーヒー②茶③コーラ、共通点はカフェイン含有。カフェインの含まれる飲料が出てきて、世界の貿易は大きく変わった。
p136 コーヒー・茶のせいで財政は火の車
ヨーロッパではコーヒーや茶を見境なく輸入したため、財政赤字が膨らんだ。そのため、各国で禁止令が出されたりしたが、それでも止むことはなかった。カフェインの魅力と魔力はすごいものだ。
p146 痛風≒天才
歴史上の英傑はみな痛風になっている。ティラノサウルス・アレクサンダー大王・フビライ=ハン・クロムウェル・メディチ家・ミケランジェロ・ダ=ヴィンチ・ダンテ・ゲーテ・スタンダール・モーパッサン・ミルトン・ベーコン・ニュートン・ダーウィン・ルター・フランクリン・チャーチル・カール大帝・ルイ14世・カール五世・ヘンリ八世・フリードリヒ大王・・・もうたくさん。
彼らが特権階級として栄養価の高いものを食べれたというのもあるだろう。けれど、痛風には遺伝的要因も強い。粗食でも痛風になる人もいるし、やはり痛風は英雄の必要条件だったりして!?
p186 下瀬雅允
明治時代の火薬研究者。彼の発明した下瀬火薬は日露戦争で活躍。それまでの海戦で艦船を沈めるには体当たりが主流だった。下瀬火薬の強力な砲弾はバルチック艦隊を撃沈させるほどのものだった。そこから海戦の歴史は変わった。大鑑巨砲主義!!
p195 グアノ島
肥料がないと人口は支えられない。窒素やリンが必要。ペルー沖のチンチャ諸島にはグアノと呼ばれる肥沃な堆積土がある。グアノは海鳥の糞や死骸が堆積してできており、豊富な尿素・アンモニア・リン酸塩が含まれる。これを巡って各国で争奪戦が起きた。しかし、これはたった20年で枯渇した。
次に注目されたのは南米のアタカマ砂漠の硝石だった。肥料や火薬の原料になる硝酸ナトリウムはまたもや争奪戦になった。しかし、化石資源に頼っていてはまた底が尽きてしまう。
p200 ハーバー・ボッシュ砲
窒素の製造法。世界の救世主。高温高圧化で触媒に反応させると気体の窒素が分解して単体になる。
「空気からパンを作った男」と言われた。しかし、ハーバー・ボッシュ法で作られるアンモニアは硝石を作る原料にもなる。
「空気から爆弾も造り出した男」でもある。第一次世界大戦前に開発されたこの技術で、ドイツは無尽蔵の火力を生み出した。
p232 フラーレンの利用
フラーレンはんぱねぇ、フラーレン、マジで…。
・太陽光パネルを作れるらしい。超薄型で、カーテンとかどこでもプリントする感じで。家庭用電力確保だわ。
・カーボンナノチューブは進化できる。進化すると頑丈で、高感度な伝導体や半導体を作れる。そうすると、より高速なパソコンや脱レアメタルが実現するらしい。夢!!
p243 人工合成へ!
エネルギーを消費するとどうしてもでちゃう、二酸化炭素。これを還元する方法の開発が急務である。
オーランチオキトリウムという藻類は炭素化合物からスクアレンという重油のような成分を作る。化石燃料の消費を減らす希望になる。これをうまく利用して大気中の二酸化炭素を固定化してもらえないか研究中だそうだ。
…
…
…ミドリムシ!ユーグレナは!?
久しぶりにチェックの多い本だった。スゲー抜き出しちゃった。あんまよろしくないけど、それほど面白かった。
図書館で借りて読んだけど、購入しようと思います。